SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

最新イベントはこちら!

ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

おさえておきたいEC・通販先進企業

オフィス用品販売で存在感を発揮するカウネットのデジタル戦略

 オフィス用品の販売を手がけるカウネットは、豊富なラインナップを自社ECで提供しているのに加え、独自の改善施策やメールマーケティング施策を実施し、成果を収めています。同社がどのようにデジタルを活用しているのか、具体的な動向に触れながら解説します。

 日本最大級のオフィス用品ECを手がける株式会社カウネットは、豊富なラインナップもさることながら、顧客満足度の改善に向けた施策や、独自のメールマーケティング施策に取り組むなどして、成果を収めてきた企業です。

 この記事では、そんな株式会社カウネットが取り組むデジタル施策や、近年進めている新しい事業の内容について、詳しく解説します。

株式会社カウネットの企業情報・事業内容の概要

 まずは、株式会社カウネットがどのような企業なのかについて、基本情報をまとめて解説します。

株式会社カウネットの企業情報

 以下の表は、株式会社カウネットの企業情報をまとめたものです。

社名 株式会社カウネット
本社所在地 東京都港区港南1-2-70 品川シーズンテラス18階
設立年月 2000年10月2日
代表者名 代表取締役社長 宮澤 典友
株式公開 非上場
資本金 34億円(2021年12月末現在)
おもなグループ会社 コクヨ株式会社(100%出資連結子会社)

株式会社カウネットの事業内容

 株式会社カウネットの主な事業は、オフィス用品通信販売サービス「カウネット」の運営です。法人、個人向けに同サービスを提供しているだけでなく、まとめ買いのニーズに合わせた一括購買システムの「ウィズカウネット」も展開しています。

 その他間接材購買管理システムの「べんりねっと」や日用品・雑貨販売ECサイトの「カウモール」、レビューコミュニティサイトの「カウネットモニカ」など、多様なEC・EC関連サービスを運営している会社です。

株式会社カウネットの沿革

 以下の表は、株式会社カウネットの沿革をまとめたものです。

年月 沿革
2000年10月 コクヨ株式会社の出資により株式会社カウネットを設立
2000年12月 創刊号カタログ発刊(以降、年2回発刊)
2001年1月 オフィス用品通販『カウネット』のサービスを開始
2004年10月 大規模事業所向け購買システム『ウィズカウネット』のサービスを開始
2005年5月 個人向け文具・日用品ショッピングサイト『マイカウネット』のサービスを開始
2007年8月 モニター調査サービス『カウネットモニカ』を開始
2009年 1月

株式会社ネットコクヨと統合。

全社一括電子購買システム『べんりねっと』の運営を開始。

3月に個人向け日用品・雑貨ショッピングサイト『カウモール』の運営を開始

2010年9月 パッケージ型一括購買システム『べんりねっとライト』の提供を開始
2013年8月 カウネットオリジナル商品の新ブランド「カウコレ」を開始
2014年1月 仕事に役立つコンテンツを集めた情報サイト『カウネットお役立ちラボ』の運営を開始
2018年12月 カウネットWebサイトにて個人への提供を開始
2021年10月 管理医療機器の取り扱いを開始

 大手文具メーカーのコクヨ株式会社の出資を受け、2000年に設立された株式会社カウネットは、当初より法人向けのオフィス用品販売サービスを展開してきた会社です。同社の強力なラインナップを活かすべく、オフィス向け販売に続き個人向けの文具や雑貨販売サービスも次々とリリースし、ユーザーの獲得に努めてきました。

 2013年より同社オリジナルのブランドも新たに立ち上げ、PB商品販売による新しいファンの獲得にも取り組んでいます。2014年にはオウンドメディアの立ち上げによってさらなる集客を推進し、2018年には個人向けサービスをカウネットで解禁しました。2021年には医療機器の扱いもスタートするなど、常に新しい施策を展開し続けている点が特徴です。

株式会社カウネットが取り組むECの改善と効果的なメールマーケティング戦略

 株式会社カウネットは、新たなWebサービスを展開しながらも、一つ一つのサービスの改善、そしてマーケティングの実践にも努めています。

 ここでは具体的にどのような施策を推進しているのかを解説します。

ECサイトで顧客体験の改善を実現した「BMS」とは

 株式会社カウネットでは自社ECの顧客体験改善の要として、「BMS(Block Management System:ブロックマネジメントシステム)」と呼ばれるユニークなシステムを採用し、自由度を担保しつつスピーディに改善や更新ができる体制を整えています。

 BMSは、Webサイトを構成するHTMLやテキスト、画像などの全ての要素をブロック状に置き換え、Webサイトをブロックの一つの集まりと捉えてブロック単位での更新を可能にするアプローチです。

 「Karte Blocks」と呼ばれるサイト管理システムを導入したこの仕組みは、管理画面では全ての要素がブロック化して表示されるため、Webサイトの編集・更新がしやすく、優れた導入効果を発揮しました。

 Webサイトの運用・改善において、分析まではスピーディに行えても、サイト改善に多くの時間を要することから、すぐに分析結果を反映できない問題を抱えているケースが少なくありません。

 同社はユーザー動向を分析し、BMSによって分析結果をすぐにサイトに反映できる運用方法を整備したことで、ユーザーに最適化されたサイト運営を実現することに成功したというわけです。

売上と効率を同時に改善するメールマーケティング戦略

 BMSの導入と併せて相乗効果を発揮しているのが、Oracleのサービスを活用した新しいメールマーケティング戦略です。

 株式会社カウネットが導入したのは、顧客の行動履歴を基にパーソナライズしたメールを送信できるマーケティングサービス「Oracle Responsys」です。これにより、同じ内容のメールを全ての顧客に何万通も一斉送信していた、従来のメール案内から脱却しました。

 最小限の工数で顧客をセグメント化し、セグメントごとに最適なメールを送信する仕組みが整ったことで、メールの送信前後では売り上げが15%~20%増加するなど、大きな導入効果を発揮しています。

株式会社カウネットの最近の動き

 株式会社カウネットは、上述の施策以外にもECサイトの改善や新しいツールの導入、新サービスの開始など、多くのプロジェクトを遂行しています。同社の近年の動向について解説します。

ECサイトの「承認機能」をリニューアル

 カウネット株式会社は、2023年5月にECサイトにおける承認機能をリニューアルしました。同社は法人顧客を多く抱えている会社で、1アカウント1人ではなく、1アカウントで1会社という単位で顧客を管理しています。

 そのため、1アカウントにつき管理者のほか複数のユーザーを抱えているケースも多く、管理者側のアカウント管理負担が発生していました。

 今回のリニューアルにより、カウネットを使用する際には従来10件だったユーザー登録者数の上限を100件まで拡大し、ユーザーの承認の必要性も管理者が自由に選択できるようになりました。

 リモートワークが普及したこともあり、社内の購買管理業務の負担軽減につながる取り組みは、顧客体験の改善に寄与するでしょう。

消耗品購買最適化診断ツール「サプナビ」の試験運用を開始

 株式会社カウネットは2023年6月、オフィスの消耗品購買に関する疑問を簡易的に診断し、課題解決をサポートするツール「サプナビ」の試験運用を開始しました。

 消耗品購買に関わる設問に対してYes・No形式で回答してもらうことで、顧客ごとの購買タイプを分類し、購買傾向を判定・評価します。

 カウネットでは顧客ごとの行動データが日々蓄積されていますが、それらのデータとサプナビの診断結果を比較し、客観的に現状や課題を把握できる仕組みです。

紙資源リサイクルサービス「カウネットLoopa(ルーパ)」を開始

 2023年1月、株式会社カウネットは、紙資源リサイクルサービス「カウネットLoopa(ルーパ)」を開始しました。

 これはオフィス通販の「カウネット」、オフィス用品一括購買管理システム「ウィズカウネット」、間接材一括購買管理システム「べんりねっと」の会員企業向けに提供されるもので、紙資源の回収と再資源化をワンストップで行います。

 回収した紙資源を同社の協力工場で溶解し、カウネットのプライベートブランドである「カウコレ」シリーズのさまざまな紙製品の原料として再資源化し、販売する仕組みです。

 協力企業は自社でリサイクルの仕組みを構築せずとも、サービスを利用するだけで自動的にSDGsに貢献できるため、社会貢献への積極関与を促せます。

株式会社カウネットの気になるトピックス

 その他、株式会社カウネットの気になるトピックスを以下でまとめています。

2023年8月31日:プラスチックの資源循環に向けた取り組みガムボトル容器回収リサイクルの実証実験を開始

 株式会社カウネットは、株式会社ロッテが9月から実施する、ファミリーボトル商品で採用しているプラスチック製ガムボトル容器について、不要になった容器を回収してリサイクルする実証実験に参加する。

2023年4月14日:大阪体育大学浪商高校の探究キャリア授業をサポート

 株式会社カウネットは、大阪体育大学浪商高校の探究キャリア授業において、商品企画のノウハウについてサポートする取り組みを実施した。

2022年5月24日:GetNavi文房具総選挙2022「在宅・ハイブリッドワークがはかどる文房具&環境整備アイテム」部門で1位を獲得

 株式会社カウネットのオリジナルブランド「カウコレ」プレミアムのオリジナル商品計4アイテムが、株式会社ワン・パブリッシングが発行しているモノ・トレンド情報メディア「GetNavi」「GetNavi web」主催の「文房具総選挙2022」において入賞した。

2022年11月8日:SmartDB、べんりねっと連携で購買プロセスを自動化

 株式会社ドリーム・アーツと株式会社カウネットは、ドリーム・アーツの提供する大企業向け業務デジタル化クラウド「SmartDB®︎(スマートデービー)」とカウネットの提供する中堅・大規模企業向けのクラウド型購買管理システム「べんりねっと」の連携を開始した。

2021年9月30日:管理医療機器約2,300品番の取り扱いを開始

 株式会社カウネットは2021年10月1日(金)から非接触式体温計や電子血圧計などの管理医療機器の取り扱いを開始。

まとめ

 この記事では、株式会社カウネットが実践しているECサイトの改善施策をはじめとするデジタル関連の取り組みについて紹介しました。

 法人向けECサービスを中心に展開している同社は、企業や企業の担当者が抱えるニーズを敏感に察知し、迅速にサービスの拡充を図ってきただけでなく、BMSの導入などによって改善のスピードを高めてきた点に注目したいところです。

 現在も時代に合わせたさまざまなサービスの展開や顧客体験の向上に努めており、今後も法人向けオフィス販売事業者として、業界の最先端を走り続けることでしょう。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
おさえておきたいEC・通販先進企業連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

ECzine(イーシージン)
https://eczine.jp/article/detail/13586 2023/10/05 00:00

Special Contents

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング