ECの受注形態別市場
富士経済は、競合激化、消費の一部が実店舗回帰している中、ECを中心に拡大する通信販売の国内市場を調査し、2014年に6兆1486億円となったEC市場は、2017年には2014年比17.5%増の7兆2272億円と予測している。
PC市場(PCサイトからの受注)は2014年に4兆1962億円で、市場の68.2%を占めたが、2017年にはやや縮小して4兆1704億円と予測され、市場占有率は57.7%になるとみられる。一方、スマートフォン市場(スマートフォンサイトからの受注)は2014年に1兆4962億円で市場の24.3%だったが、2017年には2014年比57.6%増の2兆3573億円と予測され、市場占有率は32.6%になるとみられる。
2014年は食品・産直品では依然として高い伸びが見られたものの、生活雑貨などでは震災の影響によって購入が急増した2012年から2013年の反動もあり、前年比二桁増とはならなかった。2015年もこうした傾向が顕著であり、景気回復とともに消費者が実店舗へと回帰していることもあり、市場は拡大が続くものの伸びが鈍化すると予想される。
仮想ショッピングモール市場
仮想ショッピングモール(Web上の仮想店舗の集まり)市場は「楽天市場」「Amazon.co.jp」「Yahoo!ショッピング」「DeNAショッピング」「ポンパレモール」の5モールの売上で、EC市場の内数である。
この市場は、2014年にはEC市場の50.7%、通販市場の38.1%を占めるまでに成長。特に「楽天市場」「Amazon.co.jp」の2大モールは、物流センターの整備に積極的であり、出品者の在庫を物流センターで管理することでリードタイムの短縮や送料無料などを実現している。出品者の増加とともに取扱商品も増加しており、売上もそれぞれ1兆円を超え、通販市場の拡大をけん引している。
国内通販市場
国内通販市場は2000年以降、ECが消費者の中で一般化し、2005年にはカタログ通販を抜いて主力通販形態となった。以降、ECが拡大をけん引しており、市場は2014年に8兆円を超える規模にまで拡大した。2015年もECが市場拡大をけん引している一方、ECにおける通販企業の受注形態は2011年以降中心となっていたPCサイトなどからスマートフォンサイトなどへとシフトしており、市場の構造変化が見られる。
カタログ通販は依然としてシニア層に支えられ底堅いが、シニア層においても情報リテラシーの高い消費者が増えており、ECへのシフトが進み、縮小している。テレビ通販はリピート商品を中心にカタログ通販やECへのシフトが見られ、新規顧客の獲得が進まず伸び悩んでおり、2015年以降は縮小に転ずると予想される。ラジオ通販はトレンドや日々の変化に合わせた品揃えで、中高年層や自営業を中心とした根強い消費者に支えられているが、取扱商品数や配送スピードなどで優るその他の通販形態へのシフトが見られ、横ばいから微減となっている。
【調査概要】
EC(Eコマース)を中心に拡大する通信販売(通販)の国内市場を調査。B to Cの物販を対象とした通販市場を通販形態別(カタログ通販、テレビ通販、ラジオ通販、EC)と、商品カテゴリー別(食品・産直品、健康食品・医薬品、ビューティ他、生活雑貨、アパレル、家電・PC、書籍・ソフト、その他)に分類し、各市場の現状を分析して今後を予測。
ECは、通販企業がPC/タブレットPC/スマートフォン/フィーチャーフォンサイトを媒体として消費者に向けて告知し、それぞれのサイトで受注した通販を対象とした。
調査方法は、富士経済専門調査員による参入企業及び関連企業・団体などへのヒアリング、および関連文献調査、社内データベースを併用。