帝国データバンクは、2020年度における上場アパレル企業45社の決算動向を調査。連結ベースの売上高や営業利益について、同社の分析も含め結果を発表した。
調査結果の要旨は次のとおり。
- 2020年度の売上高について、増収となった企業は45社の中で8社(17.8%)、減収企業は37社(82.2%)。
- 2020年度の営業利益について、黒字となった企業は21社(46.7%)、赤字となった企業は24社(53.3%)。
- 2021年度業績見通しは、増収増益28社(62.2%)、増収減益5社(11.1%)、減収増益3社(6.7%)、減収減益1社(2.2%)。8社(17.8%)は未定。
売上高動向:8割超が減収
上場アパレル企業45社の決算時期は、12社が2020年5月~12月、33社が2021年1月~3月となっており、全体の約7割が2月と3月に決算を迎えた。売上高について増収となった企業は8社(17.8%)に対し、減収は37社(82.2%)で、8割以上が減収という結果になっている。
増収企業の8社では、増加幅10%~20%未満が2社、10%未満が6社。ワーキングウェアや作業服を扱い、新業態「#ワークマン女子」を発表したワークマン、子供服のほかベビー用生活必需品や育児用品を取り扱う西松屋チェーンが10%以上増加。そのほか、ファッションマスクを販売するクロスプラス、衛生用品を扱うユニフォームネクスト、郊外店舗が多いしまむらなどが小幅ながら増加した。
減収企業の37社では、減少幅10%未満が7社、10%~20%未満が8社、20%~30%未満が17社、30%以上が5社となった。三陽商会、ラピーヌ、銀座山形屋、タカキュー、東京ソワールが30%以上の減少。
営業利益動向:約7割が減益
営業利益は黒字企業が21社(46.7%)で、赤字企業は24社(同53.3%)と、赤字企業が黒字企業を上回った。黒字企業21社のうち、増益企業は8社、減益企業は13社で、約7割が減益。赤字企業24社では、黒字から赤字となったのが13社、二期連続赤字が11社であった。また、増減率を記載している19社のうち、増加幅50%以上は4社、減少幅が50%以上は6社という結果になっている。
業績見通し動向:62.2%が増収増益の見通し
45社のうち、2021年度の業績の見通しを発表した企業は37社(82.2%)で、8社(17.8%)は未定。見通しを公表した企業のうち、増収増益の見通し(前年度で当期純利益が赤字から黒字に転換している企業も含む)は28社、赤字も含む増収減益は5社、黒字転換も含む減収増益は3社、減収減益は1社。
調査結果について帝国データバンクは、新型コロナウイルス感染症拡大による営業時間短縮や、消費者の外出自粛の影響が強いと考察。減収の理由として、在宅勤務の推進や冠婚葬祭の中止でスーツ・フォーマル市場が縮小したことなどを挙げた。今後はワクチン接種の広がりなどにより、集客面で落ち着きが見られるとした上で、アパレル企業各社の方針に注目していくとしている。