初回生産で終わらないブランドを作るには
ECやD2C事業を立ち上げてチャレンジするも失敗し、撤退してしまうケースが多くあります。私が以前、業界でも多くのブランド立ち上げを行っているOEM事業の責任者に話をうかがったところ、95%のブランドは初回生産だけで終わってしまうとのことでした。
つまり、ほとんどのブランドは最初に作って終わりで、継続して生産を行い、生き残るブランドは数少ないということです。最初に頼んだOEMと別のOEMで2回め以降生産しているという可能性もゼロとは言えませんが、現実的にはこうしたケースは稀と言えます。仮にこうしたケースが多く見積もって5%あったとしても、90%のブランドは生き残ることができていない。これが現実です。
そこで、今回は数多くの失敗を見たり、経験したりした私から、ECやD2C事業を初めて行う方、これから行おうと考えている方に向けて、失敗しがちな9つのポイントをお伝えします。
1. 在庫を抱えすぎる
ビジネスを始める前は、誰しもが失敗を想像せず、成功する未来しか思い浮かべないでしょう。しかし、冒頭で述べたとおり、90%以上は失敗に終わっているという現実があります。
仮に「思ったよりも売れない」という失敗をしたとしても、在庫が少なければ「お客様に合わない商品だった」と判断して別商品の企画を行い、2回め以降の販売を続けることが可能です。しかし、在庫を大量に抱えた場合、売上が生まれないどころか商品サイズによっては保管費用がかさみ、廃棄する際にも費用がかかるため、大幅な赤字になってしまいます。
ECやD2C事業は、売れなければ売れないほどコストがかかる仕組みになっています。一見すると事業に成功して多ブランド展開している事業者でも、立ち上げた新ブランドが売れず、しばらくして販売を中止する経験をしているケースは少なくありません。
ここでお伝えしたいのは、「失敗をしないために挑戦するのをやめよう」ということではありません。仮に失敗してしまっても、新商品や別のブランドを立ち上げる機会を得ることができるよう、失敗時の傷を最小限にすることが肝要です。リスクを最小限に留めるためにも、在庫を抱えすぎないようにしましょう。
OEMの場合、初回生産時に数量を多くしたほうが1点あたりの生産コストを抑えることができるため、つい多めに生産したくなってしまうのも理解はできます。しかし、売れる心配よりも売れなかったときの心配をしておくのが吉です。売上を作るための商品が負債にならないよう、できるだけ小ロットの生産を心がけることをお薦めします。