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なぜ想定どおりのECサイトが構築できないのか
EC事業の規模を問わず、システムやインフラ整備にトラブルはつきものです。また、構築会社から上がってきたECサイトやシステムが、想定していたものと大きく異なるという話もよく聞きます。
EC運営を行う上で、「プラットフォーム」と呼ばれるシステムの上に構築されるECサイトと管理業務機能が不可欠なのは、いうまでもありません。その次に重要なのが、基幹業務や物流といったインフラ、ECシステムと連携する他システムです。
事業規模の小さいうちや立ち上げ初期は、マーケティングや企画部門がEC向けのSaaSや外部サービスを利用しているために、「システム」を触っていると意識していない人も多いようです。それでも、システムに起因するリスクは存在します。ある程度の知識や思考は必須といえます。
極端な話ですが、割とよくあるのが構築会社に「うちの商品はこれで、事業規模を○年後に○億円にしたいから、ECサイトを作ってほしい」とだけ伝えているケースです。また、想定どおりのECシステムでなかったため、とにかく「うちのシステムはひどい。早く乗り換えたい」と思い込んでいる企業も。これらの状況は、実はほぼ同じ要因で発生します。
トラブルの原因は○○に
依頼側でやりたいことをまとめたものが「ビジネス/業務要件」です。「顧客に提供したい価値」「必要な機能」「目指す事業規模」「社内のオペレーション」などが該当します。それらを明確にし、開発側に伝わるように整理したドキュメントを要件定義書といいます。トラブル/失敗の原因は、多くの場合「ここ」にあります。たとえば、要件定義の重要性を理解していなかったり、そもそも作成方法がわからなかったりして、開発側に丸投げするなどです。
「ECサイト/ECシステムはシステムだから、要件定義書は開発側が用意する」と考えるかもしれません。しかし、本来は依頼側(事業者側)の責任で作るものです。
先の 「うちのシステムはひどい。早く乗り換えたい」 の事例も、深くヒアリングすると、そもそも要件定義が十分に作成されていない上に、担当者たちが要件の意味合いを理解していませんでした。これでは、どのプラットフォームへの乗り換えても、同じことが起きるでしょう。