顧客エンゲージメントを最大限に高めるデジタルコマースのありかた
アパレルECにおいて、先進的な取り組みを行うベイクルーズ、アーバンリサーチが登壇。「アパレル先進企業に訊く 顧客エンゲージメントを最大限に高めるデジタルコマースのありかた」と題し、ディスカッションを行った。
まずは2015年の取り組みについて聞くと、ベイクルーズは「eコマース、自社ECの成長」「オムニチャネルの仕組みづくり」であった。ベイクルーズのeコマース売上高は、右肩上がりに成長を続け、モールと自社ECの比率が6:4となっている。オムニチャネルに関しては、2016年3月、会員ID・DB、在庫の統合、会員プログラムの統一化を行い、新しい会員サービスをリリースした。
アーバンリサーチは、 ショッピングモールへの新規出店×在庫データ連携、関西・関東とEC物流2拠点化に取り組んだほか、2016年秋に向けての自社ECサイトリプレイスも予定。なかでも注目は、店舗連動型ECサイト「UR BUYERS SELECT」のオープンだ。
好感度なアイテムのみ扱うリアル店鋪型オンラインストアで、URBAN RESEARCH 表参道ヒルズスタッフがチャットで接客を行うというもの。高単価な商品も多いが、新しい取り組みが功を奏し、売上につながっていると言う。
次にオムニチャネルについて。ベイクルーズでは「より良い顧客体験の提供」のため、顧客中心にサービスやコミュニケーションを組み立てている。具体的にはスマホが基点となり、オムニチャネル戦略=スマホ戦略まで言う。それにより、デジタルチャネルでの顧客接点拡大を目指している。
村田さんは、「オムニチャネルが成功している企業はまだない」とする一方、「アパレルのような製造小売(SPA)は、製造し、直営店の実店舗で直販も行えるため、もっともオムニチャネルの実現に近いのではないか」と自信を見せた。
一方、アーバンリサーチは、すでにECサイトに実店舗の在庫を表示しての「店舗取り置き」「店舗取り寄せ」を実施していた。サイトリニューアルに伴い、これらの機能を一時停止するが、「効果はあった」と坂本さん。本機能は、実店舗のスタッフから依頼があって作ったとのこと。アーバンリサーチの実店舗スタッフが、ウェブ活用に積極的であることがうかがえる。
ほかにも、”URBRAIN”と呼ぶ、顧客の声を反映して商品企画から販売まで行ったり、実店舗と情報連携してアイテム紹介を行う「TREND EXPRESS」など、新しい取り組みが行われている。
テクノロジー面では、両社とも、ビッグデータ、人工知能(AI)やチャット機能に注目。今後、ECはビジネスをする上で欠かせないプラットフォームとなり、EC、オムニチャネルの仕組みは当たり前のものに。そのうえで、実店舗・ECともに伸ばしていくことが重要だとし、基調講演を締めくくった。
基調セッションの後は、ピンタレスト・ジャパン、デマンドウェア、クレアンスメアードが順に登壇。自社のソリューションについて解説しながら、「デジタルコマース」への活用方法を述べた。