消費者庁は、2025年1月16日、特定商取引法の通信販売分野における執行状況を発表した。
消費生活相談件数は、年間約90万件前後で推移。そのうち「通信販売」の相談件数は約3~4割となっている。こうした状況を踏まえ、2021年6月に特定商取引に関する法律が改正された(令和2022年6月一部施行)ほか、2023年9月に、消費者庁取引対策課内に「デジタル班」が設置された。
執行概況
通信販売については、2024年5月から同年12月末までの8ヵ月間で、行政処分(指示、業務停止命令及び業務禁止命令)が4案件実施された。当該案件のうち3案件は、2021年の法改正で追加された、いわゆる最終確認画面における表示義務違反を含む事案となっている。
また、同期間で行政指導が6案件実施された。このうち、電話で解約を受け付けているにもかかわらず、広告に確実に連絡が取れる電話番号を表示していなかった事業者に対する行政指導は3案件あった。
さらに、消費者庁はインターネット通信販売等適正化事業において、インターネット通販・ネットオークション・テレビ通販等の通販サイトのモニタリング調査を実施。事業者の法令遵守状況を調べるとともに、その結果に基づき、事業者に対して注意喚起通知を2024年4月から同年12月末までの9ヵ月間で約1,200件発出した。
通信販売事業者には、最終確認画面で「商品の分量」「販売価格・対価」「支払の時期・方法」「引渡・提供時期」「申込みの撤回・解除に関すること」「申込期限」を表示することが義務付けられている。事業者が、最終確認画面にこうした事項を表示しないことなどにより、消費者に誤認を与えた場合、消費者は契約の申込みの意思表示を取り消せる場合がある。
同庁は、消費者に向けて、最終確認画面の表示内容をスクリーンショット等によって証拠として残すよう呼び掛けている。