釧路はポイント、沖縄は離島、静岡は越境 地方の楽天活用事例
まず、楽天市場の塩沢友孝さんが「地方創生に向けた取り組み」を説明。楽天は創業時から地方をエンパワーメントすることを掲げていたが、2013年春には新組織「地域活性グループ」を楽天市場内に設立、現在は楽天市場のみならず、楽天トラベルによる観光、楽天IT学校による教育、Edyや楽天スマートペイによる金融など包括的な取り組みを行っているとした。
地方と楽天との取り組みの1つが、11月1日から始まった「くしろスキップRポイントカード」。もともと、釧路市内の店舗で発行していたポイントカードが「スキップカード」。これにEdy機能が付与された。スキップ加盟店で使用すると、決済額に応じてスキップポイントか楽天スーパーポイントが貯まるというもの。スキップポイントの一部が、自動的に「まちづくり基金」としても貯まり、市の活性化施策の資金を貯めることができる。
狙いの1つは、市民による市内での買い物を促進し「域内循環を加速」するというもの。ほかにも、新たな顧客の獲得やファン・リピーターの確保などがある。また、くしろスキップRポイントカードが現地(釧路市)に行かないと作れないことから、「一度釧路に来ていただきたい」との思いもある。
次に沖縄県。中小企業の課題「小規模」「小ロット」がECで解決できる可能性があるものの、とくに離島においては、EC開店セミナーへの参加者のうち、EC出店率は3.2%と、沖縄本島の半分と低い。それには「小規模零細で単独でECを行えない」「ECの担い手不足(パソコンが苦手)」といった理由が見えてきた。
これを解決するべく、沖縄県では「eコマース活用離島・やんばる販路拡大事業」を推進。小規模な企業は商品を送るだけ、地元の流通企業がまとめて販売するというもの。これを含め、お気長権が行うeコマースを活用した産業振興のイメージを「点から面へ」と表現。そのうえで楽天市場を活用する理由として、「沖縄支社」「ECコンサルタント」の存在をあげた。
最後は静岡県。すでに企業の東南アジアへの展開を支援するため、シンガポールに駐在員事務所を、ビジネスサポートデスクをタイ、インドネシア、ベトナムに設置していた。しかしながら、「海外で何が売れるのかわからない」「輸出の手続きが難しい」「量が少ないので輸出しても手間ばかりかかる」が課題となっており、解決策を探していたところに楽天シンガポールの存在を知り、活用に至ったという。
静岡県が出店費用やプロモーション費用面で出展企業を支援し、楽天では楽天シンガポール内に静岡県特設ページ設置するなどの取り組みを行う。静岡県が募った20店枠のうち、すでに15店が決まっているそうだ。
最後に望月さんは、静岡県の掛川市から楽天市場内に出店している「おいもやさん」を紹介。スイーツ部門で何年も1位をとり続ける同社について、商品を盛り付けるカゴを地元商品を使ったり、近辺のお菓子屋さんに声をかけておいものお菓子を作ってもらったりと、さまざまな企業の創出に貢献しているとして、こういったお店を数多く静岡県内から出していきたいとした。
ちなみにおいもやさんは、名古屋JRタカシマヤで開催した「楽天うまいもの大会」出店の83店舗のうちでも、売り上げ1位を獲得したお店である。