定期購入とは
定期購入とは「毎週」「隔週」「毎月」など、一定期間のサイクルで商品を自動購入できる仕組みです。たとえば、水や健康食品、化粧品など、一定のサイクルで消耗する商品が定期購入のビジネスモデルで販売されています。消耗品なので、定期購入しておくと買い忘れを防いだり店舗に行く手間を省けたりするので便利です。
定期購入とサブスクとの違い
定期購入と混同されやすいのが「サブスクリプション(サブスク)」です。サブスクとは、一定期間のサイクルで商品・サービスを利用できる権利を購入できる仕組みです。たとえば、NetflixやApple Musicなどが代表的なサブスクのサービスとして挙げられます。サブスクのサービスは期間内であれば無制限または決められた回数まで好きなように利用できるのが特徴です。
一方、定期購入の場合は、一定期間のサイクルで同じ商品を同じ個数だけ購入する仕組みです。
定期購入のトラブルが増加!?

まずは、定期購入の解約トラブル件数がどれくらい報告されているのか見てみましょう。独立行政法人 国民生活センターのデータによると、2022年度は7万4,146件で、前年度の5万8,526件よりも大幅に増加しています。
相談内容を見てみると、多くがインターネット上での契約であるようです。「初回限定○円」と低価格を謳ったり「いつでも解約可能」という誘い文句があったりするなど、魅力的な広告に誘導され、よく確認せずに気軽な気持ちで申し込んでしまったというのが、解約トラブルの原因となっている事例も少なくないとされています。
解約できない定期購入の代表的なトラブル事例

どのようなトラブルが実際に発生しているのか、代表的な事例を見ていきましょう。
健康食品
- インターネット広告からダイエットサプリの初回お試し品500円を申し込んだが、2回目に5カ月分がまとめて届く高額な定期購入だった
- 10日間返金保証付きのサプリメントを解約しようとしているが、事業者の電話がつながらず、メールも返信がない
- 「初回実質無料(送料のみ)」というSNSの広告を見て契約したサプリメントの定期購入を解約したいが、事業者に電話がつながらない
化粧品
- 動画サイト上の広告から「1回のみの購入OK」という化粧品をお試しの特別価格で1回だけ注文したつもりだったが、実際には一定期間購入する必要のある定期購入だった
- 破格での申し込み締切がカウントダウン表示され、焦って申し込んでしまったら、3回まで購入しなければならない定期購入で解約を断られた
- 「いつでも解約できる」と書かれていたため、ネット通販による定期購入コースの初回限定1,980円スキンケアセットを注文した。2回目以降は解約しようと事業者に電話したら、解約金の支払いを求められた
代表的な事例を見てわかるのは、「実質無料」や「初回お試し〇%オフ」「1回のみ購入OK」「いつでも解約できる」「解約保証」などのうたい文句で、定期購入を申し込ませる手法です。これに類似する言い回しで、お得感を強調するような商品には注意が必要だといえるでしょう。
解約しようと電話やメールで繰り返し事業者に連絡しても、一向につながらないというケースもあります。そうならないため、購入ボタンをタップ・クリックする前に入念なチェックが必要です。
定期購入解約のトラブルFAQ
次に、定期購入の解約トラブルにまつわるFAQを紹介していきます。
定期購入はすぐ解約できる?クーリングオフは?
定期購入では、複数回の購入を前提とした契約であることが多く、決まった回数を超えるまでは解約ができないというケースがほとんどです。
また、解約申請ができる期間が定められているケースも多いようです。たとえば「次回発送日の10日前までの申し出」などと決められているケースが存在します。
こうした場合、簡単に解約することは難しいでしょう。返品したいという場合にも、インターネット通販をはじめ通信販売にはクーリングオフ制度が適用されないため、「返品できるかどうか」「返品する際の送料はどうするか」などは販売サイト上の表示内容に従って手続きする必要があります。
電話がつながらないときはどうする?
解約したくても、事業者に電話がつながらず泣き寝入りするというケースも少なくありません。そうした際には一人で悩まず、国民生活センターに相談したり、消費者庁の「消費者ホットライン188」に電話相談したりするのも一案です。
定期購入の受取拒否はできる?
定期購入した商品が届いた際に受取拒否をしたとしても、通信販売ではクーリングオフ制度がないため、契約が継続している限り次のタイミングで商品が送られてくることが多いです。一方的に受取拒否しても契約解除になることはなく、支払い義務は引き続き残るため、事業者に問い合わせて解約手続きをしましょう。
定期購入トラブル回避の確認ポイント

最後に、定期購入の解約トラブルを回避するための確認ポイントを解説します。
購入前に継続的な購入かをチェックする
定期購入のトラブルに巻き込まれないためには、購入前の入念なチェックは欠かせません。面倒だからと説明文をよく読まずに申し込むのは避けましょう。
1回限りの購入なのか、定期的(継続的)な購入なのか、という情報は必ず記載されています。隅々までよく読んで定期購入なのか確認し、もしも定期購入の場合は「定期購入の回数」「解約・返品の条件」なども確認しましょう。
最終確認画面はキャプチャーを残す
申し込みの際の最終確認画面は、スマホやパソコンなどでキャプチャーを撮って記録を残すようにしましょう。記録はトラブルに発展してしまった際の証拠となります。
また、契約後に事業者側が条件などを変更した場合は契約時の条件を確認できなくなるため、必ず契約時の最終確認画面のキャプチャーは残しましょう。
購入後のトラブルは消費者ホットラインへ
気をつけていてもトラブルに発展してしまったり、事業者と連絡が取れず不安になったりした際には、消費者ホットラインへ相談してください。案内に従って操作していくと最寄りの消費生活相談窓口につながります。
「無料トライアル」など、サブスク申込時の注意点
サブスクのサービスにおいても「2週間無料」「10日間無料トライアル」など、最初は無料で利用できるサービスが多く見られるようになりました。しかし、サブスクのサービスは無料期間中に解約しなければ、無料期間が終了した後、自動で有料プランに移行するケースが多々あります。
サブスクのサービスでも、最終確認画面で「無料期間終了後に有料サービスに移行する時期」「有料プランで支払う料金」「解約方法」などが記載されているため、必ず確認してから申し込みましょう。
便利な定期購入は内容を理解したうえで利用しよう
定期購入は、買い忘れを防ぐために非常に便利です。しかし、定期購入だとわからずに契約してしまったり、解約条件を知らなかったために解約できなかったりするなど、定期購入にまつわるトラブルも少なくありません。
まずは、申し込む前に契約内容や解約条件などをしっかりと確認することが重要です。万が一トラブルになってしまった場合は、焦らずに国民生活センターや消費者ホットラインなどへ相談し、適切な対応を行いましょう。