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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

これからのブランドと接客を考える

情報発信なしでアパレルは生き残れない 2002年からEC展開する林商店が直近10年以上抱く危機感とは

 小売のありかたや接客の概念に劇的な変化が訪れ、変わりゆく時代の中で、企業・ブランドを運営する方々は自身の個性や長所を活かしながら、新たな挑戦を続けていることでしょう。当連載では、PLAY inc.の四元さんが小売や接客、ECビジネスに携わる方とともに「これからのブランドと接客」について語ります。今回は、株式会社林商店 代表取締役社長の林啓成さんとの対談です。

30歳で家業へ 店作りの失敗からECに商機を見出す

四元(PLAY inc.) まずは、林さんのご経歴について教えてください。林商店はどなたが立ち上げられたのでしょうか。

林(林商店) 林商店は祖父の世代から続く家業で、生まれた頃から身近な存在でした。私が社会人になる頃は叔父が事業を行っていたのですが、祖父から「これから会社をどうしよう」と相談され、継ぐのを決めたのがおおまかな入社の経緯です。

 とは言え、いきなり林商店に就職したわけではなく、最初は叔父に紹介されたパンツメーカーに就職しました。22歳で入社して新規営業や雑用などを担当し、その会社には30歳まで在籍しましたが、ちょうどスーツが売れなくなり始め、中小の小売店が淘汰され始めた頃だったと記憶しています。

 一方で、大手小売店は新規店舗を続々とオープンし人手が足りないという状況だったので、新人の私はよく販売応援に駆り出されていました。応援に入ると名前ではなく番号を割り振られ、成績が良いと次の日の朝礼で「昨日、●番さんが●万円売ってくれました。ありがとうございました」と表彰されるんです。他社からの応援なのでノルマはなかったのですが、だんだんとゲームのように楽しくなってきて、結果を出すと「うちに来ない?」と声がかかるんですね。「ヘッドハンティングってこうやっているんだ!」とそこで知りました。

株式会社林商店 代表取締役社長 林啓成さん

四元 30歳でその会社をやめたのはなぜですか?

 就職する際に、漠然と「30歳になったら家業を継ぐ。そのつもりで働こう」と決めていたからですね。それまでは家業がどのような状況なのかも把握しておらず、いざ入社して売上資料を見たら、売上は年々減っている、将来のビジョンはない……と悲惨な状況に陥っていました。それでも従業員を抱え、売れないと言いながらも6店舗ほど展開していて、「どうしたものか」と途方に暮れたのを覚えています。

四元 そこから林さんによる改革が始まったと。

 そんなにすぐうまくはいきませんでしたね。入社して3~4日ぐらいで「これはまずいぞ」と思ったのですが、急に会社に入ってきた私の言うことは、当然誰も聞く耳を持ってくれません。叔父もあまりビジネスにやる気を見出しておらず、見かねた私はわがままであることを承知の上でビジネスプランを提案し、「このとおりにやらせてほしい」と交渉しました。

四元 そのときの叔父さんの反応はどのようなものでしたか?

 「好きにしたら良いよ」と言われました。最初は「店が汚いから売れないんだ」と考えていたので、店舗回りをしながら什器の掃除をするなどお金をかけずにできることを始めたんです。でもそれだけで急に売れるようになるわけがないんですよね。「原因はこれじゃないぞ」とすぐに気がつき、新しい店舗を作ろうと動き始めました。

四元 新しい店舗はどのようなコンセプトで立ち上げたのでしょうか。

 スーツが売れる店にできたら良いなと考え、「頑張るお父さん世代」にターゲットを絞ったきれいなお店を作りました。また、並行して既存店を当時流行っていた「スーツ上下セット税込●万円」といった2プライスショップに転換する取り組みもしたのですが、どちらもびっくりするほど売れなかったんですよ。チラシを入れても何をやっても売れない。この失敗から「ビジネスモデルを根本から考え直さないとだめだ」と気がついて、当時から取り扱っていたイタリアのインポート商品を軸に、オンラインショップ(EC)と雑誌通販に力を入れようと方向転換をしました。

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2002年に自社ECに挑戦 モール出店は商品が足りないほどの売れ行きに

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

ECに関する情報を、さまざまな切り口からお届けできればと思います。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/11483 2022/07/12 07:00

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