アスクルは2015年12月、ロボットベンチャーのMUJINと、ロボティクス技術開発に係わる業務提携契約を締結し、物流センターのピッキング工程に導入するロボットの技術開発・検証・導入を進めている。
eコマース市場の成長によって、物流センターの作業量は増加。とりわけ物流センターにおける商品ピッキング工程はもっとも多くの人員が働いており、自動化が進んでいない。同工程へのロボット導入による自動化を進めることが、労働力不足問題への対応と、生産性向上において極めて重要になっている。
現在、製造業などで導入されている産業用ロボットは、事前に「記録」された動作を「再生」することで作業を行う仕組みになっている。長時間にわたって同じ作業を繰り返すような用途では効果を発揮するが、短期間で作業内容が頻繁に変わるような用途には向いておらず、日常使いのeコマースに対応することは困難だった。
アスクルの物流センターでは、飲料、日用品、化粧品など多品種多様な商品を取り扱っており、ピッキング工程に導入されるロボットは、多品種多様な商品の種類を特定し、かつその形状や大きさに合わせた商品ピッキングと、お客様毎のダンボール箱に格納する動作が求められる。
今回導入されたロボットは、アスクルの物流センター運営ノウハウとMUJINのロボティクス技術を連携させることで、導入することが可能になった。
MUJINは、ロボットの動作生成に関して最新のソフトウェア技術のもつテクノロジーカンパニー。以下の2つの技術をベースにした個別の動作記録を不要とするロボティクス技術を持っている。
- 高速高精度の画像認識システム商品の状況や大きさ、形状を高速かつ正確に3次元で認識するシステム
- 最適な動作計画の生成高速高精度の画像認識によって得られた情報を踏まえ、状況に応じた最適なロボットアームの軌道や掴み方を瞬時にプログラムとして生成する技術
アスクルは今後もMUJINと連携し、物流センターのピッキング工程の自動化・ロボット化を進めるとともに、拡大するeコマース市場と労働力不足問題への対応に加え、生産性の向上を実現する。またスタッフとロボットが共存することで、スタッフへの負荷が高い業務をロボットが代替する「人に優しい」物流センターを目指すとしている。