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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzine Day 2023 Winter レポート(AD)

AI時代にこそ磨きたい「4Rコミュニケーション」 UXの次に考えたい「AX」と近未来のCRMを探る

 eコマースの世界にも着実に押し寄せているAI活用の波。「何から始めていいのかわからない」「まだまだ頼らなくても良いのでは」と考える事業者も少なくはないだろう。しかし、先行者利益を得られるうちに始める思考も、プレーヤーの多い現代においては大事にしておきたいところだ。2023年12月7日開催の「ECzine Day 2023 Winter」にて、株式会社ビービット 執行役員CCOの藤井保文氏とソフトウェア事業本部 マーケティングソリューション セールス&マーケティングマネジャーの生田啓氏が、「AI時代におけるECのあり方」をテーマに登壇。最新事例とともに、すぐに取り組めるeコマースでのAI活用について紹介した。

AIはまだ様子見? 気づけば時代に取り残されるかも

 セッションのはじめに、藤井氏は「AIにまつわる用語の整理」と題し、混同されがちな三つの用語について、定義を解説した。

「一つ目は『AGI(汎用人工知能)』です。これは、アニメ作品に出てくるロボットのように、人間と同様の感性や思考回路を持つAIを指し、『人間の脳の再現』を目的としています。『人工知能』の研究という観点では、これが最終的な目標地点だと言えます。

 二つ目は『Generative AI(生成AI)』で、これはものを作る・生み出す分野に特化したものです。大量のデータの中から言葉や絵をパターンで認識し、毎回新しいオリジナルのデータ・コンテンツとして生成するため、二度と同じものは生み出せないのも特徴の一つです。

 そして、三つ目はテキストに特化した『LLM(大規模言語モデル)』です。2023年に話題となったChatGPTは、これを使った『ブラウザ版チャットサービス』のことを指しています」(藤井氏)

株式会社ビービット 執行役員CCO/東アジア営業責任者 藤井保文氏
株式会社ビービット 執行役員CCO 藤井保文氏
AIの種類を3つに区分
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 マイクロソフト創始者のビル・ゲイツ氏が「GUI(グラフィカルユーザインターフェース)を見た時以来の、人生2度目の衝撃」と言及したほどのGPTだが、既に世界ではあらゆるサービスに搭載されている。ここで藤井氏は、実例を二つ紹介した。

「まずは、英語学習サービスを提供する『Speak』です。AIの先生を相手にリアルタイムで英会話学習ができ、文法や発音の間違いを教えてくれます。人間の先生と違って予約の必要がなく、24時間いつでもどこでもレッスンが受けられる上、サービス提供者は人材雇用をしなくてもサービス拡大ができるため、教育業界にとってはかなりの脅威だといえるでしょう」

 旅行会社Expediaが提供する、AIによる海外旅行のプランニングサービスも、藤井氏いわく「現地に住む人に聞くおすすめ情報とほぼ変わらない結果を提示し、クオリティーが高いもの」になっているとのこと。生成AIの登場により、既にサービスや提供価値が変わる商材も見受けられるが、「EC業界では、最新情報をキャッチアップし、既にアクションしている企業は意外と少ない」と藤井氏は強調。「早く取り組まないと時代に取り残される」と警鐘を鳴らした。

これからのEC市場で大きなシェアを取っていくには、新たなテクノロジーであるAIの積極活用は不可避です」

人は判断を下すだけ 「UX」ではなく「AX」重視の時代に

 では、具体的にEC市場でAIはどのように活用されていくのか。藤井氏は、三つの段階を示して説明した。

「第1段階として、デザイン・コンテンツ・コード制作の自動化が進みます。『ノーコード・ローコード』といわれるようになって久しいように、これは既に業界の中でも当たり前になりつつあるといえるでしょう。

 ここからは未来の話になりますが、第2段階ではインターフェースが刷新されます。今のEC購入時に行っている商品の絞り込み、選択、決済といったステップを踏まずに、チャット形式で対話をしていくうちに商品選定・購入が済ませられるといったことも、近い将来起きてくるはずです。

 第3段階は、提供価値やビジネスモデルそのものが刷新される時代です。消費者がECサイトに赴くのではなく、AIが代わりに来訪して買い物を済ませてくれる。既に一部のGPTのプラグインではこうしたことが実現できています。この段階にまで来ると、ECサイトを運営する側は『どうやってAIに選んでもらうか』を考えなくてはなりません。つまり、ユーザーエクスペリエンス(UX)ではなく、AIエクスペリエンス(AX)の時代になるのです」(藤井氏)

ECにおけるAI活用の将来像
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 AIはインターフェースをアップデートするだけでなく、運営効率化に貢献する文脈でも活用が進んでいる。米国のスタートアップ企業 Talkootが提供する同名のサービスでは、商品画像やキーワードを入力するだけで、AIが詳細な説明文を自動生成。同様の機能は、2023年9月からAmazon.comでも提供が始まっており、精度向上と業務効率化の両立に悩むEC事業者にはうってつけのサービスといえる。

 同じく米国の企業 Pantasticが提供するShopifyアプリ「LimeSpot」では、顧客の購買行動データを基に、購入可能性が最も高い商品のレコメンドやメールメッセージの送信、サイトのUIそのものの変更までAIが実施してくれるようになっている。人間の手で行うと相当な工数がかかるパーソナライズは、まさにAIに任せるべき領域であることは間違いない。

 ここまで米国発のサービスを紹介してきたが、日本にもAIを活用した商品画像自動作成サービス「Fotographer.ai」というサービスが存在する。同サービスは商品の参考画像をアップデートし、イメージやコンセプトをAIに伝えると、自動的に背景画像や影、組み合わるモチーフなどが自動生成されるものだ。

「商品画像の作成を重ねることで、AIがブランドイメージやスタイルを学習し、より一層リアリティーある画像を作ってくれるようになります」(藤井氏)

 今や当たり前のように各社が取り組むCRMの領域でも、AIの活用は必須だ。藤井氏は、CRMで成果を上げるための「4Rコミュニケーション」を挙げ、次のように補足した。

“最適な”ユーザー(Right Person)に、“最適な”タイミング(Right Timing)で、“最適な”内容(Right Content)を、“最適な”チャネル(Right Channel)で届ける。これを人間の手で行おうとすると、とてつもない労力と工数がかかります。しかし、AIを活用すれば分析からコンテンツ作りまですべて手がけてくれ、人間はそれを判断するだけで良くなるのです。こうしたことが既に現実になりつつあります」(藤井氏)

CRMにおけるAI活用
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適切なアプローチをAIが判断してくれれば、売上1.5倍も夢ではない

 ビービットでは、AIを搭載したネットショップ・EC専用MAツール「OmniSegment(オムニセグメント)」を提供している。生田氏は同ツールについて、「データ収集・統合(CDP)、セグメンテーション/分析(BI)、施策設計・実行(MA・AI)までが一体化したもので、ECサイトや小売事業者に特化したもの」と説明。特長として、AIを活用し、高度なセグメンテーションを基に顧客に合ったメッセージングが実現できる点を挙げた。

株式会社ビービット ソフトウェア事業本部 マーケティングソリューション セールス&マーケティングマネジャー 生田啓氏
株式会社ビービット ソフトウェア事業本部 マーケティングソリューション セールス&マーケティングマネジャー 生田啓氏

「オムニセグメントでは、前出の『4Rコミュニケーション』に沿った機能を提供しています。ユーザー最適化にあたる『オーディエンススコア』機能では、AIが今後7日間で最も購入する可能性が高い顧客を予測。同機能を使えば、その情報を必要とする顧客だけに効果的なアプローチが可能です。

 また、タイミング・チャネル最適化にあたる『スマート配信』では、各顧客の過去の受信チャネルと時刻を照合し、最適なチャネルと時刻を予測。開封率向上につながるアプローチを実現します。コンテンツ最適化に対応する『商品レコメンド』は、カート内未購入や最新の訪問商品など“購買”以外のデータにも着目して、パーソナライズコミュニケーションを行います。

 コンテンツ最適化をかなえる『テキスト・画像作成』機能では、AIが記入した条件に沿った文章・画像を自動作成。壁打ちしながら精度を上げた文章・画像は版権フリーとなるため、自社のHTMLメールやLINE、ポップアップなどにそのまま活用できます」(生田氏)

AI活用でCRMを高度化
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 このほかにも、容易に活用できる直感的なUIやサポート体制といった特長を挙げた上で、生田氏は某婦人靴ブランドA社のオムニセグメント活用事例を紹介。同社では、メッセージの配信時刻をAIスマート配信機能で最適化した結果、開封率が15.06%から23.75%と、1.58倍に跳ね上がったという。

 適切なコンテンツ配信を実現し、開封率が上昇すれば、当然ながらブランドや商品への反応も良くなり、売上(コンバージョン率向上)にもつながる。AIの力でそれが実現できるのであれば、手を借りない選択肢はないだろう。

「AIの力添えで売上が1.5倍になった。こうした事例が出てきても、おかしくない時代になっています。ぜひ皆さまにも、オムニセグメントを通してその効力を試していただきたいと思います」(藤井氏)

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提供:株式会社ビービット

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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