営業利益率20~30%!ホテル予約サイト「一休」が好調
高級ホテル・旅館の予約サイト「一休.com」を運営している一休(2450)の好調さが際立つ。同社の1株当たり純資産額は200円強といったところだが、株価がその10倍前後の2,000円台で推移しているというのは、株式市場での評価が高いということだろう。
事実、2005年の株式公開以来、赤字転落は皆無。営業活動によるキャッシュフローも常に黒字(入金超)を計上。創業時からの利益の蓄積である利益剰余金も、毎期、着実に増額となっている。市場の拡大とは裏腹に、低い利益率や赤字に苦しむ他のBtoC関連企業とは対照的である。
一休の業績推移
10年度 | 11年度 | 12年度 | 13年度 | 14年度 | |
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1室平均単価 | 22,949円 | 22,337円 | 23,355円 | 24,455円 | 26,603円 |
販売宿泊室数 | 133.5万室 | 148.4万室 | 163.4万室 | 173.3万室 | 189.8万室 |
取扱高 | 306億円 | 331億円 | 381億円 | 423億円 | 505億円 |
手数料収入 | 25.4億円 | 30.4億円 | 39.7億円 | 45.1億円 | 52.9億円 |
取扱高中 手数料の割合 |
8.3% | 9.2% | 10.4% | 10.6% | 10.5% |
全体売上高 | 29億5,000万円 | 36億7,600万円 | 48億4,700万円 | 55億2,800万円 | 66億1,900万円 |
営業利益率 | 21.1% | 27.9% | 33.5% | 36.2% | 33.3% |
純利益 | 2億6,600万円 | 4億8,400万円 | 10億1,400万円 | 12億2,000万円 | 14億600万円 |
利益剰余金 | 29億9,300万円 | 31億5,100万円 | 38億3,800万円 | 42億2,400万円 | 44億5,300万円 |
ロイヤルパークホテル、シャングリ・ラホテル東京、ザ・プリンスパークタワーホテル、東京ドームホテル……。
この5年に限っても、販売宿泊室数は拡大の一途であり、1室の平均単価も毎年のように上昇。14年度は約190万室の予約客を宿泊施設に紹介し、その平均単価は2万6,603万円。結果、取扱総額は505億円だった。
ただし、同社が売上高として計上するのは、ホテルや旅館から得る手数料収入である。紹介料といってもいいだろう。それは、取扱高総額のおよそ10%。つまり、「一休.com」を利用して予約をする宿泊客は、その支払額の10%前後を一休に支払っているという計算になる。
14年度でいえば、ホテル代2万6,000円のおおよそ2,600円が一休の取り分。一休はその2,600円の中から、540円に相当する人件費などの経費を賄う。広告宣伝費は380円、実質的には値引きであるポイント費用はおよそ433円についている。それでも儲け(営業利益)は、860円強。20%台から30%台という高い営業利益率は、こうして実現しているのだ。
オンライン旅行会社(OTA)による競合激化は必至の情勢だが、東京五輪に向けてホテルの新設が続いていることで取扱宿泊施設の増加が見込めるだけに、同社の拡大基調は当面は続くと見ていいようだ。