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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

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Instagramへの投稿写真からワンクリックで商品詳細へ 「パーツクラブ」のvisumo活用事例

 Instagramの勢いに、ECが追いつかない。そんなもどかしさを感じているEC事業者も少なくないのではないか。ハッシュタグ「#パーツクラブファン」のついた投稿が3万件を超え、ユーザーからの問い合わせが激増したECサイト「パーツクラブ・オンライン」も似たような悩みを抱えていたが、新サービス「visumo」により、その課題を改善し、想定外のメリットも得ることができたと言う。

Instagramに投稿されるアクセサリーの完成形写真から
活用されているパーツにワンクリックでたどりつける

 「Parts Club(パーツクラブ)・オンライン」は、ビーズや金具などアクセサリーのパーツを販売するECサイトだ。株式会社エンドレスが運営、同社はオンラインだけでなく、実店舗も全国に100店舗以上展開している。

 CtoCのハンドメイドマーケットの隆盛に見られるように、アクセサリーを手作りして楽しむ層の広がり、その人たちのソーシャルメディアでのコミュニケーションが活発になっている。

 パーツクラブも、Twitter、Facebook、Instagramでの公式アカウントのほか、Instagramでは新商品やおすすめ情報を発信する公式アカウントと、スタッフの作品を中心に投稿するスタッフアカウントを運営。そして、パーツクラブのユーザーには、同社のパーツを活用して作ったアクセサリーの投稿に、「#パーツクラブファン」というハッシュタグをつけてもらうよう推奨している。

 ハッシュタグ「#パーツクラブファン」のついたInstagramの投稿は、取材時点で3万件を超えている。パーツクラブとしては、「投稿してくれるユーザー=パーツクラブのファン」とのコミュニケーションをもっと深められないかと考えていた。また、投稿が増えるのに従い、投稿を見たユーザーからの「このアクセサリーのこのパーツはどれですか?」といった問い合わせも増加し、対応について検討する必要が出てきていた。

 そんなときにパーツクラブが出会ったのが、Instagramの投稿を自社ECに活用できるサービス「visumo(ビジュモ)」(提供元:ecbeing)だった。サービス開始時期の導入のため初期の苦労はあったが、ハッシュタグ「#パーツクラブファン」をつけて投稿してくれるファンとの新たなコミュニケーション手段として活用していると言う。

 導入のきっかけから、Instagram上のファンとどのようにコミュニケーションを行っているかまで、パーツクラブ・オンラインを運営するエンドレスの阿部まどかさん、星野圭子さんに話を聞いた。

ハッシュタグ「#パーツクラブファン」投稿が3万件超え
ユーザーからの問い合わせが激増

 パーツクラブ・オンラインは、2017年6月にサイトリニューアル。EC構築パッケージ「ecbeing」を採用し、その際にリリース予定のInstagramの投稿を自社ECに活用できるサービス「visumo」を紹介されたと言う。

 パーツクラブでは、同社が販売するアクセサリーパーツを用いて作ったアクセサリーの写真や動画に、ハッシュタグ「#パーツクラブファン」をつけてInstagramに投稿してもらうことを、ユーザーに呼びかけている。visumoは、ハッシュタグをキーとしてInstagram上の写真を検索し、データベース化。自社ECサイトのコンテンツとして活用することで、コンバージョン率アップを支援するサービスである。

 「パーツクラブで扱っている商品は『パーツ』ですから、それ自体では魅力を伝えにくく、アクセサリーの完成形を写真で見ていただくことが購買につながります。弊社でも公式アカウントやスタッフアカウントを運営していますが、#パーツクラブファンのハッシュタグをつけて投稿してくださるユーザーの方の素敵なお写真をサイトに掲載でき、かつ、商品を紐付けられるのが非常に魅力的だと感じました。

 また、そういった投稿などをご覧になったお客様から『このパーツはどれですか?』というお問い合わせを多くいただいておりました。visumoを活用した写真をクリックしていただくと、利用しているパーツの商品詳細ページや、ものによってはカテゴリ一覧のリンクを見ることができるので、お客様がご自身ですぐにパーツを探していただけますし、問い合わせ対応の手間も軽減できるのは良いなと思いました」

visumo導入の想定外のメリット
コミュニケーションが増え、リピート促進に

 ECサイトに写真を掲載するまでのフローとしては、ハッシュタグ「#パーツクラブファン」のついた投稿から、魅力的でECサイトに掲載するものとして適した写真について、管理画面からユーザーに二次利用を申請。許可が降りたら関連アイテムを設定し、サイトへ掲載する。

 「visumoを導入した想定外の効果として、お客様とのコミュニケーションが増えたことがあります。写真の掲載許可を打診すると、『ぜひお願いします』と喜んでご快諾いただけることが多い。導入以前はそういった打診を行っていなかったので、断られることが多いのか、ご快諾いただけたとしてもどのような反応か、まったくわからなかったんです。

 でも、実際にはじめてみたら、打診したうちの9割くらいの方からご快諾いただき、とても喜んでくださいます。そうやって考えてみると、弊社のパーツを使ってアクセサリーを作り、ハッシュタグをつけて投稿してくださるというのは、パーツクラブに好意を持ってくださっているということ。そのサイトにご自身の写真が掲載されることを、喜んでいただけているのかなと。写真が掲載されたら見に来てくださることも多いでしょうから、またサイトに来ていただくきっかけにもなっているのかなと思います」

 パーツクラブ・オンラインがユーザーのコンテンツの二次利用で徹底しているのは、「絶対にお客様に迷惑をかけないこと」だそうだ。加えて「打診した以上は、許可をいただければ必ず掲載する」ということも。ソーシャルメディアの運営に関しては、パーツクラブ・オンラインを運営する通信販売課のほか、販売推進課などEC以外の部署もかかわっている。他部署との連携も含め、細部にまで気を遣うことがファンとのコミュニケーションには欠かせないのだ。

写真からワンクリックで商品詳細へ
問い合わせ減はユーザーにもメリット

 visumo導入の目的のひとつでもあった、ユーザーからの問い合わせ対応についても、成果につながっていると言う。

「Instagramなどの写真を見て、『このネックレス素敵!私も作りたい』という気持ちになり、実際に作るためのパーツが気になって、弊社のサイトに来てくださるというお客様が多数いらっしゃいます。自分が素敵だと思ったネックレスの写真からワンクリックで、使用しているパーツの商品詳細を見ることができるというのは、単に弊社の対応が減るというだけでなく、お客様にとってもメリットがあるツールだと考えています」

 ユーザーが投稿する完成形のアクセサリーからどのパーツが利用されているかは、星野さんを筆頭に、パーツクラブ・オンラインの複数名のスタッフが一つひとつチェック。場合によっては、そのパーツ単独の商品詳細ページでなく、カテゴリ一覧にリンクを張るなど、ユーザーの利便性を追求した工夫を行っている。

 パーツクラブ・オンラインでは、visumo単体での分析はしていないそうだが、サービスを提供するecbeingの担当者によれば、visumo導入後にPV数がサイト全体の1割程度増加しており、写真を見て商品詳細ページに遷移する割合も、15%以上アップしているという。ユーザーにとって魅力的なコンテンツとなり、ECサイトの利便性向上に繋がっているひとつの成果だろう。

動画の活用やクリエイティブ制作のヒントにも
EC事業者がInstagramを使いこなす未来へ

 visumoは2017年9月のリリースであり、パーツクラブ・オンラインは初期段階からのユーザー企業である。導入から半年を経てシステムもバージョンアップされたが、当初は苦労したこともあったと言う。

 「ECサイトのリニューアルの際、サイトを作ったら終わりではなく、運用や営業などの面まで一緒に考えてくださる、パートナーになってくださるベンダーさんを探していました。ecbeingさんには、visumo以外のサービスもいくつかご提案いただき、これは弊社にあっている、魅力的だと感じましたので、一緒に作っていく気持ちで導入を決めました。visumoに関しては、さまざまな要望を言わせていただいて、バージョンアップし、使いやすくしていただいています。要望に応えていただくのはもちろんですが、我々だけでは思いもつかないような、新しいことができるようになったらと期待しています」

 visumoは、Instagram上に投稿されるコンテンツのうち、静止画だけでなく動画も対象としている。「アクセサリーを360度、さまざまな角度から見せられるという点では、動画も魅力的かもしれない」と阿部さん。ユーザーのソーシャルメディアへの動画投稿、そしてEC事業者の動画活用は今後ますます進んでいくだろう。

 さらに、写真や動画などビジュアルコンテンツの分析機能も強化していくとのこと。1つひとつの動画・写真ごとに、クリック数やCVR、売上などの数値を分析できるようにし、ユーザーからの反響が高いコンテンツを可視化。UGCの選択だけでなく、事業者側がクリエイティブを制作する際にもヒントが得られるわけだ。コンテンツを投稿してくれるユーザーの影響度合いもわかり、ゆくゆくはブランドのアンバサダーとして依頼することも可能になるだろう。

 Instagramの勢いに、ECが追いつかない。そんなEC事業者の悩みは、visumoのようなサービスの登場によって少しずつ改善に向かっている。そして、EC事業者がInstagramを使いこなす未来もそう遠くはないのかもしれない。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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