東芝は、複数の吸着パッドを持つロボットハンドがピッキング対象となるものの形状や姿勢に応じて、掴む位置と掴み方(把持計画)を正確かつ高速に計算するAI技術を開発したと発表。同技術は深層学習を活用したものだという。
今回の開発は、四つの吸着パッドを持つハンドが用いられており、それぞれを個別に制御できる仕様となっている。対象物のサイズや形状に合わせて、どの吸着パッドをいくつ使うかといった計算が行われるため、乱雑に物品が置かれた現場や、形状や外観が異なる物品のピッキング作業などといった、従来自動化が困難だったシチュエーションでもロボットハンドの利用が可能となる。これにより、時間やコストの効率化が期待できるとのこと。
なお、計算機による検証では、計算時間が従来の10倍以上、成功率は80.1%を実現し、世界最高の平均計算速度と平均成功率を達成(2024年10月東芝調べ)。ピッキングの成功率も94.5%まで向上し、実用化の目途が立ったという。同技術の学習にあたっては、技術者によるプログラミングが不要で、ロボット導入後に対象物の種類が増えた場合でも追加学習ができるため、東芝はロボット全体のコスト低減につながると見込んでいる。
今後、東芝は実際の物流倉庫での実証やさらなる研究開発を進め、2026年度以降に同技術を搭載した製品の実用化を目指すとしている。