ライフスタイルとテクノロジーの融合をコンセプトに掲げる株式会社ストライプインターナショナルは、アパレルを主軸としながらも私たちの生活に関する多様な事業を手掛けており、多角的な経営を実現しています。
特に新型コロナウイルスの感染拡大以降、同社では成長戦略のプランをアップデートし、デジタルを活用した新しいビジネスのあり方を模索しています。
この記事ではそんな株式会社ストライプインターナショナルが描くポストコロナ時代の成長戦略について、概要を解説します。
株式会社ストライプインターナショナルの企業情報・事業内容の概要
まずは、株式会社ストライプインターナショナルの基本的な企業情報や事業内容について、確認しましょう。
株式会社ストライプインターナショナルの企業情報
以下は、株式会社ストライプインターナショナルの企業情報です。
社名 | 株式会社ストライプインターナショナル |
---|---|
本社所在地 | 岡山県岡山市北区幸町2-8 |
設立年月 | 1995年2月 |
代表者名 | 代表取締役社長 川部 将士 |
株式公開 | 非上場 |
資本金 | 1億円 |
おもなグループ会社 |
|
株式会社ストライプインターナショナルの事業内容
株式会社ストライプインターナショナルは、ライフスタイル&テクノロジーがコンセプトのアパレル企画・販売事業を主軸とする会社です。
日本全国に直営店舗を出店する、SPA(製造小売業)形態を基調としており、「earth music & ecology」「AMERICAN HOLIC」をはじめとした独自のアパレルブランドを全国に多数展開し、女性を中心に多くのファンを有しています。
また、生活雑貨などを扱うライフスタイル事業や飲食事業、ドライフラワーショップ事業など幅広く展開し、最近ではファッションレンタルサービス「メチャカリ」も好調となるなど、多角的な経営や社員発の新規事業立ち上げも盛んです。
株式会社ストライプインターナショナルの沿革
以下の表は、株式会社ストライプインターナショナルの沿革をまとめたものです。
年月 | 沿革 |
---|---|
1994年6月 |
創業 レディスセレクトショップ「CROSS」オープン |
1995年2月 | 有限会社クロスカンパニーを設立 |
1999年9月 | earth music&ecology事業を開始 |
2002年2月 | 株式会社クロスカンパニーに組織変更 |
2004年10月 | earth music&ecology 香港FC店オープン |
2010年2月 | インポート事業会社の株式会社クロスインターナショナルを設立。2012年に本社と合併 |
2015年9月 | ファッションサブスクリプションサービス「メチャカリ」を開始 |
2016年3月 | STRIPE INTERNATIONAL INC.へ社名変更 |
2018年7月 | 株式会社オンワードホールディングスと戦略的パートナーシップ締結 |
2020年3月 | D2C事業開始。「rem closet」ブランド開始 |
1994年に岡山県で創業したレディスセレクトショップは、1999年に自社ブランドの「earth music & ecology」の立ち上げを機に、多様なブランド展開を進めてきました。
自社ブランドの海外展開とともに、海外ブランドへの出資や海外からのインポートにも力を入れており、2000年代以降、国内外での影響力を強化しています。
2015年には自社のファッション分野における強みを活かしたサブスクリプションサービス「メチャカリ」を立ち上げ、2020年にはD2C事業も開始するなど、多角的な経営が強みではありますが、ファッションが主軸であることは今も変わりません。
コロナ禍を経て株式会社ストライプインターナショナルが目指す新たな成長戦略とは
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、株式会社ストライプインターナショナルは大きな事業環境の変化を経験します。満を持して進出した中国から10年あまりで撤退を余儀なくされたことを機に、それまでの成長戦略を刷新し、新たなビジョンを描き始めました。
同社がコロナ禍を経てどのような事業戦略へと転換していったのか、どんなEC施策を展開しているのかについて解説します。
QR導入による生産体制の強化
株式会社ストライプインターナショナルが実施した大きな変化として注目したいのが、生産体制の強化です。従来の計画生産を脱却し、シーズン中の売り上げをリアルタイムで追いながら商品生産を行うQR(クイックレスポンス)を新たに導入しました。
この結果、商品は発注から2週間〜1ヵ月で納品する環境が整備され、消費者のニーズに速やかに対応ができるようになりました。
生産体制の強化には、EC需要の急速な高まりも背景にあります。同社の21年1月期はEC売上高構成比が10%強と、競合他社に比べて低い水準にとどまりました。2021年度にはこの割合を15%へ引き上げることを目標にしながらECの売上高構成比を高め、ECと店舗とのポートフォリオバランスの改善を進めました。
ECと店舗の物流統合を実現
EC強化に向け、店舗投資を縮小しEC投資を強化する動きも見られます。これまで株式会社ストライプインターナショナルではECと店舗が個別に運営されていたため、その運営効率は決して高いとはいえませんでした。
そこで同社は2021年6月にEC専用物流施設と店舗の物流施設を統合し、在庫の一元化を進めたのです。社内の会員基盤も統合し、ECから実店舗への誘導、実店舗からECへの誘導といった施策の強化に成功しました。
現在、EC事業における販売チャネルは自社ECとZOZOTOWNの2つで、それぞれの割合は2:3です。ECと店舗の統合が実現したことで、今後は自社ECの割合を高めながら、マーケティング施策の強化でZOZOTOWNの売り上げアップも目指しています。
「メチャカリ」の好調やD2Cブランドの立ち上げにも期待
株式会社ストライプインターナショナルは、2015年に立ち上げたサブスクリプション型のレンタルサービス「メチャカリ」も好調です。アプリのダウンロード数はすでに100万件を超えており、2021年1月期には初めて黒字化を達成しました。
コロナ禍を通じて消費動向が変化し、日常着でもレンタルすることに抵抗がなくなってきたのが黒字化達成の要因としても考えられており、今後のさらなる需要拡大にも期待が集まります。
また、2020年3月にスタートしたD2Cブランドの「レム クローゼット(rem closet)」や「エミュット(emutto)」も大いに注目されています。D2Cブランドは小ロットからスタートするため、同社が導入したQR生産との相性が良いことからも、大きな成長が見込めるでしょう。今後は同ブランドにおいて100億円規模の事業に育てることを目指しており、ラインナップの強化にも期待したいところです。
株式会社ストライプインターナショナルの最近の動き
以下では、株式会社ストライプインターナショナルの最近の動向について、気になるポイントを解説します。
試着せずにサイズが選べるサービス「unisize」を自社ECに実装
株式会社ストライプインターナショナルは2021年、自社ECサイトの「STRIPE CLUB」へユーザーの身体にフィットするサイズを提案する「unisize」を実装しました。
簡単なアンケートに答えるだけで、ユーザーは膨大なデータベースをもとに自身に最適なサイズを知ることができ、試着の必要がなくなります。
サイズが合うか分からない不安から購入を見送るケースや、返品時の手間や送料の負担による顧客満足度の低下といった問題を解消することが可能です。
「STRIPE CLUB」へ口コミ機能の「ZETA VOICE」導入
2022年3月より、STRIPE CLUBにはアパレルEC向けの口コミ機能搭載ツール「ZETA VOICE」が実装されています。
同ツールを通じてユーザーは多様な評価軸から口コミを記入し、多彩なUIでほかのユーザーに口コミの内容を伝えることができるため、リアルな声を正確に別のユーザーへ伝え、購入を後押しする効果が期待できるサービスです。
「STAFF START」導入で店舗スタッフの発信強化へ
STRIPE CLUBでは同サイトのブログを刷新し、店舗スタッフのEC接客サービス「STAFF START」を使った情報発信に移行しました。
店舗スタッフがどれくらいECの売り上げに貢献しているかを可視化するSTAFF STARTは、テキストや画像、動画を使ったまとめ機能による情報発信が可能です。従来よりも簡単かつリッチに顧客へ情報を伝えられるため、フレッシュで質の高い情報を、頻繁に発信できるようになります。
オンラインコンテンツの拡充を通じ、店舗スタッフの活躍の機会を創出するとともに、ECサイトにおける集客と販売を強化できる施策です。
株式会社ストライプインターナショナルの気になるトピックス
そのほか、株式会社ストライプインターナショナルの気になるトピックスを紹介します。
2023年3月2日:CRAFT STANDARD BOUTIQUEから新レーベル・100%リサイクル素材で仕立てた「リサイクルレーベル」誕生
株式会社ストライプインターナショナルが展開する、メンズ・レディースブランド「CRAFT STANDARD BOUTIQUE」(クラフト スタンダード ブティック)は、今春よりリサイクル素材を使用した新レーベル「リサイクルレーベル」を展開する。
2022年12月16日:ストライプグループ・カンボジアへ進出 主力ブランド「NEM」「VASCARA」を12月15日に同時オープン
株式会社ストライプインターナショナルは、海外事業拡大を図るべく、グループ会社の主力ブランド「NEM」および「VASCARA」を12月15日にカンボジアの首都プノンペンへ初出店した。
2022年9月12日:ストライプベトナムからレディースブランド「HIME」デビュー・ハノイに1号店を9月10日(土)グランドオープン
株式会社ストライプインターナショナルのグループ会社であるSTRIPE VIETNAM Limited Liability Companyは、新ブランド「HIME(ハイミー)」を立ち上げ、ハノイ市内のチャンズィーフン通りに1号店をオープンした。
2022年8月1日:「選ぶ、買う、届ける、をアップデートする」ファッションDXのスタートアップ ONE POINT ZEROを設立
株式会社ストライプインターナショナルは、ストライプインターナショナルおよびストライプグループのテクノロジーとDX推進を担う新会社、株式会社ONE POINT ZERO(ワンポイントゼロ)を設立した。
2022年6月21日:江野沢愛美ディレクターの高身長ブランド「ARUMDY」デビュー!
株式会社ストライプインターナショナルは江野沢愛美さんをディレクターに迎えた新ブランド「ARUMDY(アルムディー)」を今秋より展開する。
まとめ
この記事では、株式会社ストライプインターナショナルがポストコロナ時代に描く成長戦略について、EC関連の取り組みを中心に紹介しました。
同社はまだ十分にEC化が進んでいるとはいえないものの、データベースの統合やECサイトの刷新などを通じて、確実にデジタル活用が前進していることが分かります。最近ではサブスクリプションビジネスやD2Cブランドの展開など、新規事業の立ち上げも盛んに行われており、成果を残しつつあります。
消費トレンドに合わせたツールの導入や生産体制のアップデートなど、抜本的な改革を進められていることは、同社にとって大きなアドバンテージをもたらすでしょう。今後数年で目覚ましい成果を残すかもしれません。