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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

アパレルECの今を語る

[対談]永遠に満足できない?アパレルの自社EC担当者の役割についてアダストリア・田中さんと語る


アパレルEC関連のさまざまなゲストをお招きし、メガネスーパーでECを統括する川添隆さんと対談していただくこのコーナー。第2回は、グローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファームなど18ブランドを取り扱う「[.st](ドットエスティ)」を統括するアダストリアの田中順一さんをお招きしました。

アパレルEC担当者の役割とは アダストリア田中さんと語る

川添(メガネスーパー) 田中さんはWEB営業部のシニアマネージャーというポジションですが、どこからどこまでを見ているんですか?

田中(アダストリア) 部署名はWEB営業部ですが、WEB事業全体の責任者をやらせてもらってます。オウンドメディアも含めるけど、仕事のほぼ99%がEC中心です。それから、たとえばオムニチャネルなど、ECを含めた開発が必要な全社プロジェクトにも参加します。わかりやすく言うと、ECを中心に会社全体を盛り上げる、それを促進するような部署の責任者ですね。

川添 田中さんが今の会社に入ったのが4年前、僕らが知り合ったのが3年前くらいかな。その間に、社内でのECの役割、地位などは変わりましたか?

田中 3年前は、今ほどECというキーワードが出てこない時代だったので、投資金額も今ほどはなく、1回目のECのリニューアルと、実店舗とWEBのポイント統合に取り組んだのがその頃でした。今は、かなり恵まれた環境でやらせてもらっています。たとえば、毎週の週次会議でも、ブランド長からECの話題が出てくるくらい、会社全体がECに理解があります。

川添 それがすごいですよね。大前提として、ファッションのECはまだ発展途上であって、積極的に取り組んでいる企業自体が少ないのに、御社はすでに、ECの売上が年150億円くらいありますし、ECの責任者である田中さんへの権限譲渡も、どんどん進んでいるでしょう。150億円というと、一事業というよりは、1つの企業並みの規模ですからね。

田中 だから、会社のミッションを理解して、P/Lを含め、その事業を考えなければなりません。一方で、個人のビジョンでどういうことを達成したいかという思いもあります。川添さんも、そういうふうに半々の考えで取り組んでますよね。飲んで話していても、こっちは会社の話、今度は個人の話をしてるな、というのがすぐにわかります。

川添 そうですね(笑)。そういう部分は似ているかなと思っています。田中さんから見て、御社のECが伸びている要因は何ですか?

田中 まず、ブランド自体が成長していることが大前提です。結局はブランドが強くないと、ECも伸びないと考えています。その上で、「開発」と「運用」がしっかりできていること。開発はリニューアルや新しい機能を導入することです。運用とは、MD計画からECを使った戦略までが含まれます。この運用がしっかりしていないと、いい開発をしても意味がないんですよ。だから常に両方のレベルを上げて、振り返りをして、またレベルを上げてというのが、おそらく一番成長するモデルだろうと、4年間やってきて思います。

開発については、WEB営業部が主導権を握らせてもらってるんですが、運用に関してはブランド側の担当です。とはいえWEB営業部では、運用のサポートもしています。たとえば、「もっとこういう運用をしたほうがいいんじゃないか」とコンサルの視点でアドバイスしたり、ショッピングモールとリレーションを作ってブランド側にパスしたり、トラフィックがこれくらい上がるはずだから、在庫はこれだけ積んで、トップラインはここまで上げようと設計したり。要は、ブランド側がいい運用ができるように環境を整え、しっかり掛け算されるように支援するわけです。両方をバランスよく見る視点が大事かなと。

だから、「未来のECはこうあるべき」という個人のビジョンがあっても、ブランドや運用チームの理解を得られなかったり、距離感が遠かったりしてはどうしようもない。一方で、ブランドがすごく強くてECチームが全然ついていけてないというのも、うまくいかないでしょう。

常にお互い、確認し合いながら一緒にやりましょうという姿勢で取り組む。「こういう開発をするからこういう運用をしてください」「こういう運用がやりたいからこう開発してください」という具合で、積極的な関係でいられるようにコミュニケーションしています。

株式会社アダストリア WEB営業部 シニアマネージャー 田中順一さん。カタログ通販、インターネット広告代理店を経て、現職。同社が運営するECサイト「[.st](ドットエスティ)」は、2014年11月にグローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファームなど18ブランドを販売するWEBストアとして統合、リニューアルオープンした。

川添 ブランド側が運用するのは、MD計画からECを使った戦略までという話が出ましたが、そのあたりの役割分担が、お互い納得し合ってきちんとできているということですね。

田中 いま、ECの数字も伸びていて、幸いにもある程度の規模になってはいますが、まだまだ全然満足しているわけではありません。WEB営業部だけが推進するのではなく、やはりいろいろな部署間の掛け算かなと思います。その形は少しずつですが、できてきたかなと思っています。

全部が全部一緒じゃないんですけど、大きなところはしっかり一緒にやって、細かいところは分担してやっていく、みたいなバランスですかね。だから僕もやっぱコミュニケーションをすごく大切にしています。

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この記事の著者

ワダ スミエ(ワダ スミエ)

2013年11月11日〜2023年3月31日までECzine編集部在籍。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

コマースプロデューサー 川添 隆(カワゾエ タカシ)

組織で動く企業の中で、組織・チーム・ユーザーのバランスをとりながら”組織Eコマース&デジタル推進”を泥臭く改革進める人。2社の企業再生経験があり、独自の方法論と実践を通じてEコマース事業において、1社では売上を10倍以上に、5社では2倍以上に増加させてきた。2017年より代表を務めるエバンで小売企業...

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