楽天ペイメントは11月8日、セミナー「タッチ決済市場と楽天ペイ成長戦略」を実施した。セミナーには、楽天ペイ事業本部 マーケティング&編成部の奥村祥語氏と藤江桃子氏が登壇。日本のキャッシュレス市場や10月4日に発表した「楽天カードタッチ決済」について詳細の説明がなされた。
今後の成長余地 日本のキャッシュレス比率は約3割
世界的にキャッシュレス化が進んでいる昨今。日本のキャッシュレス比率は2021年時点で32.5%だという。一方、同じアジア圏の韓国・中国はどちらもすでに8割を超えている。奥村氏は、日本政府が2025年にはキャッシュレス比率40%、2030年には100%を目指していると説明。日本の現状に対して「今後のポテンシャルがある」とし、100%キャッシュレス化に向けてサービスを積極的に提供していく考えを示した。実際に、他国と比較すると低く見える日本のキャッシュレス比率だが、2008年時点と比較すると2倍の数字だ。
また、非接触型の支払い手段であるタッチ決済の利用は、昨年と比べると大きく成長し、公共交通機関では約38倍、家電量販店では約20倍に伸びている。しかし、他国と比較するとタッチ決済に関しても日本の利用比率は20%未満にとどまっており、いまだ発展途上だといえる。
楽天カードタッチ決済でサービス範囲を拡大
そんな中、楽天ペイメントは10月4日、楽天ペイで楽天カードタッチ決済が利用可能になったと発表。VisaもしくはMastercardであれば、すべての楽天カードで設定が可能だ。すでに楽天ペイアプリに楽天カードを登録している場合は、カード情報の登録は不要とのこと。サービスの特徴としては次のとおり。
- アプリの立上げ不要
- チャージ不要
- サイン・暗証番号が基本的に不要
奥村氏は、本サービスについて「楽天カードタッチ決済の利用後には、1回あたりのQRコード決済金額が107%に上がっている」と、他サービスも含めたロイヤリティ向上に言及した。また、藤江氏は「楽天ペイアプリひとつで、いろんな機能にアクセスできる形を目指している。楽天ペイでタッチ決済についてもアプリを行き来せずに利用してほしい」との考えを述べた。
さまざまなサービスを展開している楽天グループ。フィンテック領域に属している楽天ペイメントは、グループ内のアセットを活用してフィンテックサービスの利用を促進する方針だという。奥村氏はセミナーの最後に「楽天グループのアセットを最大活用してシナジーを起こしながら、ユーザーへのサービス提供を行っていきたい」と今後の展望を語った。