クリエイター向け「Qaya」登場 リテールの垣根がさらに混沌と
日本時間の2021年12月16日、Googleはウェブ上にクリエイターがストアを開設し、プロダクトやサービスを直接販売できる新サービス「Qaya」を発表した。取材時点ではアメリカ限定でベータ提供されている段階だが、岡田さんはクリエイターエコノミーの観点から注目する。
「クリエイターのビジネス活動におけるウェブ全体のハブとして機能するように設計された統合的なストアフロントだということです。それぞれのSNSからQayaにリンクでき、動画や音楽、Podcastなどを紹介できるほか、他のプラットフォームで販売している製品やサービスをキュレーションすることもできます。マーチャントよりもさらに個人のアーティストやクリエイターにフォーカスしたサービスだと言えます」
現状、クリエイターが作品を発表・販売したり、ユーザーとコミュニケーションを行うメディアは多岐に渡り、提供するプラットフォーマーも異なる。メディアごと機能も特化していることから、クリエイターはさまざまなメディアを行き来しなければならない。Qayaはそれを、クリエイターを主体として1箇所にまとめる場を作り、コマースへとつなげたわけだ。
「クリエイターのリソースをすべてまとめる受け皿になると、Googleのような大規模プラットフォーマーでないと難しいですよね。Qayaにより、マーチャントとクリエイターの垣根が溶けたと言えます。Shopifyのマーチャントを見ていても、その特性がプロダクト寄りかアーティスト寄りかの違いで、大きな差がなくなってきていると感じていました。これまで型が決められていた商流以外でも、エンゲージメントを経済につなげることができるようになってきたからでしょう。Qaya自体が成功するかはわかりませんが、象徴的なサービスで流れが加速するのではと見ています」
GoogleのEコマースに関するサービスの軸となるのは、 Google Merchant Centerである。商品情報をGoogleに登録することで、ユーザーが検索すると、Google サ ービス上のいずれかでその商品に出会いやすくなっているが、クリエイターにとってはそれほど相性が良くない面もあると言う。
「商品情報の登録には、JANコードやブランド名が必要ですが、クリエイターによるデジタルアイテムの販売にはそもそも不要な情報です。Qayaはこれまでの商流に限定されない、トークンエコノミーにも対応するサービスだということでしょう。デジタルコンテンツはコピー可能であるという特徴が、お金に変えるという点では不利に働く部分もあったのですが、Web3では追跡可能になり唯一性がもたれるという前提ですから」
なお、Qayaを取り上げたコラムを、リワイアが運営するコーポレートブログに掲載したところ、2万UUを超えるアクセスがあったとのこと。クリエイターエコノミーへの関心の高さがうかがえる。