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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

アパレルECの今を語る

[対談]パルコ・林さんと、アパレルにおける「実店舗」と「EC担当者」の役割について語る


アパレルEC関連のさまざまなゲストをお招きし、メガネスーパーでECを統括する川添隆さんと対談していただくこのコーナー。第5回は、パルコの林さんがご登場。LINE活用に始まり、カエルパルコやPOCKET PARCOなど、現在パルコが提供するプラットフォームの本当の意味までお話しいただきました。

新しい挑戦の末にパルコが整えた、店頭起点のプラットフォーム

川添(メガネスーパー) 林さんとはじめてお会いしたのは、おそらく2年ほど前の、LINE@のイベントだったと思います。

林(パルコ) そうですね。すると、直接お会いするのは2年ぶりということになりますか。あ、いや、この前一緒に飲みましたね(笑)。川添さんのFacebookやブログの投稿を、ずっとチェックさせていただいているので、あまりお久しぶりな気がしません。

川添 ありがとうございます(笑)。はじめてお会いした2年前は、僕はレディースアパレル企業のECの責任者で、LINEのサービスはLINE@しか使っていませんでした。パルコさんはすでに、公式アカウントとLINE@併用するという、ほかにない取り組みをされていて、それがきちんと、戦略的に住み分けをされていたんです。パルコ各店舗ごとにLINE@アカウントがあり、当時はWEBの部門で中央管理しているが、これから各店舗のLINE@を含めたソーシャルメディア担当者に運用を引き継ぐとおっしゃられていたと記憶しています。

今、メガネスーパーでは公式アカウントとLINE@を併用していますが、実際にやってみると、この2つの住み分けって、なかなか難しいんですよね。2年前からそれを実現されていて、さすがパルコさんだなと、改めて感じています。

 ありがとうございます、そんなに褒めていただいて(笑)。パルコには、新しいこと、まだ他社さんが取り組まれていないようなことを、まずやってみようという文化があるんです。

私は今、WEB/マーケティング部に所属していますが、2年前は、その前身であるWEBコミュニケーション部が立ち上がったばかりの頃でした。お客様がコミュニケーションに使うツールが変わってきたので、コミュニケーションする側の企業も、それに対応した戦略を考えていこうという部署です。社内でもWEBコミュニケーションに詳しく、そういったことが好きそうな若手メンバーを集めて、プロジェクトチームを作り、戦略を提案したのが12年。それを具現化するためにWEBコミュニケーション部ができたのが13年の春、LINEの運用を始めたのは、13年の5月という流れです。

公式とLINE@を併用することにしたのは、パルコの場合は、施設によって、立地、商圏、環境、建物の規模もさまざまなので、それぞれの店舗ごとのキャラクターとお客様とのつながりが、ひとつではくくれず、19店舗ごとそれぞれのアカウントが必要になったからです。

LINEの運用を開始した年の夏に、「グランバザール」というタイトルのセールで、LINEを活用したプロモーションをかけて、いい成果が出たんです。川添さんも聴きに来てくださったイベントは、その事例をお話ししたんだと思います。当社のようなディベロッパーと専門店さんとでは立場が違いますが、お互いを参考にしながらLINE運用に取り組んできましたよね。

川添さんは、メガネスーパーに入社されてからも、そういったことをフル活用されて、どんどん実績を上げられていると感じます。

川添 ありがとうございます。僕らの出会いはLINE@だったわけですが、最近、パルコさんが注目されているテクノロジー、コミュニケーションツールはありますか?

 最新テクノロジーというわけではないのですが、私たちが最初に着目したのがブログで、その効果を今も感じています。ブログを活用することで、パルコに出店いただいているテナントのスタッフさんが、お客様と直接コミュニケーションをとれるようになったというのは、我々にとっても非常に重要なことだったんです。

それまでのお客様とのコミュニケーションの取りかたは、パルコがテナントさんから情報を集めて、編集して、お客様に届けるというものでした。それが大きく変わったのが、2010年に福岡パルコがオープンした時のこと。パルコのサイトに、店員さんとお客様が直接コミュニケーションをとることができる、ショップブログを開設しました。

その頃、私はパルコ・シティという、グループ会社でECモールの運営チームにいたのですが、お客様がウェブサイトを見て、実店舗に来られるという流れを実感していました。ウェブサイトはカタログ的に使って、店舗に来てモノを見て、試着して、実際に接客を受けたいというニーズがあるなと。まだO2Oという言葉がなかったと思いますが、ブログを使ってそういうことができたら効果的だと、肌感覚で思ったんです。

ショップブログは、2012年までは店舗を限定していたのですが、19店舗すべてに広げようという流れになりました。その頃は、ブログがいちばん使いやすいツールだったのですが、その後、Twitter、Facebook、Google+、WEARといったツールを、テナントさんが使いやすいプラットフォームにするということに取り組んでいきました。SNSをしっかり使いこなして接客していただく、というのを進めてきたのが、ここ2、3年ですね。

株式会社パルコ WEB/マーケティング部 部長 林直孝さん。パルコ入社後、全国の店舗、本部や関連会社でWeb事業を行う、株式会社パルコ・シティを歴任。2013年「WEBコミュニケーション部」に着任し、同社のWebを通じた顧客コミュニケーションやオムニチャネルの戦略立案と実務を担当。2015年より「WEB/マーケティング部」で、店舗のICT活用やハウスカードとスマホアプリを連携した個客マーケティングを推進。

川添 前職でも、出店させていただいているテナントの立場として、「ディベロッパーさんの公式サイト」に情報を掲載したいんだけれど、情報の階層が深かったり、スマホ対応していなかったり、手順が煩雑で掲載までに時間がかかるといったことが普通にありました。

その中でパルコさんは、エンドユーザー側として見やすいサイトで、なおかつテナント側として使いやすいようなブログやSNSの連携を整え、自由に情報発信できる環境を用意いただいているというのは、すごく画期的ですよね。

テナント(ブランド)が積極的に情報発信すれば、館(ディベロッパー)に入店が増える。ディベロッパーさんとして、すごく理にかなった取り組みですが、そういった枠から出られないディベロッパーさんも多いので、素晴らしいなと思います。

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この記事の著者

ワダ スミエ(ワダ スミエ)

2013年11月11日〜2023年3月31日までECzine編集部在籍。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

コマースプロデューサー 川添 隆(カワゾエ タカシ)

組織で動く企業の中で、組織・チーム・ユーザーのバランスをとりながら”組織Eコマース&デジタル推進”を泥臭く改革進める人。2社の企業再生経験があり、独自の方法論と実践を通じてEコマース事業において、1社では売上を10倍以上に、5社では2倍以上に増加させてきた。2017年より代表を務めるエバンで小売企業...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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