ブレインパッドは、同社開発の運用型広告最適化ツール「L2Mixer(エルツーミキサー)」のシステム環境を、「Google Cloud Platform(以下、GCP*1)」へ移行したことを発表した。
L2Mixerは、すでにアカウント数2万件、キーワード数6億件という、広告運用の支援ツールとして国内最大規模の運用実績があり、今後のさらなるインターネット広告需要の増加や、高度化・複雑化する広告運用に対応するために、自社でインフラの構築や運用管理を行う従来の環境から、より拡張性・柔軟性の高いクラウド環境に移行するため、今回のシステム環境の移行を決定したという。
複数のクラウドサービスの中から、GCPを選定した理由は次の通り。
1.高速&安定したレスポンスと、インフラの運用・保守に係る業務負荷の軽減
GCP は Google 社内のインフラを支えているテクノロジーに由来するため、動作が高速でダウンタイムが滅多に発生しないことを特徴としている。また、「Google App Engine (*2)」を活用することでインフラが強化され、L2Mixerの開発者がよりアプリケーションの開発に専念できるようになる。これにより、今後のL2Mixerの開発における柔軟性と開発スピードが飛躍的に向上する点を評価した。
2.カスタムインスタンスや1分単位の課金体系により、過度な投資を抑えコストを最適化
GCP 以外のクラウドサービスにL2Mixerを移行するには、上位クラスのメニューを選択のうえ特殊なカスタマイズを加える必要があったため、コストが割高となることが予想される。一方、Google Compute Engine(*3)のカスタムマシンタイプを活用すると、当社の要件に合致する適切なサイズで導入することができ、コストが最適化される点を評価。
また、L2Mixerは、大規模な予測最適化計算を一定の時間おきにバッチ処理にて実行するシステムであるため、1分単位の課金体系であるGCPとの相性が良い点に加え、GCPには長時間利用に対する自動ディスカウントの仕組みがあり、他のクラウドサービスのようにディスカウントを得るための事前手続きが必要ない点も、選定理由となった。
以上により、GCPは、従来のオンプレミス環境や他のクラウドサービスに比べて、コストメリットが大きいと判断した。
3.インターネット広告系のビジネスと親和性の高い機能も充実
GCPには、データ処理関連のコンポーネントとして「Google BigQuery(*4)」や「Google Cloud Dataproc(*5)」、「Google Cloud Dataflow(*6)」など、インターネット広告系のビジネスと親和性の高い機能が揃っている点を評価した。
同社は今後、これらの機能の活用や、L2Mixerの管理画面のGoogle App Engine化などを進め、よりクラウドに則したアーキテクチャに進化させていくとした。
(*1)Googleが運営するクラウドコンピューティングのプラットフォームのこと。
(*2)GCP上でアプリケーションを作り実行できるPaaS(Platform as a Service)のこと。
(*3)Googleのデータセンターとファイバーネットワークで運用される拡張可能で高性能な仮想マシンのこと。
(*4)GCP上で提供されるビッグデータ解析サービスのこと。
(*5)SparkやHadoopのマネージドサービス(ユーザーに代わって開発元が運用管理を行うサービス)のこと。
(*6)GCP上で提供されるリアルタイムデータプロセッシングサービスのこと。