ECサイト改善は、単純な「向上」より「最適化」
多くのECサイトでは、「直帰率」「ページビュー数(PV数)」「コンバージョン率(CV率)」「1回購入あたりの顧客単価」などを運営上の指標として設定しています。基本的な考え方としては、それら指標を改善していけば良いのですが、いくつかの落とし穴があるので注意が必要です。
たとえば、「サイト全体のPV数やセッションあたりPV数は多ければ多い方がよい」や「顧客単価は高ければ高い方がよい」なども、一見もっともらしい指標のようですが、実は100%正しいとは言い切れないのです。
こんなケースを想像してみてください。ユーザービリティが悪いサイトで、ユーザーが欲しい商品になかなかたどり着けず、サイト内を長い時間さまよう。品揃えが乏しいサイトや在庫情報の更新が遅いサイトで、ユーザーがサイト内を散々回遊した挙句に「欲しい商品がなかった」「在庫がなかった」となり、買わずにサイトを離脱する。
このようなケースでは、結果的に無駄な「PV数」がカウントされてしまい、見た目の「サイト全体のPV数」や「セッションあたりPV数」が良いスコアになる可能性があります。
「顧客単価」についても、「売上=購入人数×購入頻度×単価」の計算式で考えれば、疑いなく「高ければ高い方が良い」とは言えないでしょう。単価を上げることに注力しすぎて、対象顧客(購入人数×購入頻度)を選別する結果になり、売上が減少してしまうこともあるはずです。実際に、逆のケースとして送料無料になる金額ラインを4,000円から2,000円に下げた結果、顧客単価は30%下がったものの、購入頻度が上がって売上が1.5倍になったという事例もあります。
サイト運営上の指標を単純に「向上させる」という側面だけではなく、サイトの特性や販売戦略、ユーザーの傾向などを踏まえた上で「最適化する」という観点がこれからは重要になってくるでしょう。
ECサイト上での「接客」の善し悪しが勝負を決める
ECサイト運営の最適化の鍵は、サイト上での「接客」をいかに最適化していくかにあります。「サイト上での接客」と聞くと、少し違和感があるかもしれませんが、それほど難しい話ではありません。通常の店舗で当たり前のように行われている「接客」をECサイトでもやりましょう、ということです。