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「SGE」で変わる検索体験 SEO対策への影響は?
2023年8月30日、Google 検索の新機能として生成AIによる検索体験「SGE(Search Generative Experience)」の日本語版が試験運用を開始すると発表された。2023年9月時点では一部の質問のみへの適用となっているが、検索結果に生成AIが組み込まれ始めたのは大きな変化といえる。
「まだテストが始まったばかりなので、『検索結果の上部に表示されるのが適切なのか』など、UI/UXの面はブラッシュアップされていくでしょう。ですが、世の中の『検索』が従来型のものに加え、生成AIも共存したものへと変化することに間違いはありません。どちらが主軸になるかは、提供側のビジネス構造によって個性が出てくるはずですが、ユーザー側はその時々の気分や求める情報の質に応じて検索の方法を選べるようになるはずです」
検索体験が変わるとなると、EC事業者にとって気になるのは「SEO対策にも変化が生じるのか」といった点だろう。岡田氏はこれについて、「早急に何か対応すべき点があるわけではない」と見解を述べた。その理由は、Google検索クエリの種別に起因するという。
「Google検索クエリは、主に『インフォメーショナルクエリ』『ナビゲーショナルクエリ』『トランザクショナルクエリ』『コマーシャルクエリ』の4つに分けられます。eコマースの世界で求められるのは、商品比較や探索など次のアクションにつながる『コマーシャルクエリ』の強化ですが、生成AIがユーザーの検索をサポートする領域は、主に知識や方法を提供する『インフォメーショナルクエリ』です。
現状の生成AIだと、行動を促すところまで介入するのは難しいと考えられるので、そういった意味では『すぐに何かしないと置いていかれる』というほどではないでしょう」
情報の充実化を変わらず進めよう
しかし長期的な視点で見れば、消費者が「SGE」に質問を投げかけて、ある商品の利用シーンや口コミを表示したり、商品同士のスペックやスコア比較ができたりといったように、活用法が広がる可能性はある。
岡田氏はこうした行く先も踏まえて、「ECサイト内のコンテンツや動画、SNS施策など、情報を充実させていくと良い」とアドバイスした。これは、ソーシャルコマースの浸透といった観点からも不可避な取り組みといえるだろう。
「eコマースの文脈では、生成AIはまったく脅威ではなく、むしろ『どう共存するか』を考えるべきだと思います。『コマーシャルクエリ』の拾い漏れをなくすには、『Google Merchant Center』にきちんと情報を入れること。これに尽きます。Google対策、検索対策の文脈では今まで通りのことを続けていきましょう」