日本では、新型コロナウイルスの流行により店舗での接客が難しくなったため、オンライン接客を導入する企業が急激に増えています。 コロナウイルスが収束しても、これまでの生活様式にすぐに戻ることができるとは考えにくいため、今後もオンライン接客を導入する企業はますます増えていくでしょう。
オンラインでの接客を導入しようと考えているのであれば、少しでも早くオンライン接客導入の準備を始め、スムーズにオンライン接客を開始できるように進める必要があります。
しかし「オンライン接客を導入したいけど、なにから始めたらいいかわからない」「どのようにオンライン接客を活用すればいいかわからない」という経営者も多いでのではないでしょうか。 そこで今回は、日本で成功しているオンライン接客の導入事例を5つ紹介します。
オンライン接客とは?
オンライン接客とは、ビデオ通話やSNSなどを使って、オンライン上で販売スタッフが接客を行うサービスです。 業種にもよりますがほとんどの場合、顧客からの事前予約の上、オンライン接客を行います。 顧客は自宅など都合に合わせた場所から、オンライン上で商品の説明を受けたり相談をしたりすることができます。また、店舗は遠方の新規顧客獲得のチャンスにもなるため、オンライン接客は双方にメリットがある接客スタイルだと言えるでしょう。
オンライン接客の主な手段
オンライン接客の手段はさまざまです。主要なオンライン接客の手段と特徴をまとめました。
手段 | 特徴 |
---|---|
チャット | チャットツールを使ったテキストでの接客。客のタイミングで質問や相談をできるのが強み。AIチャットボットを活用する企業もある。 |
ビデオ通話 | ZoomやSkypeなどを使って販売スタッフと客が顔を合わせながら行う接客。対面での接客スキルを活かしやすい。 |
ライブコマース | ライブ動画を配信し商品を紹介する接客。既存客へ向けて発信されることが多い。動画から離脱されない工夫が必要。 |
VR | VR(仮想現実)を使って、客がまるで目の前に商品があるかのように感じられる接客。車や物件などの紹介に用いられることが多い。 |
オンライン接客の手段は、業種によって向き不向きがあると言えます。どの手段が向いているのか特徴を見極めて、目的に合わせて選びましょう。
また、導入する手段によっては手間もコストも変わるため、業種に合った手段で、なおかつ予算的にすぐに始められる手段を選ぶのがおすすめです。
オンライン接客を活用したほうが良い業種は?
オンライン接客を積極的に導入したほうが良いのは、顧客がスタッフから説明を受けたり、相談をしたりして購入したいと思う業種です。主に次のような業種があげられます。
- 美容
- 不動産
- アパレル
- ジュエリー
- 家電
- 士業
これらの業種は、積極的にオンライン接客を導入することで、コロナ禍でも今まで通りの売上を維持できる可能性が高まるでしょう。
日本におけるオンライン接客の事例5選
ここでは、実際にオンライン接客を導入して成功している日本企業の事例を5つ紹介します。
美容業界:ドクターシーラボの事例
メディカルコスメを扱うドクターシーラボでは、Zoomを使ってのオンラインカウンセリングを導入しています。 「肌悩み・スキンケア相談」や「美顔器レッスン」など、顧客のニーズに沿った5つのオンライン接客コースを用意しているのが特徴です。
各コースでドクターシーラボの美容の専門家が、顧客の悩みに合わせて適切なアドバイスを行います。顧客はオンライン接客中に気になった商品があれば、その場で購入も可能です。
コスメカウンターに行くのは緊張するという人でも、家にいながらにしてカウンセリングを受けられるとあり評判を呼んでいます。オンラインカウンセリングのテスト期間に行ったアンケート調査では100%の満足度と結果が出たそうです。
不動産業界:アパマンショップの事例
不動産会社のアパマンショップでは「来店しないお部屋探し」として、物件の写真や間取り図を見せながらの接客や、オンライン内覧も行っています。オンライン内覧では、スタッフが実際の物件に行き、室内を撮影しながらの接客となります。また、契約の際の注意事項説明もオンラインで説明することも可能です。
顧客は特定のアプリのダウンロードは必要なく、カメラの付いたPCかスマホがあればOK。ZoomやSkypeなどを使ったことがない人も、気軽にオンライン接客を受けられるのは顧客にとって嬉しいポイントです。
ジュエリー業界:スワロフスキーの事例
スワロフスキージュエリーの輸入販売を行うスワロフスキーでは、LiveCallというツールを使ったオンライン接客を導入しています。オンライン接客では、スタッフが一人ひとりに合ったジュエリーを提案し、顧客とのリレーションを深めています。
スワロフスキーの主要な客層年齢は40~50代のいわゆるデジタル慣れしていないと言われる年齢層ですが、顧客満足度は80%以上で、客単価も対面での接客時より約5倍に跳ね上がったそうです。また、オンライン接客を導入したことで、20~30代の客層も増加し、売上げアップにつながっています。
写真館業界:写真工房ぱれっとの事例
北海道で展開している写真工房ぱれっとでは、顧客が写真撮影プランや衣装などの相談をできるオンライン接客を導入しています。オンライン接客では、スタッフが実際の貸出衣装を映して説明をするため、衣装の特徴をネット上の写真よりも詳しく伝えることができます。
また、写真工房ぱれっとではオンライン接客時、顧客は顔出しの必要がないのもポイントです。そのため、顔出しが恥ずかしい人でも気軽に接客を受けられます。オンライン接客を選択することで受けられるWEB限定特典を用意し、顧客が積極的にオンライン接客を受けたくなる仕組み作りがされているのも特徴です。
家電業界:ビッグカメラの事例
家電量販店のビッグカメラでは、各家電専門オペレーターが、製品の説明や質問に答えるオンライン接客を導入しています。実際の家電を操作しながらの説明も行っているため、製品の使い勝手やメリット・デメリットなども顧客から理解を得られやすいでしょう。
製品によってはオンライン接客を受けた顧客にお得なクーポンを発行し、オンライン接客の申し込み率アップを図っています。
オンライン接客を成功させるためには?
ここでは、オンライン接客を成功させるために重要なことを2つ紹介します。
まずはオンライン接客の存在を知ってもらう
オンライン接客を始めても、告知をしなければ顧客はオンライン接客の存在を把握できません。ホームページでオンライン接客の告知をすることはもちろん、店舗でも顧客に対しオンライン接客のオファーをすることも重要です。
方法としては、レシートにオンライン接客の紹介を載せたり、レジ横にオンライン接客のポスターを貼りだしたりするなど、あまりインターネットを利用しない顧客にも届くようにすると良いでしょう。
また、オンラインショッピングの画面でも、適切なタイミングでオンライン接客の存在を知らせることも大切です。例えば、カート直前で購入を迷っている顧客に対して、オンライン接客の存在を知らせるメッセージを表示するといいでしょう。
適切なオンライン接客ツールを使う
オンライン接客をする際は、目的に合ったオンラインツールを選ぶことをおすすめします。先の事例で紹介した写真工房ぱれっとの場合は、オンラインで衣装やプランの紹介をすることが目的です。そのため、説明や提案、相談に適した、ZoomやSkype、LINEといったツールとなります。
商品購入を目的とする場合は、先の事例で紹介したスワロフスキーのように、購入までの流れをスムーズに運べるオンライン接客の専用ツールを選ぶのがおすすめです。
オンライン接客に必要なツール
オンライン接客で一般的に用いられるツールを紹介します。
- ZoomやSkype、Google Meetなどのビデオ通話
- Instagram、FacebookなどのSNSのメッセージ機能や、メッセンジャーアプリのLINE
- オンライン接客ツール
なかでも導入しやすいのは、ビデオ通話ではZoom、メッセンジャーアプリのLINEやInstagramなどのSNSといった誰もが知っている、使ったことがあるツールでしょう。特にLINEは利用している人が多いため、気軽に利用してもらいやすいと言えます。
オンライン接客ツールとは?
オンライン接客ツールは、商品購入や売上管理などをオンライン上で行える専用のツールです。ZoomやLINEなど、テレビ通話に特化したツールとは違い、スムーズな購入やユーザーの情報収集に特化しているのが特徴です。
主な機能としては次のようになります。
- オンライン接客中の商品購入
- ユーザー情報の収集・管理
- ユーザー情報を元にした同属性のユーザーのセグメント
- 適切なタイミングでのポップアップ表示
もちろん、オンライン接客ツールによってはできることとできないことがあります。オンライン接客ツールを導入する際は、オンライン接客ツールを使う目的を明確にしてから選びましょう。
時代に取り残されないためにもオンライン接客を積極的に取り入れよう
オンライン接客は、顧客が店舗に足を運ばずとも商品を画面上で見て確認したり、選んだり、豊富な知識を持った専門家に相談したりできる便利なサービスです。
日本では2021年もまだまだ自粛ムードが続いています。今後、徐々に以前の生活仕様に戻っても、オンライン接客は引き続き残り、さらに進化していくと考えるのが妥当でしょう。
今回紹介したオンライン接客の事例や必要なツールを参考に、積極的にオンライン接客を導入し、時代に合った接客を取り入れて柔軟に対応していくのが、長く商売を続けていくための秘訣かもしれません。