SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

最新イベントはこちら!

ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

三越伊勢丹・中島さんに訊く ショッピング新時代、小売ECサイトの役割とは


ECは小売のど真ん中 うまくいかなくてもやめる選択肢はない

――2015年度のEC売上が120億円。御社からしたら小さいかもしれませんが、なかなか下地が整わないうちに、トップ100に入る規模の売上ですね。

先ほどもお話したように、僕が入社する前から、それほどプロモーションをしなくても数十億円の売上がありました。僕が入社してから、一気に一般商品を増やしましたので、一般商品の売上は何百%単位で伸びましたが、あまり伸びしろのないと思っていたギフトも、結構伸びています。

特別なことはしなくても、実店舗に置いてある商品の数を揃えていけば、採算が合うかどうかは別にして、ある程度売上は上がります。ECは商品を増やして、説明をきちんとして、露出を増やす。それと並行して、お店の作り、つまりユーザビリティや機能を充実させて、滞留時間を長くする。当たり前のことを当たり前にやるが、僕の論理なんです。

でも、どこの会社も迷って徹底できていない。ECを、まだひとつの店舗としてしか見ていなかったり、販促だと考えていたり、いまだに新規事業扱いしていたり。本気度が見えないですよね。ECで売れるようになると、実店舗の売上が下がると思っている人たちも、まだいますし。それを変えるには、評価制度や売上のつけかたを工夫すればいいのですが、古くからある業態ほど、時間がかかっていると思います。一方で、Masy'sがECに貢献していない店舗を閉店するというニュースがありましたが、そういう考えかたは出てくるのかなと。日本はまだ、EC化率が低すぎますから。

――実店舗ありきの企業も、EC化率4%を目指すべき?

4%がいいとは思いませんし、どこを分母にするかによっても変わってきますからね。でも僕の考えでは、実店舗を持っていてそこそこの知名度があるなら、実店舗の全商品をWEBに上げて、普通のレベルのWEB広告をやれば、5%はあっと言う間、10%まではいくと思います。そこまでいかない理由は、実店舗の商品の一部しか掲載できていないなど、徹底できていないからです。

――小売業さんのECは、どうしてもAmazonさんと比較したくなるのですが。

Amazonさんは自社で小売もやってますけど、基本的に仕組みを回すビジネスモデル、利便性を追求するビジネスだと思っています。始まりは小売だったけれども、基本的に仕組みを回すビジネスモデル、利便性を追求している。

自分たちが信じる良いものを、適した価格で、適したサービスで販売するのが小売業だと考えています。バリューのある商品を、ここで買ってよかったと思われる接客で提供していく。具体的には、コーディネートを提案し、きれいな梱包で届け、のしを目見でチェックするようなサービスを付加することです。

――とはいえ、Amazonさんの成長によって、日本の小売業はピンチ!といったことはよく言われますよね。

エコノミクス的に言うと、人口減などの理由からピンチだと思います。百貨店、スーパー、コンビニと、時代が変わるごとに、小売のナンバーワン企業の業態が様変わりしてきましたよね。だから、それぞれの業態ごとに危機感は持っているでしょう。でも、ピンチだと言ってるのは既存業界の人たちです。景気が悪いときにも伸びる業界はありますから。「転換期」だとは思いますけれど。

Amazonさんとの比較について言われましたが、僕はEコマースとリアルを相対して見るつもりはありません。実店舗は、ある地域のあるお店があんまりうまくいかなかったら、閉店するという選択肢があります。でもECは、小売のど真ん中で、うまくいかないからやめるというわけにはいきません。実店舗とあわせて、両方やっていかないといけない。

Eコマースとリアルで、カニバリの話がよく言われますが、そんなことはない。お客様はどちらも使われますし、どちらもメディアで、インフラで、重要なお客様とのコンタクトポイントなんです。さきほど「露出を増やす」のがポイントのひとつだと言いましたが、ECがあることで、Eコマースでもリアルでも売上が上がります。ECがうまくいかないからやめるというのは、小売業やめますか?というのと同義です。

――今後の具体的なアクションとしては?

カテゴリー別のEC、まずはラグジュアリー商品しか掲載しない、ラグジュアリーECサイトを作ります。総合サイトのほうがSEO的にはいいのですが、せっかくお店まで来たもののイメージが違うといことで、中に入っていただけないなら意味がない。それなら、実店舗やオウンドメディアからの集客を前提に、専門サイトを作ります。

一般的な百貨店に家族で行くと、お父さんが専門館にひとりで行って、お母さんとお子さんが本館に行く、そして買い物を終えたら食品売場に集合する、みたいな流れがあります。そういう流れもできるような、それぞれのお客さま向けの専門館的なWEBのほうも作っていく。

そういう売りかたをまだまだ考えてシステム対応しているので、情報収集は別として、新しいテクノロジーを実装する優先順位が低くなってしまうんです。つまり、新しいテクノロジーを使うよりももっと売上に効果のあるベーシックなところをやっているんです。

このことも踏まえて言うと、小売の人はシステムを理解するまでに時間はかかるけれども、わかってしまえば売りかたも知っているから強いと思います。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
次なる顧客体験へ 大手企業の目線連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

ワダ スミエ(ワダ スミエ)

2013年11月11日〜2023年3月31日までECzine編集部在籍。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

ECzine(イーシージン)
https://eczine.jp/article/detail/2785 2023/07/06 18:40

Special Contents

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

2024年8月27日(火)10:00~19:15

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング