誰も始めなかったので始めた「3Dシミュレーションサービス」
無印良品、大塚家具、Francfranc、unico、ディノス、リセノ。名前が浸透しているこれらの企業は共通して、3DシミュレーターやARアプリを導入している。自分の家の間取りをパソコン上に作り上げ、そこに3Dで作られた家具を配置。部屋全体とのバランスや色味などを確認し、納得がいけば各企業のECショップより商品を購入することもできる。
これらの企業の3DシミュレーターやARアプリなどの開発を行ったのが、東京・新宿区にあるリビングスタイルだ。2007年10月に設立され、今年の10月で11年目を迎えた。リビングスタイルが行っているのはインテリアや家具のレイアウトシミュレーションサービス。創業当初は家具の3Dシミュレーターのみを販売していた。
「最初は1社1社営業しつつやっていきました。10年という期間があり、徐々に徐々にお客様が増えていきました。それに応じて社内の人数も少しずつ増やしていった感じです。こちらからの営業が初めはほとんどでしたが、そのあとは営業半分、残りはご紹介やお問い合わせですね」
リビングスタイルの代表取締役であり創業者の井上俊宏さんは創業当初をこう振り返る。そもそも会社をおこしたきっかけは、自身がマンションを購入するときの経験がもとになっているという。
「2000年ちょっと前にマンションを購入する際、コーポラティブハウスというものと出会いました。通常は土地を買って、そこにマンションを建てて売るわけですが、建設途中に震災などのリスクがあります。また、モデルルームのコストもかかります。そういうものをなくすと、安くマンションを建てられるわけです。
コーポラティブハウスとは、複数の人が集まって土地を買い、みんなで住宅を建てるというもので、それに参加しました。自分の好きなように設計をお願いできるのですが、打ち合わせの数が多く、それがとても非効率なように感じていました。当時はブラウザで3Dが動くようになってきていて、誰かネット上で家具やインテリアのシミュレーションやってくれないかなと思って募りましたが、誰もやってくれませんでした(笑)5・6年たってもそういったサービスがなかったので、自分でやってみようと思ったのが始まりです」