新型コロナの蔓延によって、飲食店のテイクアウトとデリバリーは急速に普及した。これらはコロナ下の一時的なブームではなく、食生活の新しい選択肢のひとつとして、今後はスタンダード化していくことが見込まれる。
ユニワークが運営する「飲食店お助けチーム」は、全国の小規模飲食店408店舗に対し、テイクアウト・デリバリーの取組み状況と補助金活用状況を知るためのアンケート調査を行った。
小規模飲食店の半数がテイクアウトを実施
「あなたの店舗ではテイクアウトをやっているか?」という質問(Q1)に対し、45.6%の飲食店が「やっている」と回答した。
テイクアウトを実施していない飲食店のなかで、お酒中心の店舗(業態になじみにくいため)を除外してその理由をたずねたところ(Q2)、「お店の業種業態に適していない」との回答が最多であった。次いで、「期待できる売り上げが小さい(28.7%)」が多く、「人手不足(27.1%)」、「利益率が低い(23.3%)」と並んだ。食事中心の飲食店でも、自店の業態にはなじまないと認識していることがわかった。
同様にデリバリーについてたずねたところ(Q3,Q4)、実施している飲食店は15.9%にとどまった。
実施しない理由としては「お店の業種業態に適していない(48.8%)」がもっとも多く、次いで、「人手不足(42.6%)」、「期待できる売り上げが小さい(28.7%)」と続いた。
前回の調査でも小規模飲食店は利益率の低く、施策を打とうにも、期待される売り上げのインパクトが大きくない場合、手が出せないというジレンマに陥っていることが読み取れる。
テイクアウトのネット導入状況は13.4%といまひとつ
テイクアウトは、店の席数にかかわらず上限無く注文が受けられることで、飲食店にとっては売り上げ機会が増えることになるが、一方で混雑時間に注文が集中する傾向もあり、受注のタイミング、引き渡しのタイミングによってはテイクアウトの購入者、もしくは店内の購入者を待たせることにもなりうる。
また、注文を受けても引き取りに来ないという例も一定数ある。ネット決済を導入し、受注時に決済してもらうことができるとキャンセルリスクが回避できる。したがって、オンライン受注、オンライン決済によって極力手間を減らす例が増えている。
しかし同調査によれば、テイクアウトを実施している小規模飲食店のなかで、ネット受注もしくはネット決済を利用しているのは13.4%(Q5)。
続けて、テイクアウトで利用しているサイトを質問したところ(Q6)、「自社HP」がもっとも多く、「Uber Eats」や「menu」、「食べログテイクアウト」などの仕組みを利用している飲食店を越える結果となった。
同様にデリバリーについてたずねたところ(Q7,Q8)、ネット受注もしくはネット決済を利用しているのは26%で、テイクアウトの2倍だった。
しかし、利用しているサイトは「Uber Eats」や「出前館」などの仕組みが半数以上を占め、「自社HP」という回答はもっとも少なかった。
テイクアウト・デリバリー導入を後押しする補助金があるも、認知・理解の壁
テイクアウト導入に関する補助金、助成金について知っているか質問したところ(Q9)、63.2%が「ひとつも知らない」と回答。コロナ禍において、政府としては対策を行ったが、浸透していないことが判明した。
補助金利用の意向をたずねたところ(Q10)、60.3%が「使うつもりはない」と回答。使わない理由としては「よくわからない」が最多の41.2%だった(Q11)。
同様にデリバリーについて、導入に関する補助金、助成金について知っているか質問したところ(Q12)、71.8%が「ひとつも知らない」と回答した。
続いて補助金利用の意向についてたずねると(Q13)、71.1%が「使うつもりはない」と回答し、使わない理由は「よくわからない」が最多41.9%だった(Q14)。
テイクアウト、デリバリーの補助金活用については、いずれも認知、理解不足といった傾向がみられた。したがってこの分野における専門家の啓蒙、支援が必要であると考えられる。
調査概要
- 調査期間:2022年11月17日~21日
- 調査対象:従業員数10名以下の1店舗経営の飲食店経営者、もしくは店長など、決裁権を持つ人
- 調査方法:インターネット調査
- 有効回答数:408