リクルートの外食市場に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」は、コロナ禍前後における「なじみの外食店」について、数や立地の変化、業態ごとの割合等についてアンケートを実施した。
1. コロナ禍以降、「なじみの外食店」の数が減った人は37.6%
コロナ禍で外食店にとって厳しい状況が続いているが、外食機会の減少に伴い、リピート利用する「なじみの外食店」の数がどのように変化しているかを調査した。
コロナ禍前に「なじみの外食店」があった人は約7割。その後のコロナ禍で「なじみの外食店」の数が増えた人が2.9%、減った人が37.6%と、減った人のほうが圧倒的に多いという結果であった。
性年代別では、60代男性はコロナ禍の前も現在も「なじみの外食店」がない人が23.3%と少なく、外食店にとって貢献度の高い世代だが、コロナ禍で43.2%という高い割合の人が「なじみの外食店」の数が減っていた。もともと「なじみの外食店」がある割合が高い中高年世代で「なじみの外食店」の数が減っている人が多い傾向で、コロナ禍で若い世代よりも中高年で外食実施率が下がった(同社「外食市場調査」より)こととも関連がありそうだ。
2. 「なじみの外食店」が減った理由は、圧倒的にコロナ禍。「外出・外食控え」が最大要因に
コロナ禍以降に「なじみの外食店」が減った人の理由を聞き、その理由をコロナ禍に関連するものと関連しないものに大別すると、圧倒的にコロナ禍に関する理由が多くあげられた。
最も割合が高かった理由は「外出や外食自体を控えるようにした」で41.6%。次いで「店が営業自粛や閉店等をした」が22.1%、さらに「繁華街等の人混みの多いエリアに立地していた」と「営業時間の規制により、自分の利用時間と合わなくなった」がともに16.5%となっている。
30〜60代女性では特に「外出や外食自体を控えるようにした」との回答割合が高く、男性よりも女性において「外出・外食控え」が「なじみの外食店」でなくなることに大きな影響を与えた様子が伺える。
3. コロナ禍以降、新たな「なじみの外食店」ができた人は57.5%
「なじみの外食店」の数が減った人が多いコロナ禍中だが、新たな「なじみの外食店」ができた人は、「なじみの外食店」がコロナ禍前後いずれかにあった/ある人に限って集計(全体9,564人中6,621人、69.2%)すると、57.5%が新たな「なじみの外食店」をこの間に見つけたようだ。
性年代別では、30代男性で68.0%が新たな「なじみの外食店」があると回答、20代女性でも66.0%が新たな「なじみの外食店」があると回答し、男女の年代別では最も割合が高かった。おおむね、年代が若いほど、新たな「なじみの外食店」がある人の割合が高く、コロナ禍前には「なじみの外食店」のある人が中高年に多かったこととは逆の傾向である。
4. 新たにできた「なじみの外食店」の立地は「自宅や最寄り駅の周辺」が74.8%
新たにできた「なじみの外食店」のうち、最も高い頻度で利用している店について、その立地を聞いた。最も割合が高かった立地は「自宅や最寄り駅の周辺」が74.8%で圧倒的な1位であった。
性年代別では、40代女性で「自宅や最寄り駅の周辺」が82.2%、20代男性で「通勤・通学場所の周辺」が16.8%で、それぞれ他の性年代よりも回答割合が高かった。コロナ禍で不要不急の外出自粛が要請され、また、在宅勤務等も影響してか、「なじみの外食店」の場所も自宅近くにできた人が多いようだ。
5. 「なじみの外食店」の業態、飲酒主体業態を中心に減少幅大きく
「なじみの外食店」の業態を聞いた。コロナ禍の前後で比較すると、「なじみの外食店」の数が減った人が多いことと連動して、ほとんどの業態で回答割合が減少している。
減少幅に注目すると、「居酒屋」でコロナ禍前後差が‐15.5ptと最も大きく、次いで「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」が同‐13.2pt、「中華料理店(ラーメン専門店は除く)」が同‐12.3ptで続く。コロナ禍前のスコアが比較的高い業態の中では、「ファミリーレストラン、回転すし等」(同‐10.3pt)や「ファストフード」(同‐2.4pt)は比較的なじみの客離れを相対的に免れているようであり、飲酒主体業態は、コロナ禍前のスコアが比較的低い業態を含め、減少割合が他の業態よりも大きくなっている。
調査概要
- 調査方法:インターネットによる調査
- 調査時期:2021年8月2日(月)~2021年8月11日(水)
- 調査対象:首都圏、関西圏、東海圏に住む20~69歳の男女(株式会社マクロミルの登録モニター)
- 有効回答数:9,564件