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テレビのテロップに学ぶ、CVRを上げるサイトデザイン「文字の見せかたのコツ」

 CVRの向上をキホンに、ネットショップのコンサルティングを行うA-Commerceの笹本さんによる、ECに関するコラムをお届けします。今回は、「CVRを上げるサイトデザイン、文字編」をテーマにお届けします。

テレビのテロップに学ぶ、CVRを上げるサイトデザイン

 改行していない長文の「電子メール」を「読みにくい」と思ったことはありませんか? 一方で、新聞や雑誌などの紙媒体の文字は改行していなくても、それほど読みづらいことはないかと思います。また、縦書きの文字に比べれば、横書きの文字のほうが改行していないと読みにくいと感じる人が多いようです。

 なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。

 もう少し事例を出しましょう。テレビ番組では、アナウンサーや芸能人が話している言葉を「わざわざ」テロップとして「改めて文字にして」「表示」しているのをよく目にします。もちろんニュースなどは正確に視聴者に伝えるために、同音異義語などによる曖昧さや誤解を生む余地を減らすべくテロップを流すのは理解できます。

 しかし、街頭インタビューなど「だれでもわかるごく簡単で短い内容」で、かつ、訛りがきつい方言で話しているわけではないにもかかわらず、やはりテロップが流れているのです。他国の多民族国家などでは、文字と発音の乖離が大きいために、共通語普及の一環としてテレビ放送にテロップを付けることを制度化しているケースもありますが、日本においてはもうその必要はないと思います。一見すれば不必要に思われるテレビのテロップですが、多くの番組で使われているという現状から考えると、テレビ番組にはテロップが必要な「大きな理由」が隠れていそうです。

 実は、「改行しないと読みにくい」と「テロップが必要」の件は同一の理由で発生している現象です。

 文字は「読む」、映像は「見る」という動詞を使いますが、まさに文字どおりで、文字を読んでいる時と映像を見ている時では「脳の使いかたが異なる」のです。嚙み砕いて「読む」と言うことはあっても、噛み砕いて「見る」とは言いません。

 もしも同様の意味合いの表現にするのであれば、じっくり「見る」という表現になるかと思いますが、「じっくり見る」は、どちらかと言えば、理解するというよりは観察するという意味合いのほうが強いのではないでしょうか。観察している状態はまだ「きちんと理解する」という手前の段階と言えるかもしれません。

 ものごとを論理的に理解する言語中枢(個人差はありますが、9割以上の人が左脳にあると言われています)が働きやすい環境は「読むモード」の時なのですが、読者&視聴者が読むモード「=言語を理解しようとしている状態」になっていれば、改行されていない文字を読むのも苦になりませんし、テロップも流す必要はないでしょう。一方、テレビやモニターは「見る」ものであり「読む」ものではありません。

 たぶん、テレビやパソコンのモニターを「見ている」時は、「まだ」言語中枢が優位な状態にはなっていないのではないでしょうか。

 テレビのテロップは、「見るモード」=文脈などまでをきちんと理解する状態になっていない視聴者に対して、文字の表示=文字を見ることによって言語を理解する状態になることを促すという役割があるようです。

 映像を見ている時や音楽を聴いている時などは、一般的に言う右脳(個人差があり、正しくは言語中枢が属さないほうの脳=劣位半球)が優位に働いています。右脳が優位に働いている状態ではいわゆる感性系の判断が行われやすい状態であり、文章などよりもデザインや色彩などの「感覚的なコンテンツ」を優先して認識する状態になっています。

 もう少しつけ加えれば、「晴れ」よりも「☀」、「曇り」よりも「☁」のごとく、絵やマークのほうが文章よりもダイレクトに伝わる状態とも言えます。

 読者の皆様に脳科学の話をするつもりはないのですが、筆者はEコマースの最重要課題のひとつがここにあると思っています。

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この記事の著者

有限会社A-コマース 取締役社長 笹本 克(ササモト カツ)

ECコンサルタント&プランナー、(社)日本ECコンサルタント協会(JECCICA)参事・特別講師。コンサルタントおよびWEBプロデューサーとして全国各地で有名ネットショップを輩出。クライアントや講座受講生には、オンラインショッピング大賞の受賞ショップも複数存在。上場企業から中小企業、通販サイトはもとより、製造業やサービス業を含め、コンサルティングサイトの累計は約600社、多岐に渡る業種で大きな成果を出している...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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