ECを取り巻く環境、キーワードは「センス」と「Amazon」
――もはや老舗サイトですが、最近は何に注力していらっしゃいますか?
「今は、ブランディングに注力しています。ご存じのように、ブランドというのは本来的には決まっていて、その位置から動かないものなのですが、アンジェではあえて感覚値を上げました。
もともと実店舗があり、ネットショップは後から始めています。実店舗の商圏マーケットは限られていますが、ネットはマスマーケットなので、ブランドの感覚値を少しだけ下げていました。それを徐々に戻していっているのが、ここ数年の施策です。
上げている理由は、経済がいろいろ言われながらも一定の安定感があり、関心がセンスや空間、居心地といったところに移動してきているからです。分かりやすく言えば、おじさんたちもオシャレに興味を持っていたり、家の中をステキにしたい人が増えたり、世の中の感覚値が上がってきているからです。
また、コマース自体の成熟もあります。ネットで売られていなかった物を扱うから売れる世界観から、何でもあるけどその中から自分のセンスにあったものを選ぶといった形に変わってきている。オーソリティやセグメンテーション、そういう環境変化にアジャストさせる必要も出てきています」
――そうした背景から、注目しているECサイトはありますか?
「やはりAmazonですかね。これまでは利便性追求型のECだと位置付けていたのですが、最近のAmazonは顧客満足も高いんじゃないかと。ハートフルということを抜きにすれば、とても便利で親切に作られている。小売業ではなく、『インターネット通販』という役割でいくと、非常に即した形になっているんです。
例えば、システム的に可能な細かい気遣いが至るところに張られていながら、自動販売機的な簡便さを維持している。お客様も必要以上の接客やページなど、EC特有の装飾が排除されていても、即発送、確実な在庫が存在する買い物の仕組みに納得感が出ている。もともと量で勝負、検索が主体というシンプルさに、後からEC上で本当に必要なサービスを追加したことが功を奏して、一度使えば、その後はAmazonばかりでリピートという方が増えているのだろうと思っています」