凸版印刷は、日本GLPのグループ企業で物流ソリューション、ソフトウェア開発、スタートアップ投資を手掛けるモノフルが物流経済圏の構築を目的に関係会社を通じて組成するベンチャーキャピタルファンド「Monoful Venture Partners 1号ファンド」(以下、MVPⅠ)へ出資・参画を行うことを発表した。
今回のMVPⅠへの参画により、凸版印刷は日本GLPグループ、物流テックスタートアップ企業およびそのパートナー企業などとともに、物流に携わるすべての企業がDXや企業連携の恩恵を受けられる物流共栄経済圏「物流エコシステム」の構築に資する物流DXサービスの開発を推進するという。
昨今、EC市場の急成長にともなう物量の増加や多品種・小口配送の増加によるオペレーションの複雑化などを背景に、世界的に物流網の混乱や配送の遅れが発生している。国内では、人口減少による労働者不足に加え、トラック輸送の時間外労働規制の強化により発生する2024年問題への対応など、物流業に携わる人的リソースの圧倒的な不足が喫緊の課題となっている。
このような状況のなか、物流業界では、労働環境の改善や人手不足への対策として、機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革する「物流DX」に注目が集まっている。
凸版印刷は、サプライチェーン全体のデジタル化を推進し、2万社以上の多様な企業との取引実績を強みにデータ活用を基軸としたDX事業を展開。物流業界向けのDXではRFIDを活用したトレーサビリティシステムや製造工程のデジタル化を支援する製造DXソリューション「NAVINECT」などを展開するとともに、5G、IoT時代のセンシングやAI、ロボット技術の研究などにも取り組んでいる。2021年6月には、デジタルピッキングシステムを提供するアイオイ・システムを子会社化。倉庫から配送まで幅広いサービスを展開し、物流DX市場への本格参入を進めている。
今回、凸版印刷はさらなる成長が期待される物流DX事業の推進を目的に、業界の知見と実績および強いインフラを持つ日本GLPグループのモノフルが提唱する「物流エコシステム」構築を目指す考えに共感し、MVPⅠへの出資を通じて共創プロセスに参画。GLPグループ、物流テックスタートアップ企業およびそのパートナー企業などとの協業やソリューションの共同開発を進め、物流共栄経済圏「物流エコシステム」の構築に資する物流DXサービスの提供を目指す。
具体的な取り組み
タグを活用した配送DXソリューションの開発
凸版印刷がこれまで提供してきた自動認識ソリューションを活用した業界横断型の物流トレーサビリティシステムの構築を目指す。具体的には、長距離通信が可能な資材管理向けアクティブタグ「ZETag」、真贋判定や不正流通の監視などサプライチェーンの管理を実現する「クラウド型ID認証プラットフォーム」、電子ペーパー搭載RFIDタグ「Near cross(ニアクロス)D2.9」などのICタグによるRFIDソリューションとMVPⅠへの参画企業が保有する技術やソリューションなどの活用に向けて協議を進める。これにより、荷物を起点とする業界標準トレーサビリティシステムの開発を推進し、物流サプライチェーン全体の最適化を目指す。
デジタルピッキングシステムなどを活用した倉庫DXソリューションの開発
アイオイ・システムが提供する倉庫内のデジタルピッキングシステムをコア技術に、日本GLPグループや投資先企業とのサービスを組み合わせ、倉庫支援高度化の実現を目指すべく、検討を進める。これにより、人手をアシストするデジタルピッキングシステムからロボティクス技術による自動化まで庫内ソリューションをシームレスに提供し、業界標準技術の開発により物流業界のDXを推進する。
今後、凸版印刷は、モノフルおよびMVPⅠを通じた出資先であるスタートアップ企業との協業や物流DX関連の新ソリューションの共同開発を推進していくとのこと。