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化粧品国内市場、コロナ禍で9年ぶりに縮小 高価格帯は百貨店など休業・営業自粛で大幅減に/富士経済調査

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2020/09/07 05:00

 総合マーケティングビジネスの富士経済は、スキンケア、フレグランス、ヘアケア・ヘアメイク、メンズコスメティックス、メイクアップ(ベースメイク・ポイントメイク)、ボディケアのカテゴリー別に調査を行った国内化粧品市場を、価格帯別、注目コンセプトなどの視点から横断的に分析。その結果を「化粧品マーケティング要覧 2020 総括編」にまとめた。

 なお、1月から3月にかけて調査を行ったスキンケア、フレグランス、ヘアケア・ヘアメイク、メンズコスメティックスの4カテゴリーについては、4月以降の緊急事態宣言の発出にともなう影響を織り込み、市場の見直しを行った。

 調査結果の概要は、次のとおり。

化粧品の国内市場

 2019年は、中国での新EC法施行にともなうソーシャルバイヤー(代理購入者)の買い控えや、円高・人民元安により高価格帯品を中心にインバウンド需要の獲得に苦戦。また、内需は化粧品が軽減税率の対象ではなかったことから消費税の増税前に駆け込み需要がみられたが、そのあとの反動による減少も大きく、化粧品の国内市場は伸びが前年より鈍化し、2018年比1.1%増の2兆8,149億円となった。

 2020年も市場は拡大が期待されていたことから、1月から3月にかけて調査したスキンケア、フレグランス、ヘアケア・ヘアメイク、メンズコスメティックスは2020年初時点で各カテゴリー2019年比0.5%から3.0%程度の伸びが見込まれていたが、4月以降の緊急事態宣言の発出にともなう影響を織り込み、市場を下方修正した。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大による渡航制限によってインバウンド需要が激減し、内需についても緊急事態宣言の発出による百貨店や駅ビルの休業、外出自粛にともなうメイクアップ機会の低下など化粧品そのものの需要減少により、2019年比7.8%減の2兆5,948億円が見込まれる。

カテゴリー別動向

 スキンケアは、ほかのカテゴリーと比較しインバウンド需要が大きかったため、渡航制限による訪日観光客の減少の影響を受けたほか、タッチアップの自粛などでカウンセリングによる需要喚起が難しくなっている。市場は、1兆1,802億円へ下方修正し、2019年と比較し1,000億円以上の縮小が見込まれる。

 フレグランスは、百貨店やライフスタイル提案型ブランドの直営店舗、バラエティショップなどの休業に加え、エントリー需要獲得を目的に行っていたイベント開催や試香の実施が難しくなり、市場は拡大が期待されていたものの、2019年比2桁減が見込まれる。

 ヘアケア・ヘアメイクは、都市部を中心に一部の理美容室が休業したことに加え、消費者が理美容室利用を控えたことから業務用が苦戦しているが、市販用は必需品としての位置づけが強いことから需要減少の影響は小さく、市場縮小は小幅にとどまるとみられる。

 メンズコスメティックスは、外出機会の減少から顔拭きシートや、においケアを訴求する商品、シェービング料、メンズスタイリング剤などの需要が減少し、市場が縮小するとみられる。

価格帯別化粧品市場

 高価格帯は、制度品系や外資系メーカーがポイントメイクアイテムをフックに若年層を中心とした新規需要の取り込みを行っているほか、パーソナル訴求の高付加価値ヘアケアブランドのラインアップ拡充、アンチエイジングブランドの好調などにより、2019年の市場は拡大した。高価格帯は百貨店や訪問販売での販売比率が高く、2020年はその百貨店や訪問販売が休業や営業自粛を行ったこともあり、市場は2019年比2桁減が見込まれる。

 中価格帯は、しわ改善機能を持つスペシャルケアアイテムが好調だが、機能性やプレステージ性の高い高価格帯ブランドへの需要シフトや、低価格帯でも機能性の高いブランドの増加など競合は厳しさを増しており、2019年の市場は微増にとどまった。2020年は、メインチャネルとするドラッグストアやGMSは休業が少なかったことや、通販ブランドは店舗休業が広がったなかで需要を取り込んでいることから、化粧品そのものの需要減少を受けて市場は縮小するものの、高価格帯ほどの落ち込みにはならないとみられる。

 低価格帯は、価格志向の強まりから高・中価格帯からの需要シフトにより市場の拡大が続いていた。しかし、2019年はゴールデンウィーク以降の長雨や台風によってサンスクリーンが、暖冬によりリップクリームやボディクリーム・ローションが伸び悩み、インバウンド需要ではソーシャルバイヤーの大量購入が落ち着いたことで人気の高かった洗顔料やシートパックなどが減少し、市場は縮小に転じた。

 2020年は、ドラッグストアなどセルフルートを主体とした展開であるため、店舗休業やカウンセリングの自粛などの影響が少なく、景況感も不透明感が増す中で高・中価格帯からの需要シフトも期待できるため、市場の落ち込みは限定的とみられる。

 業務用はヘアカラーの好調と、それに合わせたトリートメントの展開強化により、2019年の市場は拡大した。しかし、2020年は理美容室の休業や消費者の来店自粛によって苦戦しており、市場も縮小するとみられる。

調査概要

調査対象
調査方法

富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用

調査期間

2020年5月~7月



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