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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

ライバルが多いECモールでも輝くブランドになる方法

なぜ群馬発スーパー「ベイシア」のECは好調なのか 売上急成長の裏にある商品拡充の仕組みと組織体制

 群馬県で創業し、東日本を中心に多くの実店舗を展開するスーパーマーケット「ベイシア」。同社のEC事業が順調な成長を見せている。2024年度のEC全体の売上は前年度比8倍超を記録した。そんな大きな売上の裏にあるのが、小さな取り組みの積み重ねだという。株式会社ベイシア マーケティング本部 EC部 部長 戸枝智存氏が明かす。

EC事業を始めて本当の認知度に気づいた

 ベイシアは、2022年に「ベイシアネットスーパー」を開設し、EC事業へ本格的に注力し始めた。現在は、楽天グループのシステムを活用したネットスーパーのほか、予約アプリ各ECモールに出店しているネットショップの3本柱で運営している。スタート時は、商品名、価格、在庫数といった情報を管理する「商品マスタ」の整備に追われていたという。これがなければ、EC上に正しい、かつ十分な商品情報を掲載できないからだ。

「創業以来、60年以上にわたって商売をしてきました。そのノウハウから仕入れには自信があります。一方で、商品マスタを管理するという発想は新しいものでした。最初は人の手で入力を進めていましたが、やはり限界があります。そこで『Lazuli PDP』をはじめ外部パートナーの力も借り、約2年かけてEC向けに商品情報を一元管理できる体制となりました」

株式会社ベイシア マーケティング本部 EC部 部長 戸枝智存氏
株式会社ベイシア マーケティング本部 EC部 部長 戸枝智存氏

 ECモールなど、多様な売り場に出店する際、各プラットフォームで要件は異なる。商品マスタの整備によって、ベイシアでは情報の反映といった作業が効率化された。こうした裏側の仕組みを着実に整えることで、EC上で取り扱う商品数は当初の数千点から2025年5月時点で10万点に増加。戸枝氏は「商品数の拡大が売上増の要因の一つ」と話す。

「当社は、米国の総合スーパーマーケット『ウォルマート』をベンチマークに、事業を展開してきました。取引先のカテゴリーは、衣食住すべてにわたります。EC事業も、ステークホルダーとともに運営しているイメージです」

 さらに、売上成長を大きく後押ししたきっかけが「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)2024」における「百貨店・総合通販ジャンル」大賞の受賞だ。消費者からの認知獲得につながった。

「当社の売上規模は、日本全国のスーパーマーケットの中でも決して小さくありません。正直、それなりに認知されていると勝手に思い込んでいました。ところが、ECモールのネットショップに集まる口コミや問い合わせから、現実は違うと気づきました。本当に信用できる企業なのか疑問に思っている方、また、中には日本の企業であることすら知らない方もいたからです」

 楽天市場のようなECモールには、多くの消費者が集まる。新規顧客との接点を創出する絶好の場といって良いだろう。しかし、同時に「この企業・ブランドから購入して良いのか」とシビアに見られる側面もある。だからこそ「初めてSOYの授賞式を同僚と見に行ったとき『当社も取らなければ』と実感した」と、戸枝氏は振り返る。

「出店したばかりの頃は、欠品が多く発生していました。在庫を十分に確保できず、需要に耐えられる状態ではなかったのです。しかし、それではせっかく訪問したお客様が離脱してしまいます。結果的に顧客満足度が下がり、SOYの受賞も遠のくでしょう。そこで、あえてリスクを取り在庫数を増やしたところ、売上も自然に上がりました。また、楽天市場が行うセールにもしっかり参加するなど、地道に成果を積み上げたことが、受賞に結びついたと思っています」

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小売のEC化は優先度が上がりづらい? 社内の協力を仰ぐ組織体制

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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