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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

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リテンションボット「Smash」でエリカ健康道場の解約率改善 データ元に他チャネルでのシナリオ強化へ

 「断食ドリンク 優光泉」の定期通販を営むエリカ健康道場が、解約率の改善のためリテンションボット「Smash」を導入。「お客様に寄り添う」ことを方針とし、解約の問い合わせをしてきた顧客を無理に引き留めずにやってきた同社は、シナリオ型チャットボットであるSmashをどのように活用しているのだろうか。エリカ健康道場のみなさん、Smashを実際に運用する株式会社Smashの鍋島さんに話を聞いた。

エリカ健康道場がリテンションボット「Smash」で解約率を改善

 「断食ドリンク 優光泉」の定期通販を営むエリカ健康道場。「お客様に寄り添う」ことを方針とし、解約の問い合わせをしてきた顧客を無理に引き留めずにやってきたが、解約手続きをしたある顧客からの「あまりにあっさり解約できて物足りなかった」という声をきっかけに、あっさりし過ぎず無理な引き留めもしない、その間のコミュニケーションを模索していたところ、リテンションボット「Smash」に出会い、その思想に共感して2020年10月に導入する運びとなった。

 解約理由について、『飲みきれず余っている』がもっとも多いだろうと予想していたものの、Smashの導入により解約理由の7割を占めることが明らかに。また、エリカ健康道場の顧客が解約する時間帯として、朝の9時、10時が大半を占め、他社のデータと比較すると特殊であることが判明。Smash導入によって明らかになった解約理由と顧客行動に対し、さまざまな対策を施して、導入から1ヵ月で解約率を23%減少させることに成功した(詳細は前回の記事を参照。ただし、分社化によって会社名やサービス名が異なる)。

 今回は、エリカ健康道場で受注、メール、コールセンターで顧客とコミュニケーション行うカスタマーサービスチームの皆さん、そしてエリカ健康道場のリテンションボット「Smash」を運用する株式会社Smashの鍋島さんに、話を聞いた。

集合写真 エリカ健康道場で受注、メール、コールセンターで顧客とコミュニケーション行うカスタマーサービスチームの皆さん、エリカ健康道場のリテンションボット「Smash」を運用する株式会社Smashの鍋島さん

Smashのデータをもとに「休止の提案」など新たな施策を実施

 エリカ健康道場でのSmash活用は、Smashの鍋島さんがデータを元にシナリオを考え運用し、そこで見えてきた解約理由など顧客の声を分析し、エリカ健康道場カスタマーサービスチームのさまざまなチャネルで顧客と対峙する担当者に共有され、コミュニケーションに活かすという形をとっている。

 導入から約半年で、いくつか具体的な成果に結びついている。まずは、顧客が解約する時間帯が朝の9時、10時に集中していた特徴に着目。従来、お昼の12時にLINE公式アカウントから定期配信していたメッセージを、朝の8時、9時と解約が集中する前の時間帯への配信に変更。すると、顧客が解約ページにアクセスするピーク時間が緩やかになったと言う。解約を検討する少し前の時間帯にコミュニケーションを行うことで、解約防止につながっているわけだ。

 「配信するタイミングを変更したことで、解約防止につながっているほか、お客様からの反応も良くなっています」(エリカ健康道場・大塚さん)

株式会社エリカ健康道場 大塚彩奈さん

 次に、解約理由について、『飲みきれず余っている』がもっとも多いだろうと予想していたものの、Smashの導入により解約理由の7割を占めることがデータとして明らかになった。こちらは、実際に余っていると回答した顧客に、余っている理由やどれくらい余っているのかのヒアリングを行い、「飲むだけでなく料理にも利用できる」といった別の摂取方法を案内したり、いっそ「休止」を勧めたりといった提案を、Smashを活用して行っている。

 「優光泉をご利用になるお客様の中には、期間限定でダイエットやファスティングに挑戦される方が多い。体型維持や健康維持に使い続けていただきたいものの、解約するよりは、また不定期で使い続けていただけるよう、少しお休み(スキップ)していただくことをお勧めしています。無理に引き止めるのではなく、お客様にさまざまな契約の形をご提案することで、解約防止につなげています」(Smash・鍋島さん)

 Smashでは、チャットボットのやりとりによって得たローデータをもとに、解約抑止につながる7つのメソッドをまとめているが、このメソッドを活用した解約防止策をとった形だ。休止を好まない通販企業も少なくないが、エリカ健康道場では長期的な視野と顧客のことを考え、これを採用した。

解約抑止につながる7つのメソッド

  • 知らないこと、勘違いは教えてあげる
  • 解約決定者や解約タイミングをなるべく多くする
  • ちょっと先の未来を共有する
  • ライトキャンセルをなくす
  • なぜそうなのかを教える
  • 解約する人をペルソナ化する
  • ライフイベントに柔軟に対応する

サブスク時代の新常識…「解約させない」ための7つの決め手」幻冬舎ゴールドオンラインより

※こちらについて詳細をまとめた資料が、ページ下部よりダウンロード可能です。

  「休止の提案をするようになってから、従来はそのまま解約になっていたところ、休止をお選びになるお客様が増えました。結果として、解約率が下がっているのを実感しています」(エリカ道場・松尾さん)

 そして、エリカ健康道場のマスコットキャラクターであり、Smashでのチャットボットキャラクターとして採用された「なちゅまるくん」について、待機中の起動ボタンからはみ出すようなデザイン変更を行った。顧客の邪魔にならないようにしながら、アイキャッチは強めるためである。待機中の起動ボタンからはみ出すようなデザイン変更を行ったところ、PCで約2.3倍、スマホで約1.6倍のクリック率が増加した。

 「デザインが大きく変わったため、ページを表示した際にわかりやすくなりました。自分がお客様だったら、ボタンを触りたくなるようになっていると思います。見てくださるお客様も増えるのではないかと期待しています」(エリカ健康道場・町田さん)

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本記事で紹介した「解約抑止につながる7つのメソッド」をはじめ、Smashのサービス概要や、「解約新書」続編などノウハウをまとめたPDFを複数揃えました。この機会にぜひご利用ください。詳細・ダウンロードはこちら

チャットボットにより、詳細な解約理由を掘り下げ

 こうした新しい取り組みに加え、細かなシナリオ改善がさまざまな効果をもたらしている。たとえば、エリカ健康道場の解約ページへのアクセス数が、2020年10月の導入時と2021年2月を比較して6%増加。解約ページへのアクセス数が増加というとネガティブな印象を持たれがちだが、大元の流入数が増えていること、解約ページに設置したチャットボットと接触することで顧客の声を拾いやすくなることを評価すべきだとSmash・鍋島さんは言う。

株式会社Smash CSM 鍋島南那さん

 また、チャットボットの回答率は、2021年2月時点で50.52%と過半数に。エリカ健康道場の顧客は、チャットボットに一度でも回答を行うと、会話遷移が深くなる傾向にあるのも特徴だ。

 即解約ではなく一旦休止のように、企業側は実はさまざまな選択肢を用意しているが、顧客には伝わっていないことが多い。しかしながら、何が伝わっていないかを顧客に聞いても、答えは返ってこないものだ。だからこそ、チャットボットという会話をしやすくデータを取得しやすい手段により、顧客とコミュニケーションしながら、齟齬が生まれている部分を探っていく方法が有効なのだ。今回の新たな取り組みとなった休止の案内についても、すでに用意していた選択肢のひとつだったが解約しようとする顧客の脳裏には浮かびづらく、また、エリカ健康道場側も提案する機会にそれほど恵まれなかったのを掘り起こしたことで、成果につながったわけだ。

 もちろん、そのようにして新たに見つかった顧客とのコミュニケーションシナリオは、チャットボットだけではなく、その他の顧客接点にも共有される。これまであまり行われていなかった「休止の案内」や「飲むだけでなく料理にも利用できる」というシナリオが加われば、それに合わせた新たな対応も迫られる。

 「『余っている』という解約理由について、それがもっとも多いだろうと感じてはいたものの、なぜ余っているのかという細かいところまでは考えが至っていませんでした。Smashによって細かい理由まで把握できたため、コールセンター側の対応もやりやすくなりました」(エリカ健康道場・友田さん)

株式会社エリカ健康道場 友田史耶さん

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日頃の小さな接点を積み重ね、カスタマージャーニーの把握へ

 Smashはツール自体も進化しているが、運用についても顧客の状況を見て対応を変えていく。2021年3月時点では、解約理由として「価格が高い」を選択する人が増えてきているという。そこで、どのような流入元からのユーザーが「高い」と感じる傾向にあるのか、また利用開始からどれくらいの期間で「高い」と感じるようになるのか、Smashを活用し、データ分析を行った。

 その結果、お得なキャンペーンを経て流入した7割の顧客が定期便の利用開始から2回目以内に「高い」と感じやすい傾向にあること、「高い」と回答した顧客でも、オーガニック経由であれば継続率は約13%に保てていること等が判明した。つまり、Smashによって購買経路別でのLTVが可視化された形だ。

 Smash・鍋島さんはこうした分析結果を受け、価格を理由にした顧客の解約を防止することは難易度が高いものの、エリカ健康道場では、顧客に寄り添うことで数値改善は可能ではないかと言う。たとえば解約理由と流入経路の相関性など、新たな原因を探っていくことによって、顧客にとってもエリカ健康道場にとってもより良い関係を築き上げていくことができると考えているからだ。

株式会社エリカ健康道場 松尾結歩さん

 「従来の電話やメールのようなチャネルでは、お客様に詳細な解約理由をお尋ねすることが難しい状態にありました。Smashを導入し、解約に関する最初のコミュニケーションがチャットボットで行われることで、詳細な解約理由がわかるようになってきました。Smashさんからは、毎日利用データと毎月1回月のサマリーデータを共有いただき、お客様の分析やシナリオのご提案をいただいています。それをもとに、従来のチャネルを担当する私たちのコミュニケーションに活かし、クリック率の改善などが見られています。チャットボット単体でも解約防止施策は行っていただくのはもちろん、チャットボットで得たデータで私たちは私たちで解約の施策を練っていきたいと思っています」(エリカ健康道場・松尾さん)

 「私はメールを通してお客様とやりとりさせていただくことが多いのですが、解約理由について想像ではなく、Smashから得られたデータを元に確信し、それを活かしてコミュニケーションを行えるのはとても大きいです」(エリカ健康道場・大塚さん)

 「お困りごとを解決するコンテンツを掲載するなどオウンドメディアを強化していましたが、なかなか見つけてもらえないという課題がありました。Smashのやりとりで記事を紹介してもらうと、その記事を読むことでお客様ご自身で解決していただけるお困りごともあるようです。他のチャネルでも、オウンドメディアの露出をより増やしていけたらと考えています」(エリカ健康道場・友田さん)

 「飲みかたやファスティングのノウハウなどのお役に立つためのコンテンツについても、チャットボットから誘導できるようになりました。今後はさらにSmashを活用して、お客様のお役に立つさまざまな情報をお届けしていきたいと考えています」(エリカ健康道場・町田さん)

 Smashの新機能として、事前登録したシナリオで自動でやり取りするマイクロボットと挨拶をするグリーティングボット機能を開発し、エリカ健康道場のチャットボットにさっそく導入した。日頃の小さな接点を積み重ねることでカスタマージャーニーを把握し、リテンションにつなげていく考えだ。会話の内容から想定される感情によってキャラクターが表情を変える機能も実装される予定であるため、今後は、状況に応じて表情が変わるなちゅまるくんとの会話を楽しんでもらいたいそうだ。

株式会社エリカ健康道場 町田梢さん

 「エリカ健康道場様のチャットボットの回答率および解約率は、2020年10月の導入以来毎月、数値改善を継続しています。回答率は半年で7%近く改善し、最近では20%を超えてきています。今のお客様との良好な関係を保ちつつ、ペルソナや行動を注視して、変化に対応し、今後も解約防止につなげていければと考えています」(Smash・鍋島さん)

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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