最も苦しいのは、拡大期のD2C/新興メーカー
拡大期のD2C/新興メーカーが直面する資金調達の難しさ。特に日本では資金調達のハードルが高く、その壁にぶつかることが多い傾向にあります。本連載では、各社がこうした課題を乗り越えるための方法を紹介します。
まずは、D2C/新興メーカーを3つの成長段階に分け、それぞれの課題を見てみましょう。
立ち上げ期
立ち上げ期は、事業開始前から初期ロットを製造販売し、一定のロットで安定した販売ができるようになるまでの時期を指します。月商規模としては、0~300万円ほどのイメージです。
このフェーズは、事業を始めるために必要な「ものへの投資」が先行する時期です。販売する自社プロダクトの企画、初期ロットの製造、ウェブサイト構築などといった「設備投資」が必要になり、一括で大きな支払いが必要となる機会が多いです。
拡大期
立ち上げ期と安定成長期の間に位置するのが、拡大期です。拡大期は、立ち上げ期から発注ロットを一気に増やし、事業を大きくしていく時期を指します。月商規模としては、300万~1,000万円ほどのイメージです。
このフェーズは、広告運用を本格的に開始するタイミングであり、また生産/販売量も増えていくため在庫管理も重要になります。このため、広告費、在庫管理に向けたシステム導入、そして広告運用や在庫管理を行うための社員の採用(外部委託)など、毎月かかる「運転資金」が増加していきます。
そして何より、商品の製造にかかるOEMや工場への支払いが大幅に増えていきます。
安定成長期
安定成長期は、既存商品の発注ロットを少しずつ増やしながら、新商品/ブランドの開発や広告費の拡大、大型小売店との業務提携を行う時期を指します。月商規模としては1,000万円以上のイメージです。
このフェーズになると事業が安定し、成長が続いたとしても運転資金が不足する課題は生じづらくなっていきます。