これまで全6回の連載を通じて、サイト内検索エンジンが必要とされる背景やサイト内検索エンジンの抱える課題、具体的な導入効果や選定のポイントなどについてお話ししてきましたが、最後に3つのことをお伝えしてこの連載を締めくくりたいと思います。
1.集客に偏った施策を無反省に繰り返すのはやめましょう!
唐突でちょっと乱暴に聞こえるかもしれませんが、この連載を進める中で、是非、直接的な表現で多くのEC事業者にお伝えしたかったメッセージがこれです。もっと踏み込んで表現するのであれば、「売上を上げるために、集客を控えましょう!」と言っても良いかもしれません。
多くのEC事業者が売上を上げるために集客施策を行っています。しかし、十分な効果検証や目標の再設定をすることなく、無反省に集客に偏った投資を継続しています。媒体やクリエイティブの最適化を繰り返して、効果改善を目指していくケースが多いのかもしれませんが、果たして媒体やクリエイティブの最適化が効果改善のための本質的な解決策になるのか、劇的な改善を期待できる解決策になるのかというと、実際はそんなに単純ではないでしょう。
新しい池(媒体)に釣り糸をたらせば新しい客が釣れる(CV)可能性はあります。同じ池だけど新しい餌(クリエイティブ)に変えれば少しはくいつき(CTR)は改善するかもしれません。ただ、そのような解決のアプローチは効果は出るけどあくまでも短期的な効果、劇的とまでは言えない微々たる効果にとどまるのではないでしょうか。
そして、現実には新しい池(媒体)や新しい餌(クリエイティブ)のアイデアは枯渇してきていているので、もはや集客施策の範囲内で「セッション数」や「CPA」を継続的に改善していくのは難しい段階にきていると思います。
集客における本質的な課題は、「集客後」にあるにも関わらず、多くの事業者はそれに気づいていない、いや気づいているけど真剣にその課題に向き合っていない。穴があいているバケツで水を汲んで目的地に運ぶことを想像すればわかりやすいでしょう。より多くの水を目的地に運ぶためにまずやるべきは、バケツに入れる水を増やすことではなくて、バケツの穴を塞ぐことです。穴が空いているサイトにどれだけ集客しても売上が増えないのは当たり前です。
では、何をすれば良いか? それは今回の連載でも繰り返し説明してきた「集客後」の施策にリソースをシフトして、空いているサイトの穴を塞いでいけばいいのです。