オムニチャネル=「店頭受取」になってません?
今回は、「オムニチャネル」について取り上げてみたいと思います。
この連載は「そのときのEC業界のホットなニュースを取り上げる」のがテーマですが、オムニチャネルは正直ちょっと旬ではないという感じもします。ただ私は逆に、いまこそ着目すべきタイミングなのではないかと思っています。
「すでに話題になっているテーマ」を取り上げてもつまらないですし、また原稿執筆と掲載の間が空くということもあり、この連載は「2ヶ月先くらいに盛り上がっているテーマに注目する」ことを心がけるようにしています。
なかなか毎月毎月バッチリのテーマを見つけるのは難しいですが、例えば配送についての記事などは、その後のセブンやヤマトのニュースを見ていると、良いタイミングだったなあと思います。
さて、オムニチャネルというと、去年から今年の前半にかけては猫も杓子もオムニチャネルという感じでした。
以前、O2Oやビッグデータというキーワードがバズったときのように、「それオムニチャネル??」というようなものもたくさんあったと思います。もっと遡ると、Web2.0やクラウドもそうですね。
クラウドなどはTVのCMで「クラウド?」なんていうのが流れるくらいのバズっぷりでした。だいたいこういうメガヒットするようなキーワードというのは、その後しばらく沈静化しないとその本質がわからないこともままあります。
では、オムニチャネルとは本来なんでしょうか。
オムニというのは、全部とか総てというような意味の接頭語です。マルチだと一部という感じですが、オムニは概ね全部という感じです。「マルチチャネルはー」とか「これからのオムニチャネルはー」みたいな記事は、このバズに乗ろうとしたものが山ほどあるのでここでは割愛します。
定義のままなら「ショップが持ちうる総てのチャネルを活用して顧客に接触」ということでこれはまあそうだと思います。
ところが、ここまでに見られるオムニチャネルの具体的な実現というのは、その多くが「ECの受け取りを実店舗で」というものです。
実際のところ、ECで買ったものを実店舗で受け取れるのは便利なことですし、これはこの連載の第1回目の内容ともかなりかぶっています。
でも、それであればただのデリバリーの進化であり、「オムニチャネル」という仰々しい名前を付けるほどのことでもないような気がします。