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ECzine Day 2025 June【オンライン+スタジオ観覧型イベント】

2025年6月12日(木)10:00~17:25

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

明治の共創型EC「ミラマル」オープンにみる、これからのメーカーECの形

 食品メーカーの自社ECサイト保有率は、鮮度や物流コストの関係から他業種よりも低い傾向にあります。その中で、株式会社明治が2025年7月1日に共創型ECプラットフォーム「ミラマル」をリリース。ただ商品を販売する場としてECを活用するのではなく、顧客と一緒に商品開発をするというその意図とは。ECの概要から立ち上げの背景や戦略、期待する効果などをうかがいました。

ユーザーの声が集まる「ミラ」イの「マル」シェ

――今回リリースされた「ミラマル」のサービス概要や特徴をうかがえますか。

川端:「ミラマル」は、“未来のマルシェ”のコンセプトのもとに提供する、新しい共創型ECプラットフォームです。ただ商品を販売するだけではなく、テストマーケティングとファンとのコミュニケーション強化を目的としたECサイトとなっています。ミラマルでは、まだ市場に広く流通していない新商品やサービス、試作品やMVP段階の商品を、ひと足先に購入、お試し頂けます。

株式会社明治 価値創造戦略本部 コミュニケーション部 デジタルコミュニケーションG長 川端 善也氏
株式会社明治 価値創造戦略本部 コミュニケーション部 デジタルコミュニケーションG長 川端 善也氏

――リリースにはどのような背景があったのでしょうか。

川端:明治は現在、マーケティングDX戦略としてデジタルエコシステムを作り、それを拡大していこうとしています。明治では今までも、強みや知見を生かしたデジタルサービス群を展開してきました。例えば育児の記録ができる「赤ちゃんノート」や、食事や栄養の管理をする「ザバスアプリ」などです。

 それらの統合IDである「明治ID」を活用したOne to Oneでのコミュニケーションができるマーケティング基盤の構築を進めています。また、商品やサービスカテゴリーをクロスで使っていただくための「明治ポイント」も推進しています。しかし明治にはこれまで、自社ECプラットフォームはありませんでした。

――これまで自社ECを立ち上げなかったのはなぜですか。

川端:明治の商品には、例えば牛乳やヨーグルトなど、お客様にとってネットではなくスーパーやコンビニなど、生活圏のオフラインでのほうが購入しやすいプロダクトが多く、商品陳列がされているだけのECサイトはお客様の生活スタイルにフィットしないというのが最大の理由でした。

 もうひとつ、ECだけではなかなか大きな売上インパクトにならない点も課題でした。過去通販をしていた際も、事業性を大きく求められると厳しい面がありました。

 今回は売上獲得のためのECサイトではなく、新事業のトライアルの場として構え、事業を加速させるためのツールとして割り切る判断をしたことが大きなポイントです。

ミラマルの3つの役割

――ミラマルは、どのような戦略で運営されていくのですか。

川端:3つの戦略的位置づけを与えています。1つ目が、まだ世の中に出していない新商品のコンセプト検証の場です。お客様の課題を解決しようとする商品領域は、お客様のなかで課題感が顕在化しているのか、それをご自身で認知されているのかもわかりません。価格弾力性も含め、事業成立の可否を決めるための検証をします。

 商品やサービスについてはアンケートやインタビューなどでお客様からのフィードバックをいただき、分析および検証した上で改善に反映し、開発に活かしていきます。今後、アンケートやインタビューにご協力いただくと明治ポイントがもらえる仕組みも導入予定です。

 2つ目は、発売確定商品が広く市場に流通する前の先行販売の場です。明治IDの会員様向けのロイヤルティプログラムの位置付けでもあります。コミュニケーションの違いによるリアクションの差を定量的に測って方向性を定めていく、マーケティングコミュニケーションの検証を検討中です。

 3つ目は、明治会員様への価値提供の場です。高付加価値製品の小規模販売をしていきます。現在は、オンライン限定で会員様だけが買える、おまけ付きザバスプロテインをテスト販売しています。今後は女性特有の健康課題に対応するソリューションの検証も実施される予定です。

木下:ミラマルの運営は明治との合弁会社であるWellnizeが行っています。明治には、強みである商品開発や製造にフォーカスしてもらい、Eコマースでの販売やデジタルマーケティングは、Wellnizeの知見を活用する形で、お互いの強みだけをきちんと発揮してうまく回ることを目指しています。

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