インスタには「Instagramショッピング」と呼ばれるショップ機能が備わっており、InstagramやFacebookから商品を検索・閲覧したり、購入したりできます。ショップ機能を効果的に活用することで、ECの売上を高めていけるはずです。
本記事では、インスタのショップ機能の基本的な特徴やおもな機能、導入方法や活用事例などを解説します。
インスタのショップ機能
インスタのショップ機能「Instagramショッピング」を上手に使いこなすためには、基本的な特徴をおさえておく必要があります。従来の機能との違いについても見ていきましょう。
ショップ機能とは
ショップ機能とは、InstagramやFacebookから商品を検索、閲覧、購入できる機能のことを指します。
従来InstagramショッピングとFacebookページショップとでそれぞれ独立していたものを、コマースマネージャで一元管理できるようになりました。ショップ機能の活用によって運営の負担が軽減されるため、効率よく運営することができるでしょう。
インスタのショップ機能は無料で利用でき、ショップが承認されて商品の登録が完了すれば、すぐにユーザーが閲覧できる状態となります。ショップ運営を効率的に行うことができるため、販売の機会を増やすことにつながるでしょう。
従来のInstagramショッピングとの違い
インスタにはこれまでも、Instagramショッピングがありましたが、投稿した商品画像をその都度タップしなければ、商品の詳しい説明を見たり購入ページに移動したりすることができませんでした。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってオンラインショッピングの需要が高まったことを背景に、2020年6月にショップ機能の利用要件を改訂し、利用可能な業種を拡大しました。
また、InstagramとFacebookで一元管理できる機能も導入され、インスタ上でウインドウショッピングのような体験ができるようになりました。
ショップ機能のおもな特徴
インスタのショップ機能にどのような特徴があるかをおさえておけば、ショップ運営をスムーズに進めることができます。ここでは、4つのおもな特徴について解説します。
アプリ内のさまざまな場所から訪問可能
Instagramショップの大きな特徴として、アプリ内のさまざまな場所からショップへのアクセスを促せる点が挙げられます。具体的には、Instagramプロフィールや商品タグ付き広告、フィード、ストーリーズ、リール内のショッピングコンテンツなど、あらゆるところからショップへのアクセスが可能です。
ショップにアクセスするための方法が多様であり、Instagramユーザーへのアプローチを効率良く行えます。
アクションを行ったオーディエンスに対して広告が配信できる
Instagramのショッピングカスタムオーディエンスを活用すれば、InstagramやFacebookでさまざまなアクションを起こしたユーザーに対して、広告配信を行うことが可能です。対象とするアクションを行った特定ユーザーにリーチする広告を配信できる仕組みです。
Instagramショップを開設したFacebookページと、Instagramビジネスアカウントのみ利用できるので、積極的に活用していきましょう。商品タグ付き広告を使えば、広告内の購入可能な商品の画像や動画などに、商品説明や価格、Webサイトのリンクをタグ付けできます。
自然検索だけではリーチできないユーザーに対するマーケティングや、商品やビジネスに反応を示したユーザーに対するリマーケティングに役立つため、売上拡大につながるでしょう。
顧客からの問い合わせにすばやく対応できる
Instagramのショップを利用すると、ユーザーはMessengerやInstagram Direct、WhatsAppなどから問い合わせを行うことが可能です。配達状況を追跡することもできるので、ユーザーにとっても利便性の高い仕組みといえるでしょう。
有益なインサイトを入手できる
コマースマネージャを活用すれば、商品の売れ行きや人気度などのインサイトを手軽に入手できます。ユーザーが自店に対して何を求めているのかが分かれば、デザインの調整や変更を迅速に行うことが可能です。
有益なインサイトを入手することは、ショップ運営において重要なポイントでもあるため、Instagramショップを利用するメリットだといえます。
インスタのショップ機能を導入する方法・手順
インスタのショップ機能の特徴を把握したら、実際に導入する手順もおさえておきましょう。事前に手続きの流れを理解しておくことで、スムーズに作業を進めやすくなるはずです。
利用要件を確認する
ショップ機能を使うためには、まずショップの利用資格があることを確認しておく必要があります。Instagramのヘルプページには、「コマースの利用要件」が掲げられているので、内容をよくチェックしておきましょう。
- FacebookおよびInstagramのポリシーに準拠していること
- 該当するビジネスとドメインに紐づいていること
- コマースを利用できる国に所在地があること
- 信頼性を示すこと
- 正確な情報を提供し、ベストプラクティスに準じること
Instagramでは、以上の5つの利用要件が掲げられています。
1つ目の要件にあるように、ショップ機能を利用するためには、FacebookやInstagramの利用規約・商用利用規約・コミュニティガイドラインに準拠している必要があります。各ポリシーに遵守しない場合、ショップ機能を利用できなくなったり、アカウントが停止されたりするので注意が必要です。
2つ目の「該当するビジネスとドメインが紐づいている」は、自社でドメインを所有しており、Webサイトから直接購入できる商品を出品する必要があるという意味です。
3つ目の「コマースを利用できる国」については、Instagramのヘルプページで公開されています。日本ではコマースの利用は可能なので、特に問題ありません。
4つ目の「信頼性を示すこと」はやや抽象的な表現ですが、Instagramのアカウント(ビジネスアカウント・クリエイターアカウント)が認証されており、Facebookページにリンク済みである点などが挙げられます。ビジネスマネージャのアカウントを作成しており、十分なフォロワーがいることも評価対象となります。
そして、5つ目はユーザーに対して確かな情報を提供するという意味です。商品情報において、価格や在庫情報、返金・返品に関するポリシーなどをきちんと明示しておきましょう。
ショップを作成する
1.ショップを追加
Instagramでショップを作成する際は、コマースマネージャの画面から「ショップを追加」ページを開いて「次へ」をクリックします。
2.チェックアウト方法を選択
次にチェックアウト方法を選択します。顧客がショップで購入する際に、支払情報を入力する場所を選びましょう。
3.販売チャネルを選択
続いて販売チャネルも選択しましょう。Instagramで販売を行う場合は、Instagramビジネスアカウントを選択して[次へ]をクリックします。InstagramとFacebookの両方を販売チャネルにすることも可能です。未作成の場合は「新しいページを作成」をクリックします。
4.ビジネスアカウントをリンク
作成済みのビジネスマネージャアカウントを選択して [次へ]をクリックします。該当するアカウントがない場合は「新しいビジネスアカウントを作成」を選択し、新規アカウントを作成します。ビジネスアカウントは、ショップの販売チャネル管理に必要です。
5.商品を追加
ここでは、画像やウェブサイトへのリンクなどの詳細情報を管理する「カタログ」を選択します。ショップに使用する作成済みのカタログを選択するか、「新しいカタログを作成」を選択しカタログ名を入力して[次へ]をクリックします。
6.Webサイトを追加
ショップにリンクさせるWebサイトのURLを入力し、「次へ」をクリックします。
7.設定を終了
ショップ詳細の確認と販売者の同意書への同意が完了したら、[設定を終了]をクリックします。
ショップの審査を待つ
上記の申請を行って審査が完了すると、メールなどで審査結果が通知されます。無事に審査を通過すれば、コマースマネージャを通じて、さまざまなカスタマイズができるようになり、ショップが公開されます。
掲載する商品を登録する
ショップが公開されたら、次に商品の登録などの作業を行います。登録方法は全部で4つあり、コマースマネージャのメニューから選択することが可能です。
手動で登録する方法
商品情報を個別に入力して、カタログに追加する方法です。商品点数が少なく、それほど頻繁に更新をしないときは、手動で商品を登録する方がよいでしょう。
データフィードで登録する方法
GoogleスプレッドシートもしくはCSVファイルを用いて、商品の追加や更新を行う方法です。ファイルのアップロードはその都度行うことができますが、更新スケジュールを決めて定期的に自動アップロードを行うことも可能です。
パートナープラットフォームで登録する方法
Shopifyなどを利用している場合は、パートナープラットフォームで表示されている商品をInstagramショップに自動的に取り組むことができます。ほかのECサイトをすでに運営している場合におすすめの方法です。
ピクセルを埋め込むことで登録する方法
FacebookピクセルをECサイトにあらかじめ埋め込んでおくことによって、自動的に商品の追加や更新が行われる方法です。商品の数が多くて、更新が頻繁にあるときはピクセルを使うのがおすすめの方法だといえます。
審査を申請する
商品の登録が完了したら、ショップを公開するための審査の申請を行います。審査で承認されれば、ショップに商品を掲載できるようになります。
コレクションを活用する
商品掲載時に活用したい機能の一つに、「コレクションの作成」があります。コレクションとは、用途やカテゴリ、シーズンなどでテーマをくくり、商品をまとめて表示できる機能のことです。コレクションを作成することで、ショップ運営の手間を省力化できるので、積極的に活用してみましょう。
ショップ機能の活用で成功した企業の事例
Instagramのショップ機能をうまく使いこなすには、運用に成功している企業の事例から学ぶことが大切です。ここでは、3つの事例について詳しく紹介します。
Creema
「Creema」(クリーマ)は、日本最大級のハンドメイド・マーケットプレイスです。さまざまなジャンルのクリエイターとユーザーが、Webを通じて作品の売買を直接行える仕組みを整えています。
19万人を超えるクリエイターが1,000万点以上のオリジナル作品を出品しており、Instagramにおいてもクリエイターの作品や世界観を伝えています。Instagramでのプロモーションに力を入れながらも、各種イベントの開催や全国で展開している常設店舗への出展などを通じて、クリエイターの活動を幅広くサポートしているのが特徴です。
北欧、暮らしの道具店
「北欧、暮らしの道具店」は、北欧のキッチン雑貨や日用品を取り扱っているオンラインショップです。同店のECサイトでは、商品の画像やテキストなどの情報量が豊富で、実際にアイテムを使用したときの感覚をイメージしやすい作りとなっています。
商品ページ自体が読み物として楽しめるコンテンツとなっており、Instagramにおいてもそうした雰囲気を大事にしているのが特徴です。商品の魅力をしっかりと伝える画像を使用しており、Instagramのユーザーに対して共感を得やすいアプローチを行っているといえるでしょう。
Instagramのフォロワー数は120万人を超えていて、多くのユーザーから支持されていることが分かります。日常生活で使う商品を取り扱っているからこそ、単に商品を販売するのではなく、購入後の使い方のイメージを持ってもらうための情報発信に力を入れています。
studio.CBR
「studio.CBR」は、高級中古革靴の買取販売店であり、Instagramの投稿画像には統一された特徴が見られます。
同店のInstagramの公式ページを訪れたユーザーは、統一された投稿画像に魅力を感じる部分も多いでしょう。タイムラインに流れてくる投稿画像も、一見してシンプルでありながらも、ブランドイメージを損なわない運用が心がけられており、ファンを増やすことに成功しています。
取り扱っている商材が高級靴であるため、多くのユーザーに情報発信を行うというよりも、ロイヤルカスタマー育成のためにInstagramを運用している姿勢が伝わってきます。
まとめ
Instagramのショップ機能を活用すれば、自店がターゲットとする顧客層だけでなく、新たなリーチを獲得することにもつなげていけます。SNSを使ったプロモーションに加えて、ショップ機能を有効に活用してCVの獲得を目指すことが大切です。
複数のECサイトを運営している場合も、Instagramのショップ機能は役立つので積極的に取り入れてみましょう。自店のファンを増やしながら、商品の宣伝や販売につなげてみてください。