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中堅物流事業者も物流テック導入が進む 2021年はAI分野・RFID活用本格化へ/矢野経済研究所調査

 矢野経済研究所は、国内の倉庫内物流テック市場を調査し、分野別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

調査結果概要

 社会インフラを支える物流業界は、労働集約的産業であるがゆえに人手不足が他業界より深刻であり、「省人化」をキーワードとした物流テックの導入に注目が集まっている。物流テックの導入には、作業効率を高め、省人化に寄与するといったメリットだけではなく、今まで紙などアナログで管理していたものをデジタル化することにより、物流をデータ化できるといった側面もある。その一方で、「開発・導入コストが高い」、「システムを導入しても、社内に管理できるIT人材がいない」といった課題から、物流テックを導入する物流事業者は投資力があり、自社やグループ企業に専門のIT部門・人材を抱えている大手事業者に限られていた。

 しかしながら近年は状況が変わりつつあり、「初期投資が少ない月額料金制のサービスの登場」、「内部のIT人材不足=外部サービスのサポート体制の充実」が進み、中堅物流事業者にも物流テックサービスの導入が進んできている。

 そこでクラウド型のサービス、音声認識やAI、RFIDなどのシステムを提供する倉庫内の物流テックサービスについて、(1)導入難易度、(2)適正倉庫規模、(3)コロナ禍における動向、(4)投資金額規模の4点について、矢野経済研究所で評価を行った。なお、(3)コロナ禍における動向は、2020年4月~12月までの物流テック事業者における引き合い状況の変化を参考に評価を行い、横ばい傾向だと思われるものは△としたが、長期的に見ると伸長することが見込まれるため、この部分での差は小さいとみている。

 「アーリー市場」に分類した、入出庫や在庫を管理するクラウド型WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)、トラックの入出庫を管理するバース予約/受け付けシステム、作業員の出退勤・作業内容を管理する作業の可視化/業務日報のデジタル化ツール、各種作業を支援する音声認識システムは、2015年前後から導入件数が伸長した。2020年は新型コロナウイルスの影響により、デジタル化に対する機運が高まり、導入難易度も比較的低いことから好調に推移している。そして「シード市場」に分類したAI分野、RFIDの活用については、検品や棚卸し、ピッキング作業などで現在多くの実証実験が進められており、物流現場への本稼働に向けて、2021年は動き出していくことを予測する。

注目トピック

物流テックを導入することで解決した課題

 物流現場で発生している課題と、物流テックを導入するメリットを整理すると、次のとおり。

  • 深刻な人手不足、長時間労働が続く/物流テックの導入により、作業効率を高め省人化に寄与する。結果的に、コストの低下にもつながる。
  • 紙というアナログ管理のため、情報共有ができず、データの連携もできない/システムに移行することでデジタル化し、情報の可視化・共有を図り、データ連携も可能になる。
  • 作業者個人に、属人的にしかノウハウが蓄積されない/作業者のノウハウを形式知化することで、AIで判断が可能になる。

 また、物流業界全体としての大きなメリットとしては、①紙(アナログ)からデジタルへの移行、②システムを導入することにより、作業の標準化(基礎・ルール作り)が進むことが挙げられる。

調査概要
  • 調査期間:2020年10月〜12月
  • 調査対象:物流システムおよびサービス提供事業者
  • 調査方法:同社専門研究員による直接面接取材、ならびに文献調査併用

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