カナダの独自ECサイト構築サービス「Shopify」とは
「Shopify(ショッピファイ)」は、2006年にカナダで創業した、中小規模事業者を対象にした独自ECサイト構築サービスである。2015年度のレビューを見ると、世界150カ国で利用され、アクティブユーザーは24万3,468となっており、その数も年々増加している。
また、流通総額は1,430億ドルで、海外ではAmazonやeBayに匹敵するほどの実績を持つ。日本のマーケットで比較すると、楽天市場と同等の1兆円を超す規模にまで成長している。ちなみに、その46%はスマホからの流入だ。今まさに、勢いのあるサービスである。
Shopifyは、日本での認知度はまだ低いが、海外では多く利用されている。その理由を見ていこう。
Shopifyの特徴は次のようになっている。
- 簡単にECサイトをオープンすることができる
- デザイン性の高いテンプレートが無料で使える
- HTMLやCSSを編集して自由にカスタマイズができる
- プラグインを導入して簡単に機能を強化できる
- 検索エンジンの最適化ができる
- 商品点数を無制限に利用できる
- eBayやAmazon.comと連携して売上を一元管理できる
- SNSと連携して集客ができる
- PayPalの決済システムが導入済みですぐに利用できる
- 他国通貨に対応しており越境ECに適している
Shopifyは、月額29ドル(Basic Shopify)/79ドル(Shopify)/299ドル(Advanced Shopify)のプランが用意されており、少ない初期投資で運用できるのが最大のメリットである。記載にはないがエンタープライズ向けのプランもあるようだ。
Shopifyを利用したECサイト構築やマーケティングなどを手がけるジャパンコンサルティング代表の佐藤亘氏は、「通常ECサイトを制作するには相当なコストかかるが、このShopifyであれば、初期投資が少なく、高機能なECサイトを簡単に構築できる。日本のこうしたサービスは商品点数や画像の容量などに制限があるものが多いが、Shopifyは、無制限で利用できる点が大きなメリットだ」と話す。
Shopifyは多国通貨に対応。表示する通貨を柔軟にセレクトできることを考えると、「越境EC」に最適と言えるだろう。
決済システムはPayPalを標準搭載。日本国内でのみECを利用しているとピンと来ないかもしれないが、海外においてはもっともスタンダードな決済手段だ。越境ECに取り組もうとするなら、まず、海外ユーザーが真っ先に選ぶ決済手段がPayPalであると、頭を切り替えなくてはならない。
越境ECでは、決済におけるトラブルも不安要素のひとつだが、PayPalの審査により不正取引を防止。トラブルに発展しそうな取引の場合、PayPalでの購入のステイタスが「保留」や「調査中」と表示される仕組みになっている。佐藤氏も、これでかなり助かった事案があったそうだ。
海外っぽいテンプレがおしゃれ!Shopifyのその仕組み
Shopifyは、テンプレートを使い、15分ぐらいでECサイトを簡単に構築できるのが特徴である。通常、テンプレートを使ったサイトは、カスタマイズが制限されていたり、デザインの変更や機能も限られていることが多いが、このShopifyでは、その完成度は非常に高く驚かされる。
ヘッダのスライド画像や商品の登録は、ドラッグ&ドロップの操作で可能。また、希望があれば、Shopifyの管理画面からテンプレートを購入(約1~2万円)することもできる。はじめてECサイトを作る場合は、無料テンプレートで十分だろう。
テンプレートは非常によくできているが、よりカスタマイズしたい場合には、HTMLやCSSを直接編集することもできる。また、特集や企画のページを追加したり、ブログのように記事を書くこともできるので、コンテンツマーケティングとして充実させてもいいだろう。各ページには、metaタグを埋め込むこができ、SEOに対しても考慮されているので集客の面でも安心だ。日本製品を販売する場合は、「Made In Japan」などのキーワードは、欠かすことができないだろう。
Facebookでの販売も!プラグインで機能を強化する
Shopifyには、ECサイトの機能を強化してくれるプラグインがたくさん用意されているる。これはサイトをより便利にするためのAppsを、プラグインという形で追加できるというものだ。
プラグインは、Shopifyの管理画面からAPP Storeに入ると、有料、無料のプラグインが「Marketing」「Sales」「Social Media」「Shipping」「Inventory」「Accounting」「Customer Service」「Reporting」「Tools」「Sales Channels」のカテゴリに分かれ1,000以上用意されている。便利なものがたくさんある。いくつか紹介しよう。
Marketing | Eメールや検索、ソーシャルメディアのマーケティングアプリ |
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Sales | 特別セールや製品レビューなど販促アプリ |
Social Media | ソーシャルメディアとの連携アプリ |
Shipping | 出荷関連のアプリ |
Inventory | 在庫管理システムと連携 |
Accounting | 一般的な会計ソフトと連携 |
Customer Service | 問合せフォーム、ライブチャットなどの機能を追加 |
Reporting | コンバージョン率や顧客行動、売上データなどの分析アプリ |
Tools | 翻訳ツールやRSSフィードなどのサポートアプリ |
Sales Channels | 顧客への特別セールや製品レビューレコメンドなど販促アプリ |
先述の佐藤氏オススメの、忘れずに導入したいオススメプラグインとサービスは以下のとおりだ。
配送
Ship&co
日本郵便に対応。海外へ発送を行うためのサービスでShopifyにも対応している。
デザイン
Fablet
モバイルのインターフェイスを改善。
Bacon Mega Menu
メニューをより高機能にする。
SNS
Facebook Store
Facebook上で販売ができるプラグイン。
マーケティングツール
MailChimp for Shopify
メールマーケティングツール。
作業効率アップ
Google Shopping
Googleの検索ページに商品を表示するプラグイン。
Plug in SEO
SEOの機能をより充実するプラグイン。
このほか、Google アナリティクスのような定番ツールと連携するプラグインもあるので、ぜひ利用したい。 なお、プラグインを導入するには、APP Storeでインストールしたいプラグインを探し「GET」のボタンを押すといった具合に、手順に沿って進むだけだ。あとは自動でインストールしてくれる。無料のものから、月額課金のものもあるので注意しよう。
操作性の高い管理画面
管理画面は、左側からメニュー項目を選択して各設定を行う。直感的にわかりやすく整理されている。商品名や商品登録も画像をドラッグ&ドロップで登録できる。価格や商品のSKUなども増やせるので、項目の多いアパレル商品なども問題なく運用できる。
管理画面は、現時点で英語表記である。実際にサイトを作ってみたが迷うことなく構築することができた。わからないことは、サポートに連絡すれば、丁寧に教えてくれる体制が整っている。
Shopifyの企業理念
ここまで高機能なサービスを安価で提供できるのはなぜだろう。調べてみると、Shopify のCEO Tobias Lütke氏は、個人や中小企業のビジネスチャンスを広げていきたいという理念を持ち、起業した経緯があるらしい。
そんなShopifyは、海外2016年ECサイトランキングで星4.5の1位になっており、他のBIGCOMMERCEやMagento、WooCommerceより評価が高い。
まとめ
世界中のユーザーから支持されている実績と信頼性、そしてPayPalを標準搭載することで強固な決済セキュリティを兼ね備えたShopifyは、グローバル展開を考えるEC事業者には、マストハブとなる優れたツールだと感じた。
これから越境ECを始めたいと思っていても予算や知識がなかった。そんな場合には、このShopifyが強力なツールになるだろう。充実したサポート体制があり、メールをすれば一両日中に返事が戻ってくる。しかもフレンドリーな対応なのが心強い。
今後、日本の越境ブームに押され、さらに注目されるのも時間の問題だ、新規出店、多店舗展開のひとつとしても考えたいECサイト構築ツールである。ぜひ試してみたいツールだと感じた。
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