ファーストパーティデータ活用へ意欲も 広告プラットフォームは自動化へ
ここ四半期のアップデートでは、一度リリースされたが取りやめとなった「Twitterダイナミックプロダクト広告」が復活したほか、Google 広告で広告主適格性確認プログラムが完了した企業については、広告にロゴが表示される機能がスマートフォンで開始している。
これ以外に、ECに関連する目立ったアップデートはないとのことで、2023年以降、間接的に運用型広告にかかわってきそうな大きな流れについて聞いた。
まずは、ファーストパーティーデータの活用について。以前からあったが、最近目立って増えてきていると言う。
「CDP(Customer Data Platform)を利用していて、そこに蓄積されているファーストパーティーデータで何か施策ができないかとのご相談が増えました。Cookie規制により、従来の施策に活用されていたサードパーティーデータの取得が難しくなっているからです。前回の定点観測でも触れたとおり、ポストCookie時代には、メールアドレスや電話番号など個人情報を活用した広告効果測定やターゲティングが必要になってきます」
ファーストパーティーデータを活用した施策の例としては、「Look A like」なる類似ターゲティングによって自社の既存顧客に近い新規獲得を狙う手法がある。
「Look A likeのような分析を、CDPで行うか広告媒体で行うかは状況によって異なると思います。懸念しているのは、広告媒体がいつまでそのような機能を提供してくれるかです。機械学習と自動化で、手動で設定できる部分がどんどん減ってきています」
関連して、移行が迫られているGA4の話がある。引き続きeコマース設定も提供されているが、まだ発展途上とのことで従来のUAと比較してしまう向きもあり、GA4がEC事業者にとってどれほど使い勝手が良いかは未知数だ。一方ECのASPカートでは、購買データを中心に管理画面でデータが提供されている。ここに蓄積されているのもファーストパーティーデータだ。
「カートを利用する規模の事業者にとっては、カートで提供されているデータの分析で十分ではないかと考えることもあります。GA4のアップデートのキャッチアップに追われ、データは見てはいるものの打ち手が出てこないとなれば本末転倒ですから」
なお、A/Bテストツール「Google オプティマイズ」のサポートが2023年9月で打ち切られる旨発表されている。GA4とサードパーティのABテスト機能との連携強化へ投資しているとのこと。アメリカのIT企業のレイオフの報道は相次ぎ、愛用していたサービスの終了はこれからも続くかもしれない。