「恣意的な分析」していませんでしたか?
山田氏はまず、2023年4月に発表されたGA4とGoogle 広告の「アトリビューションモデル」変更について触れた。従来、「ファーストクリック」「線形」「減衰」「接点ベース」「データドリブン」「ラストクリック(Google 広告優先ラストクリックも便宜上、ここに含める)」という6種類のアトリビューションモデルが設定されていたが、2023年6月より「データドリブン」「ラストクリック」の2種類の選択肢しか選べないようになっている。
「一見すると選択肢が減ったように見えますが、Googleは今回廃止した4つのアトリビューションモデルの利用率が3%を下回っていると報告しています。その裏ではAIの精度が高くなり、データドリブンアトリビューションモデルを使ったほうが優位性があると推測しています。『ラストクリック』を用いたアプローチは残されていますが、利用率が低く、成果につながりにくい機能を削ぎ落としたと見られます」
なお、既に作成済みのGA4プロパティについても、廃止されるアトリビューションを利用している場合は、2023年9月以降に、自動的にデータドリブンアトリビューションモデルへと切り替わる予定だ。たとえば、ブランド認知を計測するために廃止予定のアトリビューションモデルを用いて評価していた企業は、やり方を変える必要がある。
「Googleがこう舵を切るということは、人間による恣意的なチャネル評価よりもAIに判断をさせたほうが効率的に成果が出る表れといえます。従来は『どのタッチポイントを優先して評価するか』を人間が判断していましたが、これはつまり選択するアトリビューションモデルによって成果の見え方が変わっていたということです。『恣意的な分析』をさせないためのアップデートと捉えると、見え方も変わってくるのではないでしょうか」