adjustとLiftoff Mobileが、モバイルコマースに関するレポートを共同発表。モバイルコマースにおける消費とユーザーの購買傾向、国や地域ごとのモバイルでの購買行動についての検証結果をまとめている。
検証結果によると、日本を含むアジア太平洋や北米では、ショッピングアプリ内で商品をブラウジングする、モバイルウインドーショッピングが増加していることが判明。また、日本のユーザーはアプリのインストールから商品の購入までの時間が長い反面、ロイヤリティが高いことも判明している。
具体的な調査レポートは下記の通り。
ユーザー獲得コストは減少傾向。アプリインストール後の購入率は上昇傾向に
グローバルにおけるショッピングアプリのユーザー獲得コストは、年間を通して30ドル~45ドル。昨年と比較すると安定した結果となっている。消費者は全体的に、モバイルでの購入を「身近で便利である」と感じているため、ユーザー獲得コストは前年の3分の1に減少。アプリインストール後、購入に至る率は10.5%と、前年比49.1%の勢いで急増している。
Liftoff CEO兼共同創業者 マーク・エリスは、このようなコメントを出している。
「この下落の原因は不明ですが、小売業界の大きなトレンドの一つを示しているのかもしれません。つまり実店舗の復活です。AmazonやWarby Parkerなどオンライン主体の企業が、実店舗との連携を進めていたり、Generation Z(中学生から大学生頃の年齢層)のユーザーは、モバイルで商品サービスを閲覧し、購入は実店舗でしているという傾向があることも調査で分かりました。また、年末年始商戦は、オンライン、実店舗共に依然として健在です。しかし、データによれば、ユーザーは一年中買い物をする傾向があることがわかり、これまでのように年末年始ですべてが決まるという状況ではないことを示しています。」
モバイルウインドーショッピングという新たな傾向が判明
日本を含むアジア太平洋や北米では、ショッピングアプリを活用することに前向きで、登録率も急増加。また、データを分析すると「モバイルウィンドーショッピング」という新しいトレンドが明らかになっている。
ユーザーは、ショッピングアプリのインストール・登録は手軽に行うが、購入段階の数字が大幅に下落することが判明。日本の場合、購入を行うユーザーの獲得コストは36.43ドルでありながら、コンバージョン率は7.7%と低く、アジア太平洋全体の10.1%よりもさらに低い結果となっている。
この結果に対し、adjust CEO兼共同創業者 クリスチャン・ ヘンシェルはこのようなコメントを出している。
「購入率を上げたいマーケターは、持っているデータを最大限活用し、潜在的な脱落箇所を把握し、セグメンテーションやターゲティングを正確に行うことが不可欠です。それにより、マーケティング活動における最適なユーザーインタラクション戦略を作成し、実行することができます。移り気な消費者を獲得し、長期的に利用してもらうためには、きめ細かな戦略がカギとなるでしょう」
日本のユーザーは、購入までの時間が長く「考え込みやすい」
日本のユーザーがアプリをインストールしてから購入までにかかる時間は、1日と21時間51分。他の国と比べ、商品を調べてから購入決定するまでの時間が長いことが判明している。
購買意欲が高く、ロイヤリティが高い日本のユーザー
日本のユーザーのショッピングアプリ継続率は他地域と比較して高く、日本のユーザーがショッピングアプリに関心を抱いていることがわかる。1日目は継続率が20%、7日目でも10%と高い数値を維持している。
【分析手法】
2018年4月1日から2019年3月31日までに集約されたLiftoffのデータを基に作成。1,360万インストールと390万アプリ内イベントにおける、約909億件の広告インプレッションを対象にしている。また、同調査にはadjustの2018年の継続率データを取り入れている。