ネットショッピングの返品できない事例
ネットショッピングではさまざまな商品が販売されています。ショップやサイトは返品に関する注意事項を明記していますが、よく確認せずに購入したことで、トラブルを招く結果になった事例を2つご紹介しましょう。
1.一度着用した洋服やアクセサリー・通電した家電
一度着用した洋服やアクセサリー、通電してしまった家電は返品の対象外になります。返品ができないという但し書きがあることがほとんどですが、一度着用したにもかかわらず『もう着ないから』『使わないから』という理由で商品を返品するというのは常識外です。
家電に関しては、初期不良でない限り通電してしまう(=使用したと見なされる)と返品できないことがあります。
2.無料サンプル・お試し購入後の定期便
無料サンプルがもらえる・破格の安価でお試し購入ができる健康食品やサプリメントなどは、サンプル到着後に定期便の購入につながっていることがあります。休止や解約の手続きを行わない限り、自動的に定期購入が始まってしまうのです。期日までに手続きを行わなかった商品に関しては、代金を支払わなくてはいけません。
ネットショッピングの返品ができる事例
ネットショッピングで起こりやすいのは「商品が破損していた」「間違った商品が届いた」といったトラブルです。こうしたとき、ほとんどの場合は返品を受け付けてもらえます。
ただし、商品の破損や間違いなどに気づかずに前章で紹介したように「着用した」「通電した」などをしてしまった際には返品できなくなる場合もあるため注意が必要です。
ネットショッピングはクーリングオフ不可!返品できる法律とは?
特定商取引法では「クーリングオフ」という規定が設けられています。クーリングオフとは、申し込みや契約をしていても、一定期間内であれば申し込みの撤回や契約の解除ができる制度です。
特定商取引法は、「クーリング・オフ」を認めています。クーリング・オフとは、申込みまたは契約の後に、法律で決められた書面を受け取ってから一定の期間(※)内に、無条件で解約することです。(※)訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入においては8日間、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引においては20日間。通信販売には、クーリング・オフに関する規定はありません。
引用:「特定商取引法とは 特定商取引法ガイド|消費者庁」より
ネットショッピングが該当する「通信販売」は、クーリングオフの対象外となっています。そのため「届いたけれど、イメージと違った」「サイズが合わなかった」といったトラブルがあっても、クーリングオフできないため注意しましょう。
どうしても返品したい場合には、ネットショッピング運営会社によって規定されている返品特約に従わなければなりません。ショップによっては、イメージ違いやサイズ違いなどでも一定期間内であれば返品を受け付けていることがあります。
返品特約が設けられていない場合は、購入した人が送料を負担すれば、商品を受け取った日を含めて8日間以内に返品が可能となっています。
ネットショッピングの返品の際の注意点
ネットショッピングは他の購入方法と比べて、返品についての注意事項が多くあります。知らずに申し込みや購入をしてしまうと、返品トラブルにつながる可能性があるため、しっかりと基礎的な知識を身に付けておきましょう。
トラブルが起きたときのために、取引の証拠は必ず保管するようにしましょう。購入時や支払いに関するメール、返品に関する規約などは必須です。スクリーンショットなどを活用し、取引が終了するまで必ず保管しておいてください。
購入先の返品に関する規約の確認
ネットショッピングで商品を購入するときは、返品に関する規約を確認することが大切です。画面の下部に表記されていることが多いため、商品の概要だけではなく、ショップやサイト自体の規約を確認してください。
また、「返品不可」「初期不良以外返品不可」など、返品に関することが記載されている場合には、必ず内容を確認し撮影もしくはスクリーンショットなどを残しておきましょう。
返品期日をまもる
返品に関する特約が記載されていても、大半のサイトでは期日が設けられています。期日内でなければ返品を受け付けてもらえないため、返品期日を確認のうえ、期日内に連絡・手続き・発送を済ませましょう。
ネットショッピングの返品の仕方・手順
ネットショッピングで購入した商品を返品できる場合は、各ショップやサイトによって返品の手順があります。
ここではネット通販大手のAmazonを例に、正しい返品方法をご紹介します(参考:ヘルプ: 返品・交換の手続きをする|Amazon.co.jp)。
1.購入先に連絡を入れる
返品を行う場合、最初に行う手順は購入先に連絡を入れることです。返品理由などを明確にしなければいけません。
Amazonの場合は、サイトの注文履歴から返品の手続きを行います。
返品に関する規約を確認してから行うべきですが、不明な点があればショップ・サイトに確認することも必要です。
2.梱包する
返品を受け付けてもらえたら、返品したい商品を梱包します。商品が届いた際に使われていた段ボールなどの梱包資材を再利用できますが、もしも破いたり捨ててしまったりしている場合には自身で梱包資材を用意する必要があります。
3.返送手続きを行う
購入元へ返品の連絡を入れたら、返送の手続きを行います。基本的には配送時と同じ梱包状態にしましょう。配送料については確認が必要です。
- 着払い(販売元が送料を負担する場合)
- 元払い(購入者側が送料を負担する場合)
の2種類がありますので、返品連絡の際に必ず確認しましょう。運送会社を指定しているケースもありますので、注意してください。
4.返金を確認する
返送を行った後は、必ず返金を確認してください。銀行口座への振り込み・振込依頼書の送付停止など、購入時に指定した支払方法によって返金の方法も異なります。また、カード決済の場合はカード会社によって返金のタイミングが違います。
返品商品を確認する時間などがありますので、多少のタイムラグが発生することを覚えておきましょう。
どうしても返品ができない!相談窓口は?
自分に非がなく、正しい返品理由であるにもかかわらず返品を受け付けてもらえない…そんなときにはネットショッピングのトラブルに関する相談窓口の利用をおすすめします。
どんなところへ相談すれば良いのか、4つの窓口をご紹介しましょう。
1.国民生活センター
国民生活センターは、消費者の重要な紛争について、法による解決のための手続を実施している組織です。『188』に電話することで、近くの消費生活相談窓口を案内してくれます(参考:土曜、日曜、祝日に利用できる相談窓口|国民生活センター)。
連絡先 | 電話番号 | 受付時間 |
---|---|---|
消費者ホットライン | 188(局番なし) | ●平日 9時~17時 ●土曜・日曜・祝日 10時~16時 |
国民生活センター |
03-3446-1623 | ●10時~12時 ●13時~16時 (土日祝日、年末年始を除く) |
2.JADMA(通販110番)
JADMAは通信販売業界における消費者の相談を受け付けてくれる団体です。電話だけではなく、「消費者相談室」の問い合わせフォームから必要事項を入力し、連絡を待つことも可能。ただし詐欺サイトによる相談は受け付けていないので、注意してください。
連絡先 | 電話番号 | 受付時間 |
---|---|---|
通販110番 | 03-5651-1122 |
●10時~12時 (土日祝日、年末年始を除く) |
3.警察
詐欺サイトの被害にあった場合などは、警察への相談が必要になります。最寄りの警察署へ被害の相談に行きましょう。
4.弁護士
自分自身では解決法がわからない・大きなトラブルに発展してしまったという場合は、弁護士に相談しましょう。弁護士会では法律相談センターを開設し、ネット上から相談予約ができるシステムを提供しています。
ネットショッピングに関する悪質なトラブルに遭ってしまったら、被害が大きくなる前に弁護士に相談し、解決をお願いすることも必要になります。
ショッピングモールの店舗と連絡がつかない場合は?
自社でネットショッピングサイトを運営している会社もありますが、最近ではAmazonや楽天などのショッピングモールや、オークションサイトなどに出店している会社も少なくありません。
厳格な審査を通過しなければ出店できないサイトもありますが、手軽な手続きだけで出店できるサイトでは出店している会社の信頼性が疑わしい場合も。そのような店舗から商品を購入した際、購入者側に非がなくても返品に応じてくれなかったり連絡がつかなかったりするケースが見受けられます。
そのようなトラブルに見舞われたときのために覚えておきたいのが、2022年5月に施行された「取引デジタルプラットフォーム消費者保護法(正式名称:取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律)」です。
この法律により、購入者はショッピングモールやオークションサイトの運営会社に、店舗の電話番号やメールアドレスなどの情報開示を請求できます。
まとめ
ネットショッピングの返品には、トラブルが発生する可能性があります。消費者としてできることは、購入時に返品規約をきちんと確認することです。
ネットショッピングはクーリング・オフが適用されないこと、商品によっては返品が受け付けられないものがあることを理解しておきましょう。
返品トラブルを抱えてしまった場合は、ひとりで悩まず、相談窓口を活用して解決できるようにしてください。