Pinterestはカンヌライオンズに先立ち、AIを活用したクリエイティブ制作、キャンペーンのパフォーマンス向上、ブランドセーフティーの測定など、広告主向けのAIソリューションの詳細を新たに発表した。
Pinterest アドラボ
一部のブランドに提供されている「Pinterest アドラボ」は、広告素材や広告の新ツールの試用版をテストできる新しいイノベーションプログラム。生成AI機能を活用し、パーソナライズされた情報を元にコラージュするインタラクティブなショッピングツールが含まれる。
Pinterestは、広告主からのフィードバックを反映して新ツールを迅速に提供するため、現段階で次の機能テストを実施している。
パーソナライズされた背景の生成
この機能には、Pinterestのビジュアル検索とテイストグラフが持つ力を発揮させる生成AI基盤モデルが活用されている。プロダクトピンのクオリティとユーザーのエンゲージメントの向上に向けて、ユーザーのテイストを反映したシグナルを利用。「ジャパンディ」「オーガニックモダン」「ミニマリズム」など、ユーザーの好みに合わせた背景を作成する。
広告主向けのコラージュ作成
コラージュは、Pinterestでキュレーション、アイデアやインスピレーションのシェア、ショッピングをするための新たなツール。ユーザーは、ほぼすべてのビジュアル素材を切り抜いて組み合わせ、コラージュを作成できる。
テストに参加しているブランドは、コラージュに商品をタグ付けし、ショーケースアドまたはコレクションアドとして活用可能となっている。
現在、Pinterestは小売や美容などの業種の一部ブランドと提携し、フィードバックを集めている。提携ブランドは、「NIKE」「Wayfair」「John Lewis」「Bumble and bumble.」など。
家具と家庭用品を扱うWayfairは、Pinterestのトレンドをヒントにしたインテリアと家具のコラージュを作成し、ショーケースアドとしてアド運用した。その結果、小売業種のベンチマークと比較してクリック単価(CPC)効率が28%、エンゲージメントが5.4倍向上している。
Pinterest Performance+でキャンペーンの成果を向上
Pinterest Performance+(現在、非公開ベータ版)は、Pinterestの最新AIツールと自動化ツールを組み合わせ、パフォーマンスの向上を図るとともに、マーケターがすばやく容易にキャンペーンを作成できるようにするソリューション。
アルファ版の初期テストの結果によると、ほとんどの広告主で、コンバージョンキャンペーン広告とカタログ販売キャンペーン広告の獲得単価(CPA)が10%超改善している。また、比較検討キャンペーン広告におけるCPCも10%超の改善が見られた。加えて、Pinterest Performance+の一連ツールにより、キャンペーンの作成にかかる時間は50%減少している。
ブランドセーフティーの取り組みを拡充
Pinterestは、業界をリードする団体との協力により、同社プラットフォームがブランドにとって安全であることを検証する取り組みを行っている。具体的には、Integral Ad Science(IAS)と提携。「Total Media Quality for Pinterest」の一環として、広告が利用可能な全マーケットで、 Global Alliance for Responsible Media(GARM)のフレームワークに準拠したブランドの安全性測定を提供している。
IASのAIを駆使したマルチメディアテクノロジーは、機械学習を用いて画像、音声、テキストを1フレームごとに分析し、大量のピンを正確に区別できるという。ベータ版テストの広告キャンペーンでは、Pinterest上で測定された広告インプレッションの99%がブランドの安全基準を満たしているとの結果が出ている。
今後、PinterestはDoubleVerify(DV)との提携も開始し、世界中の広告主に向けて Pinterestキャンペーンに関するブランドの安全性とブランド適合性測定を提供していく予定。Double Verifyのブランドの安全性と適合性測定は、ブランドの広告がどのようなコンテンツの近くに配信されるのか把握可能にするとのこと。なお、初回のテスト測定では、広告インプレッションの99%以上がブランドの安全基準を満たすと評価されている。