13年で培った自社ECノウハウで、若い女性の心を掴んだ「ルアンドジェイ」
「ルアンドジェイ」は、韓国国内にECショップがまだ少なかった2005年から、自社ECサイトでレディースアパレルの販売を手がけています。
ルアンドジェイを率いるヨム・チェジョンCEOは、EC業界の活性化により、国内外で成長するアパレルECが増えることに注目し、ECサイトの展開を決めたと言います。市場に本格参入した同社は、国内で「感覚的なデイリールック通販」というブランドイメージの確立に成功し、平均年商100億ウォン(約10億円)の人気ショップへと成長しました。
こうした成長の理由についてヨムCEOは、10年以上自社ECサイトで培ったノウハウをもとに、素材からデザイン、着心地まで徹底的に管理し、完成度の高い商品の提供に注力してきたことを挙げています。また、ルアンドジェイ最大の強みは、「トレンドに迅速に対応できる力」とも話しています。
「レディースアパレルは、流行の変化が非常に激しい傾向があります。そのため弊社は、トレンドをふまえた商品や着回ししやすいコーディネートを提案するなど、年々多様化するお客様のニーズに対応しながら競争力を高めてきました」(ヨムCEO)
全体売上高のうち越境ECでの売上が30%以上、海外リピーターも増加
特に自社ECの運営においては、商品画像や起用モデルなど、ユーザーに見える部分のコンテンツを大事にしています。市場調査などで収集したデータをECサイトに反映し、新しい商品やスタイルをお客様へ提案するなどの取り組みで、リピーターはもちろん、新規顧客も増えつつあるようです。
ルアンドジェイは、2013年頃から韓国商品への海外ニーズが高まったことをきっかけに、越境ECも展開しています。海外ユーザーに向けてグローバルECプラットフォーム「cafe24」で、英語、中国語、日本語の各サイトを構築し、販路拡大にも力を入れています。
その結果、全体売上高のうち越境ECでの売上が30%以上を占めるようになり、海外リピーターも徐々に増えていきました。
ファッション好きのユーザーの意見を商品に反映させることも
ここからは、ルアンドジェイのヨムCEOとの一問一答をお届けします。
――ウェブサイトや商品画像について工夫した点はありますか?
弊社のブランドが目指す、シンプルで心地よいというコンセプトに合わせたサイトのデザインや商品画像づくりを意識しています。特に、競合との差別化を図るため若年層が好むモデルを起用し、洗練された雰囲気や高級感のある画像演出にも取り組んでいます。これは、ファッションやコーディ―ネートに関心が高いユーザーのリピート施策としても効果的だと考えています。
――――商品のこだわりについて教えてください。
「感覚的なデイリールックコーデ」がブランドのコンセプトです。これに合わせ、シンプルでありながらモダンな商品を中心に販売しています。また、ユーザーとのコミュニケーションを大切にしながら成長してきたので、ファッション好きのリピーターの意見を商品に反映させることもあります。
――LINEを始められたきっかけと、その後の反響を教えてください。始める前後で売上に変化はありますか?
越境ECの展開において、進出国のマーケティングチャネルを活用することは重要だと思います。
韓国とは違い、日本はLINEを利用している若年層が多いことがわかったので、チャネルとしてとても効果的であると判断しました。反響についてですが、メールに比べ読まれやすいので、登録会員に向けたイベントやプロモーションの広報手段として活用しています。LINEを導入したことにより、自社ECサイトへのアクセス数増加も期待できますし、長期的には売上アップも期待できると思います。
アパレルECショップを長く続けていく秘訣とは
――――日本・中国・アメリカ・韓国の4か国で展開されていますが、国によって人気商品やユーザーの層に違いはありますか?
海外でもKポップに憧れるユーザーが増えたことが、アパレルの分野にも影響していると考えています。弊社の場合、国内向けのECサイトで売れる商品が、海外でも同様に売れることが多いのではないかと分析しています。
ただ国によって購入者が好む決済や配送サービスには違いがあるので、購入者の特性に合わせたサービスを提供する仕組みを整えています。
――――他の日本に進出している韓国のアパレルECショップと差別化している点はありますか?
近年は韓国アパレルへの関心が高まり、日本にも多数のアパレルブランドが進出しているようです。
アパレルECショップが事業を継続するためには、円滑な商品供給や迅速かつ安全な配送が不可欠だと思っています。そのため、体系化した商品管理システムを構築し、在庫確保や日本の配送サービスの提供に取り組んでいます。また、日本のトレンドを反映した商品企画やプロモーションを行い、リピーターの確保にも力を入れています。
――――これからの展望についてお聞かせください。
トレンドをふまえた商品企画、洗練された画像の制作、ユーザーへの対応、プロモーションなど、13年間自社ECサイトで培った競争力やノウハウをもとに、日本を含む海外ユーザーからも愛されるブランドを目指します。