SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ECzine Academy(イーシージン・アカデミー)とは、自社ECのプロフェッショナルの育成を支援する講座の総称です。ECzine編集部が企画し、基本となる「2日でわかるEC構築・運営基礎講座」ほか、その時々のトレンドをいち早く学んでいただけるようテーマ別講座をご用意しています。

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

  • 前回のECzine Dayのセッションの様子をレポート記事でお読みいただけます。

  • 過去開催時のイベントテーマをまとめてご覧いただけます。

最新イベントはこちら!

ECzine Day 2021 December

2021年12月7日(火)10:00~16:00

「季刊ECzine」とは、年に4回、EC業界の重要ポイントだけをまとめてお届けする紙の雑誌です。ECの最新トレンドを取り上げた「特集記事」のほか、重要なトピックスに関する知識を上書き保存する「定点観測」、EC業界のニュースや記事を振り返るコーナーなど、自社のECビジネスを俯瞰していただく際のヒントになる内容が満載です。

季刊ECzine

2021年秋号(vol.18)
特集「Cross over, Enthuse fans!~店舗、スタッフ、EC&デジタル活用の次なる一手」

「季刊ECzine」購読者なら
誌面がウェブでも読めます

ECホットトピックス

[ニューリテールのヒント]Luckin coffeeの利便性+熱狂UGC=新たなコーヒーショップ

 国内外問わず、ニューリテールのヒントを求めて飛び回る店舗のICT活用研究所 代表 郡司昇さん。今回は、中国の「Luckin coffee」、日本の「Touch and go coffee」というふたつの新たなコーヒーショップを紹介し、ヒントを探ります。

NASDAQにも上場!「Luckin coffee」は何が違うのか

 昔ながらの喫茶店は、

  1. 入店する
  2. 席につく
  3. 店員がおしぼりと水を持ってきつつ、オーダーを取る(場合によっては客がオーダーを決定するのを待って、再度オーダーを取りに席まで行く)
  4. 店員ができあがったコーヒーを席に持ってくる
  5. レジで店員に代金を支払う

というものでした。

 スターバックスやドトールといった現代の一般的なコーヒーショップは、

  1. 入店する
  2. レジで注文し、店員に代金を支払う
  3. コーヒーを持って、席につく。または持って帰る

ということで、昔の喫茶店に比べて、店員の作業が大きく減っています。

 つまり、同じ客数に対応する店員の数が少なくて済むわけです。よってその分、価格を安く提供できるようになりました。

 ハンドドリップなどひと手間かかる工程に(他に豆生産地への配慮やトレーサビリティなどにも)こだわるブルーボトルコーヒーなどのサードウェーブコーヒーも、オペレーションはこの流れです。

 今回取り上げる「Luckin coffee」は、2017年に中国で創業されたコーヒーチェーン店で、積極投資の繰り返しにより現在3,000店舗を超え、年内にスターバックスの約3,500店舗を超える見込みです。

 積極出店しているLuckin coffeeですが、実は赤字です。直近の第2四半期(2019年4~6月)も約148億円の売上に対して、約103億円の赤字を出しています(参照)。こんなに赤字を出しているLuckin coffeeですが、2019年5月に米NASDAQに上場しました。

 なぜ、こんな状態でNASDAQ上場できたかという秘密はコスト構造にあります。

 Luckin coffeeのオペレーションは

  1. スマホアプリで注文し、WeChatPayかAlipayで代金を支払う
  2. 入店する
  3. アプリのQRコードを店舗の読み取り端末にかざして、自分のコーヒーを持ち帰る

というものです。

 顧客のステップ数としては、通常のコーヒーショップと大差ありませんが、待ち時間なく受け取れるという利便性があります。

 Luckin coffeeの大きな特徴は、店舗で注文も支払いも発生しないということにあります。したがって、店舗にはメニュー表、レジが不要です。レジがないということは釣銭準備、精算などの金銭管理作業が一切いらないということです。店員はシステムにオーダーが入ったコーヒーを淹れて、受取番号のコーヒーを渡すだけです。

 また、中国では店内でコーヒーを飲む客よりもテイクアウトが多いという特徴があります。Luckin coffeeには優享店、快取店、外売厨房店の3種類があり、優享店はテーブルや席のある普通のカフェです。外売厨房店は出前専門店であり、快取店はちょっとしたカウンターに数席椅子があることもあるのですが、原則テイクアウトのスタンド店です。Luckin coffeeの9割の店舗はこの快取店であり、筆者が行った店も小型テーブルひとつに椅子がふたつだけの快取店でした。

 テイクアウト専門の店とすることで、店舗面積を抑えて、家賃はもちろん出店・改装費も抑えることができるわけです。当然、従業員教育を含めた店舗運営コストも抑えることができます。

 Luckin coffeeは自社でデリバリーサービスも提供しています。30分以内に配達する「エクスプレス・デリバリー」も同社の売りのひとつになっています。配送コストが低い中国におけるフードデリバリーの隆盛に乗っかっているわけです。この点において、配送コストが5~10倍かかる日本で真似をしようと思うと失敗します。

  中国では、WeChatのアプリ内アプリであるミニプログラムを採用する小売業・飲食業が多いのですが、Luckin coffeeは自社アプリにこだわっています

 これは自社アプリを通して集めた顧客データ活用を重視している証拠であり、友人に紹介すると無料、5杯買うと次の5杯が無料などのキャンペーンを積極的に行っています。おそらく、日本でのPayPayキャンペーンのように顧客獲得に大きな販促費をかけていることが赤字の大きな要因と考えられます。Luckin coffeeでコーヒーを買う習慣が顧客にできたところで、キャンペーンを個別に抑えていけば回収できるという読みがあるのでしょう。

 スターバックスが提供しているのはコーヒーだけではなく、サード・プレイスというくつろげる空間やカフェ体験ですが、Luckin coffeeはそれらを切り捨てることでコスト削減し、コーヒー自体の低価格化と販促費用の増加を狙っています。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
Touch and go coffeeが提供する新たな顧客体験

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
ECホットトピックス連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

郡司 昇(グンジ ノボル)

小売業のICT活用研究所代表。薬剤師。前職は大手ドラッグストアにおけるマーケティングとEC 事業の責任者としてグループ統合マーケティング戦略を立案・実行。現在は主に(1)IT企業のCRM、位置情報、画像AI解析などの小売業活用 (2)事業会社のEC・オムニチャネル改善についてコンサルティング活動中。 ●著書 知識ゼロから育てる「事業責任者」のためのEC塾 ●ウェブ情報発信 https://ngunji.com/

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

ECzine(イーシージン)
https://eczine.jp/article/detail/6974 2019/09/05 07:00

Special Contents

PR

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

2021年12月7日(火)10:00~16:00

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング