企業向け経済インフラ・プラットフォームを提供するStripeは、日本、オーストラリア、シンガポールの3ヵ国を対象に「デジタル決済の未来」に関する消費者調査を実施した。同調査結果の詳細は、次のとおり。
3ヵ国で最も利用されている対面決済方法 日本ではいまだに「現金」が1位
調査によると、現在対面でよく利用されている決済方法は、3ヵ国全体で「クレジット/デビットカード」が70%、「現金」が68%だった。日本では特に「現金」の利用率が高く、73%が対面決済に現金を使用している。なお、3ヵ国全体で、今後10年で「クレジット/デビットカード」の利用は52%まで減少し、ほかの決済手段が普及すると予測されている。
日本は他国と比較して「QRコード決済」を利用する傾向
日本での「QRコード決済」の利用率は44%と高く、シンガポール(27%)、オーストラリア(6%)を大きく上回っている。日本での普及率が高い理由として、日本発のQRコード決済サービスへの親しみのほか、各事業者のキャンペーン実施や導入のしやすさなどが考えられる。しかし、10年後の利用意向は現在とほぼ変わらないとされている。
日本と比べると、ほかの2ヵ国での決済手段はより細分化されており、オーストラリアでは「スマホ/デジタルウォレット決済」が44%だった。「リアルタイム決済」や「BNPL(後払い決済)」など、そのほかの決済方法も広く使われている。
今後10年以内の変化 3ヵ国平均で「生体認証決済」への期待値が12%アップ
10年以内の対面決済の意向変化について調査したところ、「現金」の使用について3ヵ国平均で44%が「やめていると思う」、そして「クレジット/デビットカード」については、32%が「やめていると思う」と回答した。
各国で比較すると、「現金」の使用中止を予想しているのはオーストラリアが45%、シンガポールが61%であるのに対して、日本は25%と低い結果に。さらに「クレジット/デビットカード」の使用については、オーストラリアが35%、シンガポール50%が「止めていると思う」と回答した一方で、日本は10%に留まった。そのため、日本では今後10年も「現金」と「クレジット/デビットカード」が主流の決済方法になると予測される。
今後10年以内の決済方法では、「スマホ/デジタルウォレット」への期待が増加し、特に3ヵ国平均で「生体認証決済」への期待値が4%から16%へ上昇した。なお、日本では1%に留まり、生体認証への関心が他国と比べて低いことがわかる。
デジタル決済では、3ヵ国平均で71%がオンラインでの購入体験に不満
オンラインでの購入体験に関する調査では、3ヵ国平均で71%が不満を感じている一方、日本では55%と他国より不満が少ないことが判明した。最大の不満要因は「購入前にアカウントを作成する必要がある(42%)」「配送コストの記載が分かりにくい(32%)」だった。
日本はオンライン購入での不正利用に対する警戒心が最下位
3ヵ国平均で79%が「オンラインで商品やサービスを購入する際に抵抗を感じることがある」と回答しており、抵抗を感じる理由としては「オンラインで購入前に実物をみたいから(46%)」「不正利用が心配だから(40%)」「オンラインの方が返品/返金が難しいと思うから(32%)」「オンラインにおける個人情報の安全性を十分に信頼していないから(29%)」という結果となった。
また、日本はシンガポールやオーストラリアに比べてオンライン購入への抵抗感が低く、不正利用に対する警戒心も他国に比べて低い傾向がみてとれた。
72%が「ECや決済においてAI機能が役立っている」と回答
同調査では、72%が「ECや決済においてAI機能が役立っている」と回答した。また、今後ECや決済において、AIに「不正利用対策」と「レコメンドエンジン」が期待されていることが明らかとなった。
また、3ヵ国全体の59%が、商品の購入やサービス利用で決済の際にAIがもたらす潜在的なメリットとして「不正利用と詐欺の減少」を挙げている。ほかにも「個人情報の保護(56%)」などがあった。単なるECでの購入や決済体験の向上だけでなく、増加傾向にある不正利用や詐欺に対しての解決方法として、AIに期待している人が多いことが明らかとなった。
調査概要
- 調査実施期間:2024年6月18日(火)~25日(火)
- 対象地域 :オーストラリア、シンガポール、日本
- 対象者:18歳以上の男女 N=3,048 (日本 N=1,022)
- 調査方法:インターネットアンケート
- 調査実施機関:YouGov