丸紅、丸紅フォレストリンクス、講談社、集英社、および小学館は、日本の出版流通をDXの活用によりサステナブルなものに改革することを目指して、新会社「PubteX」(パブテックス)(以下、「PubteX社」)を設立した。
2021年の出版売上は1兆6,742億円となり、3年連続の前年超えとなった。しかし近年、出版界は複数の構造的な課題を抱え続けており、その改善が急務とされている。PubteX社は、出版流通における課題を解決するため、次のふたつの事業に注力し、出版界のデータの整備・活用強化を通じて、出版流通の改革へ貢献する。
AIなどの先進技術を活用した出版物の発行・配本最適化ソリューション事業
AIなどの先進技術を活用して出版物の発行・配本量を最適化するサービス(以下、「AI発行・配本最適化サービス」)を出版社に提供することで、業界が抱える構造的な課題のひとつである返本率の低減を目指す。出版界で活用されているさまざまな「データ」を縦断的・横断的かつ統合的に活用し、さらにタイトルごとに異なる販売特性にフィットした「AIモデル」を活用して継続的に進化させていくことより、業界サプライチェーン全体の効率化を目指す。
また、AI発行・配本最適化サービスを支えるシステム基盤として、丸紅の「デジタルSCM事業」の戦略的パートナーであり、最新鋭のサプライチェーンシステムをグローバルに展開している米国o9 Solutions, Inc(オーナイン・ソリューションズ)の「o9 Digital Brain platform」を活用する。発行・配本最適化サービスは2023年4月より段階的に開始することを目標としている。
RFID(radio frequency identier)ソリューション事業
RFID、いわゆるICタグを出版物に装着し、記録された各種データを用いて、在庫や販売条件の管理、棚卸の効率化や売り場における書籍推奨サービス、そして万引き防止に至るまで、各種のサービスを運営し、書店のオペレーション‧経営改善を中心に出版流通の課題解決の支援を行う。RFIDソリューション事業は2023年7月より開始することを目標としている。
また、出版流通の改革に効果が期待されるRFIDの普及を目指し、その機能およびサービスを研究‧公開する場として、PubteX 社内にRFIDショールーム(ラボ)を、2022年夏を目指して開設し、業界関係者に理解を深めてもらう活動を行う予定となっている。
PubteX社は、これらの新技術の導入を推進することで、出版社や書店、販売会社など業界関係者に広く利用してもらい、出版流通の改革、出版界全体の最適化を通じて、出版界における課題を解決するのみならず持続可能な社会づくりに貢献し、書店で本を選ぶ楽しみを次の世代に伝えていくことを目指す。また、これらふたつの事業を推進するため、今後とも、物流‧商流を担う販売会社、オペレーションの改善に前向きな全国の書店、そして高度な技術を有する印刷会社‧製本会社をはじめとした関連事業者の協力を得ながら、連携を深めていくとのこと。